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【山羊日記#22】そういえば

前にも書いたが私は『渡る世間は鬼ばかり』を観て育ってきた渡鬼ファンである。
オンタイムで観られた最後のちゃぶ台ドラマ(昭和のホームドラマ)だったのではないだろうか。(時は平成だったが…)
今はもうないもの。
そこで、私は名だたる役者さんを知る。
とにかくキャストが豪華。
長寿ドラマであったこと。
枝分かれで増えていく家族、親族、関係者たち。
なので人数がとんでもないことになっていた。
そこで私は一人の俳優さんのことが気になった。

山下容莉枝さんである。

画像は山下さんの公式ツイッターのアイコンより


山下さんは金田利子として岡倉家三女の文子(中田喜子さん)の経営する旅行代理店のスタッフとして出演されていた。
涼しく透き通ったお声が耳心地よく印象に残っていた。
しばらくして点と点が繋がる。
ジブリ作品で耳にしていたお声だと。
『おもひでぽろぽろ』のタエ子の一番上の姉のナナ子。
『耳をすませば』の月島雫の姉の汐。
繋がっていくと今まで意識していなかったこともキャッチ出来るようになる。
それからはあらゆるドラマに山下さんが出演されてることに気がつくようになる。
その数の多さに驚いた。
ドラマに欠かせない脇役を山下さんは凛と担って存在していた。

気になる役者さんはこのようなそういえばというきっかけで増えていく。

     昭和のおっ母さん

私は渡鬼から昭和の息づかいを感じていた。
どの家庭の母親役も個性的。
優しくもあり、お節介でもあり、意地悪でもあり、強くもある。
それもみな愛情の深さゆえ。
五人の娘がそれぞれに抱えた問題を気丈に受け止める。それが岡倉家の肝っ玉母さん。節子。

山岡久乃さんである。

流暢な標準語(東京弁)でしゃきしゃきと話される姿は粋であった。
後味を引き摺らないさっぱりとした昭和の母さん像がそこにはあった。

そして、山岡さんとはまた違う肝っ玉母さんが思い浮かんだのだが、その方の作品は拝見したことはなく、たまに懐かしの映像特集みたいなもので目にした程度だった。

京塚昌子さんである。

割烹着というよりかは前掛けエプロンにつっかけ。三角巾や手拭い。おひつのお米を木のしゃもじでよそう。
「朝だよー。起きなさーい」
なんて、想像なのにまるで観たことがあるかのように。
この昭和感はなんだろう?
不思議で仕方ない。
滲み出る昭和のおっ母さんの温もり。
なんだか「いってきまーす!」って言いたくなっちゃう。

山岡さんと京塚さん。どちらも肝っ玉母さんと呼べる凛々しさがある。
でも、全く違う肝っ玉母さんなのも不思議。

渡鬼を観て育ったことで山岡さんへの思い入れはどうしてもある。
だからドラマでも現実でも山岡さん(節子さん)が亡くなった時はドラマで思考が重なり今まで味わったことのない喪失感と悲しみで号泣したのを覚えている。ドラマなのにドラマじゃない感覚。

一方、京塚さんに関しては写真や少しの映像のみでのイメージしかない。
それでも断言できるほど
「京塚昌子」とは
文字通り昭和の(庶民の)肝っ玉母さん像で
象徴(シンボル)であると。

そういえば今は山岡さんや京塚さんのようなおっ母さんはながらく不在だな。
思い当たる方がいないもの。

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