その独立心は、反抗心?
● 最近よく聞く独立の話
最近、コロナの影響で、会社に所属し続ける事が苦しくなってる人が多くなっているなぁ…と肌身にしみて感じています。
単純な業績悪化もあるでしょうし、昨年からの緊急事態宣言によるリモートワークで、会社や社会の中に蔓延する不安やストレス、そしてそこから解放されたい、という気持ちが後押ししているのかなぁと。
自分の身の回りでもよく聞くんですよね。
同年代の40代の友人、知人たちが、会社を辞めて独立した、もしくは独立しようか悩んでいる、なんていう話を。
私も10年前に起業してSUGOIを立ち上げたので、相談を受けることもよくあります。
そんな時に話していて感じるのが、
「独立は自由」
「男のロマン」
「一国一城の主人」
というイメージ。
全然、リアルな起業はそんな感じじゃないですよ。
知人達にも全力でそこは否定します。
以前、我が社にCOOが誕生するまでの話を書きましたが、どんなに不自由で情けない状況であったかがわかると思うので、ぜひ読んでみてください。
● 起業=自分の居場所を作る、だった
私の個人的な話ではありますが、起業というのは自分にとって、「自分の生きていける場所を作る」ということだったんですよね。
逆に言えば、普通に世の中にある場所では、生きていくことが難しかった。
学生を終えて社会に出たら、うまく会社に馴染めなかったということです。
会社の雰囲気に馴染めなかった、なんて程度のものではなく、「所属する」という構造自体に苦しさを感じ、ここは自分の場所じゃないと明確に思った。
結果、一年足らずで辞めてしまったので、その後はずっと自分で自分の居場所を作ってきました。
石の上にも三年、なんていう言葉がありますが、三年も持たなかったんですよ。
これ、周りからの評価は「ダメ人間」なんです。
だから私からすれば、「俺は独立する勇気もないし・・・」なんて言ってる知人・友人達は、ちゃんと会社という組織に所属できるという美点を持っているように見える。
その美点を生かすという道を考えてもいいじゃないか、と思うんですよね。
起業=ゴール=自由、ではないということです。
● 自分の中の「反抗期」を見つめてみよう
それにしても、冷静に「ここは自分の生きる場所じゃない」という思いが積もってきて、独立を視野に・・・というならいいんですが、一番危なっかしいと感じるのが、「組織に所属してる自分は嫌だ」という感情が動機になっている状態だと思うんです。
これ、例えてみるなら「反抗期」と同じ構図ですよね。
反抗期というのは、大抵は大人だったり、社会に反抗します。
まずは一番身近な親への反抗。
そして先生や、組織への反抗。
これは何をしようとしているかというと、「反抗」という行為によって自分の存在意義を確かめよう、という心理があるそうなんです。
だから、突然に怖かった親父が亡くなってしまったりすると、涙を流して「親父!」とすがりつくことになる。
反抗する対象がいなければ、自分自身の存在意義が危うくなってしまうということなのでしょう。
子供時代にちょっと大人に反抗する、くらいならいいかもしれませんが、これを私のような中年期に入ってから、社会に対してやってしまうと、その「反抗心」を糧になんとかやっていける人もいるかもしれませんが、私から見ると危ない賭けに出てしまったな、という風に思えるんです。
なぜなら、「反抗」が動機になってしまうと、一生「反抗の対象」を探し続けなければならないから。
これ、自由ではありませんよね。
先に書いた通り、私の中の起業の動機は、「自分の生きられる場所を作りたい」でした。
だから何かに反抗している意識はないですし、何かを「ぶっ壊せ!」のようなスローガンを会社のメンバーと共有したこともありません。
むしろ、「自分たちの揺るがないアイデンティティとは何か?」について、内へ内へと、ずっと考え続けてきた10年のように思うんです。
それは、自分自身がそういう人間だから、それをやらないと生きていく場所が見つけられないから、です。
もし頭の中に「独立」の二文字ががふとよぎった時には、今一度自分の胸に手を当てて、「これはもしかすると、反抗期?」と問いかけてみる余裕が、心地よく生きていくためには必要なのかもしれませんね。
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