工ビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018改訂のポイント

【記事メモ】工ビデンスに基づCKD診療ガイドライン2018改訂のポイント

日本の透析患者は年々増加しており、平成29年度末には約33万人の患者が透析治療をうけています。新規の透析患者を減らすためには末期腎不全を減らす必要があり、そのためには末期腎不全のリスクである慢性腎不全(CKD)の発症や進展を抑える必要があります。

CKDに対する標準治療を普及させるために、かかりつけ医向けのCKD診療ガイドと専門医向けのエビデンスに基づくCKDガイドラインがありました。今回からガイドラインに一本化し、「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」として5年ぶりに改定されました。CKD重症化抑制とQOL維持・向上が目標であり、改訂のポイントは以下の3点です。

1.かかりつけ医と腎臓専門医との病診連携・チーム医療の有用性を強調
2.高齢者(75歳以上)CKDに対する配慮
3.腎疾患概念や価値観の多様性への対応

1.かかりつけ医と腎臓専門医との病診連携・チーム医療の有用性を強調

チーム医療はCKD診療において有用であり、かかりつけ医と腎臓専門医、多職種との連携の重要性を強調しています。特にフレイルやサルコペニアのリスクが高い高齢者CKD患者は専門チームに委ねることが推奨されています。
今回のガイドラインではかかりつけ医から腎臓専門医への紹介の基準をシンプルにして、実用的なものになりました。

2.高齢者(75歳以上)CKDに対する配慮

75歳以上の高齢者CKD患者に対して具体的な推奨を行うように配慮しています。特にRA系阻害薬の適応について大きく見直しています。CKDステージG4,5ではACE阻害薬・ARBによる腎機能悪化や高K血症に注意が必要で、副作用症状があればCa拮抗薬への変更が推奨されています。
血圧管理は150/90mmHg未満に血圧を維持し有害事象がなく忍容性があれば、140/90mmHg未満が推奨されています。収縮期血圧110mmHg未満への有益性は示されていないため、過度な降圧はしないように配慮します。

3.腎疾患概念や価値観の多様性への対応

微量アルブミン尿を伴う典型的な糖尿病性腎症(DN)からアルブミン尿の有無を問わない非典型例を含む概念である糖尿病性腎臓病(DKD)へと包括されるようになりました。
またPatient engagement(患者の診療参加)を推進するために「CKD療養ガイド2018」が出版されました。CKD治療を受ける患者とその家族向けの読みやすいブックレットとして作成されています。

まとめ

今回のガイドライン改訂で薬剤師としてできることを考えてみました。まず、患者の腎機能をしっかり把握しなければならないでしょう。次に過度な血圧低下の確認、さらにACE阻害薬やARBによる高K血症をしっかり確認しようと思いました。

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