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学習支援者としてできることを考える

地域おこし協力隊として過疎地域に移住し、小学生の宿題を見たり中学生のテスト勉強を手伝ったりしています。その活動をしながら考えることがあります。

どのような支援をすれば役に立てるか。どんな教材があれば役に立つか。

どんな場合にも効果を発揮する具体的な支援方法や、万能な教材があるわけではありません。しかし、絶対的な答えはないにしても、相対的な答えは出せるのではないかと思い、ここで試みることにします。

なお、ここでは学習障害(LD)のような本人の特性や、家庭内暴力や貧困のように学習環境が確保しづらい状況は想定しません。主に、学校の授業についていけなくなった生徒に対する学習支援について考えることにします。

また、学習意欲の保ち方についても、第3者からの支援の方法よりも本人の考え方次第な面が強いので、触れないことにします。

学習支援が必要な状況とは

代表的な教材は書籍ですが、どんな書籍も読者層を想定して書かれています。そして、例えば中学生を主な読者と想定した教科書であれば、小学校で習うことは知っているだろうという前提で書かれています。

しかし、すべての中学生が、小学校で習うことをすべて理解しているとは限りません(小学校に卒業試験はなく、公立中学校に入学試験もないので)。理解度についても、生徒ごとに違います。

そのため、中学校の教科書の内容が理解できないのであれば、まず必要な前提知識を理解できているか確認する必要があります。しかし、前提知識のさらに前提知識が理解できていないというように何段階も遡る必要がある場合(※)、本人だけで対処するのは難しいと思われます。

(※)例:関数の問題が解けない → 関数の概念が理解できていない → 方程式が理解できていない → xを含む四則演算に慣れていない...

どこまで遡れば良いのか判断できない状況で前学年の教科書を読み直すのは精神的に負担が大きいため、必要な前提知識と学習者の理解度のギャップを即座に見極めて伝えることができる人がいれば、学習の負担を減らすことができると思います。

先生に限らず、ギャップを見極めることができれば、親や先輩や友人でも助けになれるはずです。

もし、学習者がこのギャップを自分で認識できるのであれば、独学で学習することは可能だと思います(学習意欲を保つのは本人の意思に任せるとことして、ここでは深く考えないことにします)。

学習支援に適した「良い教材」とは

どんな教材も、前提知識とのギャップが埋まっていなければ、その学習者にとって「良い教材」にはなりません。

ある教材を「良い教材」とするためには、次の3つが必要だと考えます。

(1)学習者が学ぼうとしていることが書かれている教材であること
(2)その教材が求める前提知識と、学習者の知識のギャップが少ないこと
(3)前述のギャップが大きい場合、補完できる学習支援者がいること

(1)はそもそもの話ですが、本人にまったく学ぶ意欲がなく、やらされている感が強い場合は、学習者にとっては教材というか敵でしかありません。もし学んでもらう必要があるなら目的を伝えるべきですし、あまり必要がないなら別のことを学んだほうが良いです。

(2)、(3)は前節で述べた通りです。ギャップが大きく、支援者がいても補完が難しい場合は、より基礎的な内容を学ぶための教材の方が「良い教材」になると思います。

学習支援者に求められること

前節の(3)で、ギャップを補完できる学習支援者の必要性を述べました。この時、学習支援者に求められるのは、次の3点だと考えます。

(1)その教材に必要な前提知識を有していること
(2)学習者の前提知識に対する習熟度を把握できること
(3)学習者が学ぼうとしていることが学べる教材なのか判断できること

(1)は学習者と同じですが、そもそも支援者が前提知識を有していなければ支援は難しいと思います。ただし、教材を見ればすぐ思いだせる(理解できる)知識については、あまり支障ないと思います。

(2)が支援者の能力に求められる肝だと考えますが、前提知識について知っているだけではなく、理解していることが重要だと思います。歴史でいえば、個々の出来事の年号と主要人物を知っているだけでなく、その出来事のきっかけや内容についての理解が必要です(前者だけなら学習者の気合いで学べます)。
必要な前提知識を支援者一人で補完するのが難しいのであれば、複数の支援者で分担したり、ネットなどで調べながら支援しても良いと思います。

(3)は支援者の能力に加えて、学習者本人との信頼関係も必要です。信頼関係が不十分な場合は、本人ではなく親が学んでほしいと思っていることをそのまま伝える場合が考えられます(親を信頼しているなら、それでも良いと思いますが)。

おわりに

学ぼうとしている前提知識とのギャップを把握して補完することは、生徒ごとに個別に対応するのが最も効果的だと思います。私は過疎地域にいて生徒も少ないので、この環境を活かして学習支援を続けれいければと思います。

また、都市部などでも学校以外の場所において、学習支援の必要性は同様にあると思います。支援者の確保が課題にはなりますが、地域で学習支援ができる社会になればいいなと思います。もちろん、支援者に過度な負担がかからないように、政府にも教育に対する支援を期待します。

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