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欠けた前歯と女医さんたち

前歯が欠けました…。現在も治療中です。

虫歯が一本もなく今までウン十年過ごし、ここへ来て何かの原因で前歯の1/3が欠けました。
原因は不明、何かにぶつかったとか硬いものを噛んだとかじゃありません。
考えられるのは経年劣化ですね。
毎日毎日噛んだりちぎったり過酷な使用に堪えてくれたことに感謝です。

歯科の経験が全くありません。
どう対応したらいいかわからないのでとりあえずネットで帰り道にある歯医者を予約。
歯医者って無数にあるんですね、全然気が付かなかった…

ぼくの選んだ歯科医はかなり繁盛しているようです。
レセプションデスクに女性が3人、事務作業にあと2人ほど忙しく動いています。

最初の担当医は中年の男性でした。
レントゲンを撮って軽く説明を受けます。
こちらは知識がほぼゼロなので、細かいことよりもまずは全体のロードマップが知りたい。
でも担当医はそういうスケールの考え方をしない人のようでした。

レジンで仮の歯を形成して紫外線で固めます。
ぼくは工業デザインモデルの会社で働いた経験があるので、エアリューターもレジンも瞬着(瞬間接着剤)も使う側の人間です。

あまり手際がいいとはいえないな、と感じました。
こういう工作系の作業は大抵の場合自分でやった方が上手くできますから 笑。

結局、この仮歯は3日と保たず、ポロリと取れてしまいました。
いや、レジンなんて硬度もないし根っこに巻いただけじゃそうなるだろ、と。
他と比べる知識がないので、歯科医の治療なんてこんなもんかなと思いつつ次の予約は一週間後です。

欠けた前歯は1/3ほどですが、治療のため大部分は削り取られています。
仮歯がなければ前歯を見せる「ニッ」という笑い方はしばらくご法度ですね。
花粉症の時期なのでマスクがあって良かった。

一週間空けて、二回目の治療です。
今回は妙齢の女医さんです。15年前の山口智子に似た人。
ぼく自身がおっさんなので言えた義理じゃないですが、口の中をいろいろ触られるなら美しい女性の方がいいです。
これはルッキズムでもなんでもない。本能的にそう思う。

この先生は治療のロードマップに関して理解があって、丁寧に説明してくれます。

  • 神経を抜き空いた隙間を埋める

  • 被せる歯のための土台を作る

  • 歯を被せる

  • 歯の治療は終了でそれ以外のメンテナンスがあれば実施

大雑把にこれがマイルストーンです。
治療の回数は7~8回、期間は2ヶ月は見てほしいと。
プロジェクトはまず大きなスケールからディテールを詰めるものです。
頭のいい先生で一瞬で全容が理解できました。

無知なので、基本、治療は何をしてるかわかりません。
リューターをチーチー言わせて前歯を削って一通り終了みたいです。

頭の上でしきりに何かを削ってる音がする。
リューターは強く押し付けて粗取りして繊細に削りながら整形します。
粗取りか整形かは音でわかる。
智子先生は非常に丁寧な作業をします。
リューターとコンプレッサーの音を聞きながら作業を想像しながら待ちます。

彼女が何をしていたかと言うと、仮歯を作っていたのでした。
樹脂の塊を削って欠けてしまったぼくの歯を作っていたのです。

それが当たり前のプロセスなのかはわかりません。
でも前の医者はレジンを盛って固めた。それだけ。
智子先生の作った歯は審美的にも見事だったし、取れちゃいそうな予感がまったくしなかった。
両脇の歯の間にスッと差し込むように固定される。
これは簡単ではないですよ、しかも10分程度の時間でワンオフだから。

治療後にレセプションで次の予約を取ります。
なんと智子先生は今月末で移動になるんだそうです。
残念すぎて泣きそうです。
察してくれたのか、レセプションの女性は「じゃあ◯◯先生で取りますね」と。

◯◯先生を知らないので絶望感は癒やされません。
でも普通に考えて智子先生ぐらい美しい歯科医はそうはいないと思います。
仕方がないのでまた一週間後に来ます。

週が開けて仮歯の調子は最高です。
まったく取れる気配がないし、見た目にももう治療は必要ないぐらいです。
普通に歯も磨けるし。
ただ噛んで引っ張るのはだめよと智子先生が言ってました。
焼き鳥やハンバーガーは避けましょうと。

三回目、今回の担当医は若い女性です。
どう見ても30は行ってないです。
不思議なもので、自分の子供より若い人はその若さが際立つ感じがします。
ぼくの年齢の半分ですからね、そんな日が来るとは…(遠い目

とても元気な人でジムでインストラクターやっててもおかしくない感じ。
若くて元気でかわいい。
智子先生みたく長身ではなく小柄。特に誰かに似てるではなく小動物みたいな感じかな、リスとかネコとか。

引き継ぎの状況を知りたかったので、ロードマップとマイルストーンの確認をすると、ほぼ認識にズレがなかったので安心。

どんどん先へ進めたい人で「大丈夫そうなんで次の予定も今日やっちゃいますか」と元気にのたまわれます。
問題がないなら予定の前倒しは良いことなので、もちろん異論はありません。
たぶんこの先生は智子先生の予定より1回ないし2回少なくて済みそうです。

雑談の多い人で楽しいです。
歯科大の頃の苦労話とか、医者になってからの失敗談とか。
たぶん親に話してるような感じなんでしょうね。なんとなくそう感じます。

智子先生の仮歯はよく出来ていて、いちいち外さなくても仮歯に空けた穴から治療ができる。で治療が終われば穴をふさぐだけ。
「ふーん、こうやったんだー」と若女子先生も感心していました。
やるな智子、去ってなお侮れない。

この仮歯は5回目の治療で外します。
被せる歯のための土台作りだからです。ひとしきり土台の作業の後、また仮歯を着けますがその時も智子仮歯を改造して流用しました。
「これよく出来てるんで使っちゃいますねー」と。そんなわけで現在ついているのは智子先生が作った歯です。

仮歯について少し雑談。
なんでもこのレベルの仮歯をつけると来なくなっちゃう患者さんがいるんだとか。
でも樹脂なので一年経たずに割れて、また仮歯の時点からやり直しになると。

まあ気持ちはわからんでもないです。
これは言わなければ仮歯だとは思えないですよ。歯医者に行って治してもらったと言い切っちゃって大丈夫なレベル。
セラミックを被せたら10万単位の費用がかかるしね。
問題を先延ばしにするだけだけど。

若女子先生は3・4・5回目を担当してもらい、被せる歯の相談もしたのでこれからも彼女が治してくれる予定です。

小柄なので歯の削りをやってると、頭を抱えるような体勢になるんですよ。
そうするとほぼずっと頭に若女子先生の胸が当たって……
ぼくとしては赤面するしかないです 苦笑。

「セラミックとジルコニアがありますがどちらにします?」
前歯なので見た目のいいやつをお願いしたい、とリクエストした時のこと。
歯科初心者ですからどう違うのかがわかりません。

「ジルコニアの方が硬いんですが白いんです。奥歯ならジルコニアを推めますが前歯に入れると野球の新庄さんみたいになっちゃう。一本だけやると浮きますね、やっぱりセラミックにしましょう」

自分から訊いたくせに勝手に決めてしまいました 笑。
こういう愛嬌のあるキャラクターはこれからの人生でも得をすると思いますね。

次の治療は来週、6回目となります。
次に型を取っていよいよ何か被せる段取りみたいです。

ぼくは最初、慣れない歯医者はいやだな早く終わらないかなと思っていたけど、毎回おもしろいので楽しみにしてます。

ネットでこの歯医者の評判を検索すると、どうも無痛治療を推奨しているみたい。
確かに今回の治療で痛い思いをしたことないです。
痛いですか?痛いですか?と何度も訊かれるのはそういうことなのかな?
そこはよくわかりません。

そうそう、この歯医者さん、レセプションデスクに3人女性がいるんですが、みんな小西真奈美に似てる。
二人は茶髪で一人金髪。
大きなマスクをしているので、よく見ないと気付かないかもしれないけど。

考えてみると小西真奈美ってナース服を着せた時の好感度ってMAX高そうです。
誰でも信用して安心する、みたいなキャラじゃないですか。
そういうキャラクターをわざと選んでるのかな?
しかし選ぶって言ってもそううまく集まるもんかな?

いろいろ不思議な歯医者さんで飽きません。
たまたまネットで見つけたんだけど、他の歯医者もこんなにおもしろいんだろうか?
まあぼくの症状が軽微で痛くもなくて、ある意味他人事みたいに見てるからかも知れません。
一大事だったらおもしろいなんて言ってられないものね。

これが今回の歯が欠けた顛末です。
後はセラミックを被せるだけなのでたぶん続編はありません。

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