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TOMOS という未知の記憶(モペッド)

ティーンエージャーのころカリフォルニアに住んでいました。
遊びたい盛の年齢です。
ショッピングセンターに行きたい、球場に行きたい、友達の家に行きたい。

学校へはスクールバスが送迎しますが、それ以外の場所へは車がなければ行けません。
家族や年上の友人に車に乗せてもらうか、でなければBMXかスケートボードが足です。

バスや電車は…考えたこともありません。
日本の田舎とは違うんです。本当に車がないとどこへも行けないんです。

そうは言っても10代の子供たちは家でじっとしていない。
そういう事情もあって、ティーンが乗れる動力付きの乗り物が求められるわけです。

ちなみに中古自動車の流通は活発です。
ほんの数万円出せば数年は走る車が手に入る。
でもティーンエージャーが乗るとなると保険代が尋常ではなくなかなか選択肢に入りません。

ぼくがモペッド(Moped)という乗り物と初めて遭遇したのはこの頃です。

モペッドは50ccの小さなエンジンを積んだ自転車だと思えばいいです。
実際はエンジンで走りますが、どうしてペダルがあるのか未だに理解してません。
発祥はヨーロッパだそうです。

当時はモペッドに乗るのに免許は要らなかったんじゃないかな。
今でも全米50州のうち1/4ぐらいはモペッドなんて免許不要ですからね。

車の免許は16歳(仮免は15.5歳)から取れました。
高校の授業に自動車教習があって、特別な費用は要らないので全員がこの時期に免許を取ります。

しかし免許が必要だったかどうかすら覚えてない記憶力 笑。
でも要らないでしょう、たぶん。
だってモペッドってどう見たって自転車ですから。ペダルがついてるもの。

ともかく、値段も手頃だったしモペッドに流れる友達はけっこういました。
一気に行動範囲が広がってましたね。
当時のお約束、ヒッピー調のサイケデリックなステッカーをいっぱい張って。

ぼくは一歳上に兄がいるので、絶対的な必要性がなくて買ってもらえなかった。
でも羨ましかったですよ。

遠い昔、1970年代が終わろうとしている頃のお話です。
ちょうどピンク・フロイドが「ザ・ウォール」をリリースした年。


そして時は流れ ~ 現代に。

去年の暮にひょんなことから「TOMOS」というバイクがあるのを知りました。
表参道だったかキラー通りだったか忘れたけど見たんですよ、偶然。


見た瞬間、一気に記憶が引っ張り戻されました。
これってあの時欲しかったモペッドじゃん!って。
おおお、ペダルがちゃんとついてる……

ビンテージをディスプレイしてるようにも見えたので、スマホで調べてみたら新車が売ってるじゃないですか。へえ……。

子供の頃に欲しかったものを大人になって偶然見つけるってあるでしょ?
買うでしょそういう時?

例えば友達の友達が格安でビンテージのテレキャスターを売りに出したとか。
弾かなくても買っちゃうでしょ?
え?買わない?

まあいいです。

とにかくぼくにとってモペッドはそういう感じなんです。
たとえ自転車に毛が生えたぐらいの性能でも、当時のぼくには「翼」に見えた。
ファッション、音楽、カルチャー、70年代を象徴するものの一つ。
大事な記憶なんです。

つい最近、ツイッター(X)のフォロワーさんが実はTOMOSオーナーであることを発見。
大型バイクのオーナーでも楽しんで乗れてるんだと初めて知りました。
TOMOSはちゃんとおもしろいってコメントも貰えました。

ビンテージを探し出してコツコツ直すみたいなことは嫌だけど、新車が買えるっていうなら話は別です。

輸入元はホノラリー(Honorary)というらしい。
ディーラーは…… お、原宿にある!
なるほどここはベスパを扱ってるお店なのね。

TOMOSの他にもSACHSっていうモペッドも売ってる。
SACHSってかつて911でさんざん使ったあのSACHSだろうか。ドイツ製だからきっとそうだな。

いやでもデザイン的にはTOMOSが「あの頃のまま」なので絶対こっちだな。
今週末、渋谷で練習仲間との飲み会があるのでその前に原宿店に行ってみよう。

TOMOSに乗ったら70年代風のアイテムが要るな…
フリンジ付きのシャツとか縦ストライプのジャケットとか買っちゃう? 笑
BGMはブラジョンのストロベリーレター23にしよう。

そんな余計なことを考えている今日このごろです。


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