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ChatGPT壁打ちで覚醒した投資家孫正義

本記事では、孫正義氏のこれまでの経歴に軽く触れ、AIとの出会いが彼の思考と戦略にどのような影響を与えたのかを探求します。その前の多大な赤字からChatGPTとの出会いに至るまで、孫氏の投資戦略の変遷をたどります。


アリババ破綻

ソフトバンクグループ(SBG)が筆頭株主のアリババは2021年6月末の時点で、保有株式価値は32兆1100億円に達していましたが、2022年3月末には約15兆8700億円まで減少し、その減少幅は16兆2400億円にも及びました。
この大幅な価値減少の主因は、中国政府の巨大IT企業への締め付けや、米証券取引委員会(SEC)による上場廃止警告リストへの追加などによるアリババ株価の下落です。2021年6月末に12兆3800億円だったアリババ株は、2022年3月末にはわずか7100億円にまで減少しました。SBGの保有株式価値の減少分の約7割がアリババ株によるものでした。
その後アリババ株を大半売却し、約9600億円を得ています。

WeWork破綻

「私の人生の汚点だ」と孫正義氏のいうWeWorkの破産申請で、ソフトバンクグループがWeWorkに投資した最終的に160億ドルの資金が消し飛んだとされています。同社のビジョン・ファンド(Vision Fund)は2023年初頭、WeWorkの筆頭株主でした。

孫氏はWeWorkの創業者、アダム・ニューマン氏の魅力に強く惹かれ彼のビジョンとカリスマ性にほれ込んでしまったのです。絶頂期にはWeWorkの時価総額は470億ドルに上ったこともある時代の寵児でした。

孫氏ChatGPTに出会い反撃開始

これらの経験から学ぶ中で孫氏はChatGPTとの出会いにより、新たな覚醒を迎えました。ChatGPTとの壁打ちを通じて、彼はAI技術の可能性を深く理解し、この対話の中で孫氏はギャン泣きしAI投資への決意を新たにしたというエピソードがあります。

孫氏は、アリババやWeWorkにおける損失を乗り越え、AI技術、特に人工知能の進化に注目し、これが新たな投資戦略の中心となることを決意し次なるフェーズに移行します。

孫氏のChatGPTとの出会い編は下記のNoteに詳しく書きましたので併せてご覧ください↓

ARM上場

孫正義氏が率いるソフトバンクグループは、2016年に英国の半導体設計会社ARMを約3兆3千億円で買収しました。その後、2023年9月14日にARMは米ナスダックに上場し、時価総額は約8兆円に達しました。この上場は当年最大の規模とされています​​。
ARMの上場前の時価総額は約8兆円程度であったと推測され、上場後の時価総額は7兆8691億円から9兆6100億円の範囲で変動していることが分かります。これらの数値から、孫正義氏率いるソフトバンクグループがARMに投資した3兆3千億円と比較して、ARMの上場によって大きな価値増加があったことが示唆されます。

Cobalt: ARM技術による新時代のCPUとその市場への影響

MicrosoftがGPT-4のテストにAMDのチップを使用していること、そして「Cobalt」と名付けられた新しいCPUがソフトバンクグループが100%出資するARMの技術で作られているという点を考慮に入れると、ARMの技術に基づくCPU「Cobalt」の需要が高まる期待は大きいと言えます。

Cobaltは、ARMの先進的な技術を活用しており、特にエネルギー効率の高さや処理能力の優れた特性を持っています。このような特性は、クラウドコンピューティングやAIの分野でのアプリケーションに最適であり、特にデータセンターやサーバー用途での需要が見込まれます。また、ARMの技術がカスタマイズ可能であるため、さまざまな要件に合わせた特化した使用が可能となり、幅広い市場での採用が期待できます。

ARMの技術に基づくCPUは、今後のAI技術やクラウドコンピューティングの進展に伴い、その需要がさらに高まることが予想されます。Cobaltの登場は、ソフトバンクグループにとっても、ARMの技術を更に推進する大きな機会となるでしょう。


Microsoftの自社開発半導体についてばこちらのNoteに詳しく解説しましたので併せてご覧ください↓


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