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Netflixの「デイヴ・シャペル」がめっちゃ面白いから見て

コメディアンが一人で喋る「スタンダップ・コメディ」はあんまり日本人に馴染みの無いものだと思うけど、いまNetflixで公開されている「デイヴ・シャペル」という番組はめちゃくちゃ面白いので見て欲しい。アメリカのコメディアン、デイヴ・シャペルのスタンダップ・コメディのライブを収録した番組だ。

デイヴ・シャペルは「デイブ・シャペル・ショー」などのコメディ番組で名を挙げた有名コメディアンだが、10年前に番組をキャンセルし、以来雲隠れしていた。その復活劇がこのNetflixの番組なのだが、なんと彼はスペシャル番組3本を6000万ドル(約66億円)で契約したそうだ。1本あたり22億円。これ、22億円の番組ですよ。ちなみに制作費22億円の映画は劇場版「パトレイバー」、NHK 紅白歌合戦は制作費3億円だそうです。

Netflixの「デイヴ・シャペル」はLA編の第一話と、オースティン編の第二話が公開されているのですが、LA編がとにかく素晴らしいのでメモしていきます。膨大なギャグの一部です。是非本編も見てみてください!

大歓声のなか、「10年ぶりに帰ってきたぞ」と語りかけるデイヴ。

「俺はOJシンプソンに4回会ったことがある。今日のショーで全部振り返ってみよう」と話し出す。この構成が全体を引き締めていてすごく良かった。ひとしきりギャグをいったところで、「◯回目に会ったのは〜」とまた新しい気持ちで仕切り直すことができるのだ。


1.

デイヴ「最初にOJに会ったのはサンタモニカだった」

「(黒人の声で)サンタモニカー!」

デイヴ「は?!黒人がサンタモニカって叫ぶのか?!一番似合わない言葉だぞ。お前の靴はVANSかよ。...まあいいや。その時彼はライブを見に来てくれて、こう言っちゃなんだが、もう直ぐ殺される奥さんが隣にいたんだ。温かい人だったよ。ハグして離してくれないから、こう言ったんだ。「俺も殺される!」」

2.

「いろんな人種の人が今日は来てくれて、客席に多様性があってうれしいよ。言っとくけどバーニー・サンダースは出ないぞ。だいたいこういうショーをやると黒人が少ないんだ。黒人が来ないのは、奴らのインターネットの回線が遅いからだ」

3.

「ミシガン・フリントの汚染水のために黒人のセレブが呼ばれるチャリティ・イベントに呼ばれたことがあるんだが...。行かなかった。俺が汚染水のために何ができるっていうんだよ。スティービー・ワンダーがいりゃ充分だ。そのイベントはあんまり話題にならなかった。なんでかっていうと、アカデミー賞と被ったからだ。俺はミシガンに行くために空港で飛行機を待っていて、そのときクリス・ロックから電話が来た。「アカデミー賞のチケットが二枚あるから行かない?」って。それで俺はアカデミー賞に行ったんだ」

「レッドカーペットを歩くと、メディアに話しかけられた。「ブラザー!ブラザー!」って言ってくる。やたらとブラザーって呼ばれるときにはろくなことがないんだ。「どこのメディアだ?」って聞いたら「デイリー・ボンゴ」だって言う。どこの誰がそんな雑誌を読むんだよ?!そのボンゴが「今年はボイコットする黒人も多いですが、どうお考えですか?」って聞いてきた。知るかよ!俺は10年も働いてないんだぞ。お前らが働いてるときもずっとストライキしてたんだ」

「控室にはハリウッドのスターがたくさんいた。座って酒を飲んでたら、二人のプロデューサーが来たんだ。一人は見るからにゲイ、もうひとりはカウボーイハットのテキサスの男。「新作映画のいい案はない?」って聞くから、「いくらでもあるよ!」と適当なことをいった。「教えて!」って食い下がるんで、そいつらが好きそうなことを言ったんだ」

「ゲイのほうには、「ゲイのスーパーヒーローの映画のアイデアがある」と言った。目を輝かせて「それで?」と言ってたよ。そのヒーローは、まちの人を救うんだが、誰も顔を覚えられない。ゲイだから、毎回違う服を着るんだよ。それで「お名前は?」って聞くと、「セイムヒーロー、ニューブーツ!」って言って靴を見せびらかして飛んで行くんだ」

「テキサスの方はそれが気に食わなかったみたいだから、違うヒーローの話をしたよ。優しく強く、理由もなくメキシコ人を殴る。そしたら名刺をくれて、「月曜に電話してくれ」って言われた」


4.二度目にOJに会った時

は、ビバリーヒルズのレストランで、番組が決まってお祝いしてもらった時。その時おれはそのレストランにいるただ一人の黒人だった。90年代だからね。心細かったよ。そしたらOJが通りかかったんだ!釈放されたばかりのことだ。つい「OJ!」と叫んだら、彼が俺を見た。その目を見てわかったよ。「この人俺のこと全然覚えてないな」って。彼は俺に近づいてきて、握手をして去っていった。そしたら同席してた白人の女が、「よく殺人鬼と握手できるわね」って俺のことも殺人鬼みたいな目で見てたよ。


4.

ゲイに対する差別発言といえば、パッキャオというフィリピン人のボクサーがいる。彼はチャンピオンでNIKEと契約していたが、差別発言をした途端にNIKEは契約を打ち切った。靴を取り上げたんだ。でも考えてみてくれ、アジアから男性性を去勢したのはアメリカだ。例えばフィリピンでは、子どもが生まれると、女がアメリカに出稼ぎにいって、男が子どもを育てる。そんな女たちの仕送りが、フィリピンにとって大きな収入なんだ。つまり俺らがフィリピンの男らしさを奪っている。そんな国から来て、男性性を取り戻し、チャンピオンになった男にゲイの問題なんか聞いちゃだめだろ。

5.

NIKEもNIKEだよ。気に食わないことがあるとすぐに靴を取り上げる。もし、マーティンルーサーキングとナイキが契約してたら?「ルーサーさん、申し訳ありません、あまり黒人の開放運動をするのは南部の販売店が困るので控えてもらえませんか?」「何だって?公民運動のための支援では?」「まあたしかに行進には最適ですが...どうかご理解ください」みたいな会話をしてるんだろう。


6.

差別といえばトランスジェンダー。俺はちょっと怒っているんだ。トランスジェンダーが黒人を差別のオリンピックで負かしたから。ブルース・ジェンナーはすごかった。カニエに会ったときにやつが落ち込んでて、「義理の母親が二人に増えた..」って呆然としてたよ。ブルース・ジェンナーは性転換してケイトリン・ジェンナーになったわけだが、みんな好意的だったよな。あの時は感動した。アメリカ国民が、建国以来初めて、自分の頭で考えて判断したんだ。自分とは異質なものを受け入れ、幸せを願った。あれはよかったな。それにしても、親友に「一緒に切り落とそうよ」って誘われたらどうしようって思うよ。「は?!お揃いの服やタトゥーじゃダメなのか?!」って言うだろうな。

7.

ビル・コスビーは立派な人だった。マーチン・ルーサー・キングのスピーチのシステムを寄贈したのも彼だ。黒人が高等教育を受けられるように莫大な寄付をしてくれたのも彼だ。俺らが今ココにいられるのは、彼のおかげなんだ。だが、彼は53人レイプした罪で訴えられた。考えてみてくれ。尊敬している人が53人をレイプしてたって知った時の気持ちを。例えば俺の大好きなチョコレートケーキが...53人をレイプしてたような気持ちだ。一人8時間だったら400時間かかる。そんな時間をレイプに費やしていたなんて。飛行機の免許を取るのは250時間だ。だからビル・コスビーはレイプ界のトップガンだ。

8.

そういえば小学校のとき、みんなでテレビを見たよな。あれは「チャレンジャー号」の打ち上げだった。良かったのは最初の5分間だけ。その後はとんでもないい悲劇で、全乗組員が爆死する瞬間を呆然と見るしかなかった。あの頃は冷戦だったから、ロシアに笑われたもんだ。

いまの世代は、例えるなら毎日スペースシャトルが爆発してるようなものだ。警官の射撃された、と思ったら次の警官が射撃され、パリでテロが起こったと思ったら今度はブリュッセルでテロが起こる。あまりにも大きなことが起こりすぎていて、把握しきれなくてどうでも良くなってしまうんだ。名付けるなら「age of spin」、デタラメだらけの時代。何が起こっているのか誰にも見えない。若者は何を感じればいいのかわからない。可哀想なことだと思うよ。




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