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産後入院の思い出と父子同室ってどう?って話

去年の9月に双子を出産した。だから「去年の今ごろは...」とよく思い出している。産後の入院のことも。

1人目、痛くて辛くて悲しくて毎日泣いていた1週間

産後の入院って案外短くて経膣だと5泊6日、帝王切開だと6泊7日くらいで退院になる。
初めての出産の時は会陰をバサーっと切ったので(自分の感覚です)、しばらくは寝ても覚めてもお股が痛くて座れなくて歩けなくて、「こんなの聞いてない!誰も教えてくれなかった!」と怒り、そしてあまりの痛さに絶望しかできなかった。
お股だけじゃなく、後陣痛(子宮が元の大きさに戻ろうとして収縮する際の痛み)やら悪露という謎の出血(謎ではなくこれも子宮が元に戻るためのもの)やら、尋常じゃない胸の張りやら、とにかく産後の自分の体は“異常”過ぎて思考がついていかなかった。
そしてボロボロの体で始まる初めての赤ちゃんのお世話。それまでおむつを替えたこともミルクをあげたことも、当たり前だが母乳をあげたこともない。慣れないどころじゃなく全くできないことを極限の状態で始め、マスターしていかなければならない。

赤ちゃんはかわいい。
ずっと見ていられる。
なぜか昼間はよく寝ている。
そしてなぜか夜間は寝ない。
寝ないからボロボロの体でおむつを替えてみたり、まだ大して出ないおっぱいを飲ませてみたり、足りないのかもとミルクを作って飲ませてみたり、それでもダメなら抱っこでユラユラしてみたり。
赤ちゃんの生後日数と母になってからの日数は同じだ。どちらも不慣れで心許ない。こんなに泣くのは外の世界が嫌だからなのかと考え
「ごめんねぇ、お腹の中の方がよかったよねぇ。ごめんねぇ。」
と赤ちゃんに謝りながら泣いた。
3時間おきの授乳も全然寝ないから合間に30分横になれるかなれないかで、眠くて眠くて倒れそうだった。
それでも病院にいるとすぐに助産師さんがフォローしてくれたり、温かいごはんが何もせずに出てきたり、何より赤ちゃんを守ってもらえるという安心感が大きかった。退院の時は心細くて「退院したくない」と泣いた。
冷静に今書くと精神状態がヤバい。

2人目、ここは天国かと思う入院生活

2人目の時も会陰を切ったが1人目ほど傷は酷くなかったので「歩ける!」と感動した。
新生児のお世話も2回目ともなると特に不安はない。
後陣痛は1人目より痛かったが、個室だしごはんも出てくるし上の子のお世話もないし「ここはホテル?天国?」と幸せを噛み締めた。
でも産後のボロボロ感は否めない。
そしてやっぱり昼間はよく寝るくせに夜になったら寝ない新生児。
なるべく寝る!隙があったら横になる!を心がけ乗り切った。

3・4人目、「産後入院はおっぱい合宿だ!」

双子は大きな総合病院で産んだ。上の子2人は産院で出産し個室だったので他の産婦さんと会うことはほぼなかった。授乳指導は部屋に助産師さんたちが来てくれた。ミルクも部屋で作っていた。
だが総合病院の時は新生児室の横に授乳室があった。そこで授乳をし、助産師さんたちがまわってきて「いいですね!」とか「こうした方が赤ちゃんが飲みやすいよ」とかフォローをしてくれる。ミルクも授乳室で調乳済みのものを哺乳瓶に入れてウォーマーで温めるというスタイル。自分の部屋であげてもいいのだがどうせミルクを作りに行かねばならないので私はコット(赤ちゃんのベッド)二つを押したり引いたり悪戦苦闘しながら授乳室に通っていた。
今まで産後すぐの他の産婦さんが授乳している姿を見たことがなかった。新生児ははじめ本当におっぱいを飲むのが下手くそだ。乳首を咥えさせるだけでもいたずらに時間がすぎていく。赤ちゃんによってはよく寝る子もいて、授乳の時間なのに一向に起きてくれない場合もある。みんな片乳出しながら我が子におっぱいを飲ませよう必死である。
こうやって書くと笑えるのかもしれないが、みんな股を切ったり腹を切ったりしながら赤ちゃんのお世話をなんとかやっている。本当に過酷。よくやっている。私たちよくやっていた。
産婦同士は...といっても私の個人的な思いは、「みんな頑張っているから私も頑張ろう!ファイトー!」と部活のようなもモチベーションになる。特に私は深夜1時や明け方4時の本当に眠くて眠くてどうしようもない時間帯の授乳では他の産婦さんから元気をもらっていた。
授乳室に通っていると次第に他の産婦さんとも言葉を交わすようになり、私が廊下でコット2つと悪戦苦闘してると優しく助けてくれたりもした。みんな今は同じ産婦。おっぱい合宿を乗り越えていく同志だ。精神面で本当に助けれらた。仲間意識を抱かずにはいられなかった。

でもさ、産後の赤ちゃんのお世話ってお母さんが全部やるのはやっぱり酷じゃない?

田房永子さんのツイッター、なんとマーベラス!と思った。

父子同室ってめちゃくちゃ良い考えではなかろうか。
双子の時はお股も切らなかったけどやっぱりダメージは凄まじかった。どうやっても出産は母体に負担がかかるものなのだと実感した。一説には交通事故にあったのと同じレベルともいわれている。その状態で新生児のお世話をろくに寝ずにするって...どうかしてるぜ!と言いたい。
2人目以降ではお母さんの入院中の上の子ケアがあるのでなかなか難しいかもしれない。だがお父さんが産後入院中から新生児のお世話をプロ(助産師さん)から教わる。
すごくよくない?クレバーじゃない?ファンタスティックじゃない?

男性の産休とともに父子同室という選択ができるようになったら日本もなかなか捨てたものじゃないと思える。

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