郷土へ

地元愛がないんだね、と言われる。実際あんまり思い入れはなくて、一番最近帰ったのは5年前だった。

自分を作ってくれたのは人だと思ってる。それは今もずっと変わらず。食べ物とか空気とか景色とか、それは全部誰かとの思い出をより綺麗に残しておくためのフィルターみたいなものなんだと思ってるから、あんまり土地に根付いて執着してって感覚が自分の中にはない。
水の味とか空気の良さとか目に優しい緑とか、それが良いに越したことはないけど、その時にどんな人が近くに居てそれを自分と一緒に感じてくれてるのかが私の中ではぎゅっとなるところ。
それに今の環境も育ってきた環境も同じくらい大切で、折々に支えてくれてる人たちは常々同じくらい大切なので、今も昔も思い入れは変わらない。地元でも東京でも、友達でも同僚でも、一緒に過ごした人たちは同じくらいずっと大好き。
なので私に地元愛はない。これからもそうだろうなあ。

仲の良い友達に「歳を取ったら田舎に帰ろうと思ってる」って話をされると、自分勝手に悲しくなってしまう。
今の自分との思い出は、昔を越えられないんだなって思ってしまう。
昔の何がそんなに良かったんだろうか、今だって充分楽しそうじゃないか、今の方がやりたいことがたくさんやれて素敵な記憶が日々更新されてるんじゃないのか、思い出を超える日々を私と過ごそうとは思ってくれないのか、とかいろいろ考えてしまう。
そんなことないんだけどね、みんな故郷が恋しい気持ちがあるのは分かってるんだ。自分にはない感覚なので、この人の未来に自分はいないんだなと寂しくなってしまうんだな。

過去の話や未来の話をされると今を否定されたように捉えてしまうのは全くもってよくないことで、だから本当は地元愛もほんの少し自分の中にあったらいいなと思う。だけどないものは仕方がないので、やっぱり今近くにいてくれる人が大好きで、その人たちが暮らす風景を一番大事にして生きたいなと思う頑固なやつ。

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