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尺取り虫、見ーつけた!

花壇のお世話をしていたら、秋明菊の葉っぱに茶柱みたいな奴がいた。
茶柱みたいな風貌のくせに、くねくね動く。

「あ、シャクトリムシ!」

久々にお目にかかりましたな、シャクトリムシくん。
あなたのそのリズミカルで軽快な動き、Ω(オーム)型のポーズに、子どもの頃は本当に楽しませてもらいましたよ。
思わぬ再会に嬉しくなって葉っぱごとちぎり、シャクトリムシさんを我が家にお迎えした。
子ども達2人は「ぎゃー、むしー」と、一度その場から離れたが、動きの面白さを私がアピールしているうちに、恐る恐る近づいてきた。

やがて、私が狙った通り、二人はシャクトリムシの動きに魅せられてしばらく観察していたが、すぐに飽きてどこかへ行ってしまった。

少しは虫に馴染みを持ってくれたかしらん…と願いながら、シャクトリムシを花壇の、元いた秋明菊の葉っぱに帰してあげた。

* * * * *

後日、シャクトリムシについて調べたら、蛾の幼虫ということがわかった。
ヒトに直接の害はないが、葉っぱを食べ尽くしてしまう、いわば害虫らしい。

がーん。
私はすっかり、可愛くて面白い風貌に騙されていたのか…。
心なしか、秋明菊の葉っぱが減っているように感じていたのも、気のせいではないようだ。シャクトリムシが食べているらしい。

むうー。
今度シャクトリムシを見つけた時は、もう甘い顔はしないぞ。
でもまあ、花壇にいる毛虫とか芋虫って、大概が植物の敵ですよね…。シャクトリムシだけ特別いい子、ってことはないんですよね…。

ああー、シャクトリムシもそうだったかーーー。と、昔からの仲間を失ったような気分になる。

だけど、また見つけたら、「なんか実際のところはひどい奴みたいだけど、私が知ってる君は、面白くていい奴だよね」なんて目で見つめてしまいそう。

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