バランスチェアを捨てたクライアントさんの話
バランスチェアとかプロポーションチェアと呼ばれてる、座面が斜めになっていて、脛で支える「背筋を伸ばすためのイス」、ご存知ですか?
昔流行ってた気がしてたけど、いまも流通してたのですね。
先日いらしたクライアントさん、膝あたりに不自然な圧がかかってて、
それとバランスを取るように背骨にも不思議な緊張が。
???
不思議に思って詳しくお話を伺ってみると、在宅ワークでずっとバランスチェアを使っているとのこと。
で、別のイスを使うようにしていただいたら、次回いらしたときにはすっかり解消されていました。
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バランスチェアは、「背筋を伸ばす」という目的のために作られた製品です。どんな人でもからだの構造上、これに座れば背筋は伸びるようにできています。
でも本来、「背筋が伸びる」というのは、からだも心も整った結果として起きること。条件が整わないまま、無理に形だけつくろうとしたら必ず他のところにしわ寄せが起こります。
「背筋(だけ)を伸ばす」ために、犠牲になっているものはないか?という視点で眺めてみると、違う側面が見えてきます。
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まず膝は、バランスチェアに座るときのような中途半端な角度で固定して、持続的に圧を受けるようにはできていません。
イスに座るっていうのは、色々な座り方がありますが、お仕事や勉強で頭を使うために座るのであれば、やりたいのは作業のための座り方。
どっしり背もたれにもたれてリラックスする、休むための座る、のではなく、「腰掛ける」という言葉の方がふさわしいかも。
立つ → 座るに移行する途中のところ、足でも体重を支えつつ、お尻もイスに支えてもらう。足とお尻の3点座り、が基本です。
この3点で体重を支えながら、全身で上手に揺らいでいられると楽に座っていられます。座っていても固まらない、動きがある状態。
この土台の支えが、足から脛になるとどうなるでしょう?
足より脛の方が体幹に近くなり、支え(固定)の面積も広くなるので、からだの揺らぎが少なくなります。
もちろん身体能力には個人差があるので、バランスチェアでも上手に揺らいで膝に負担なく座れる方も中にはいるでしょう。
でも脛は圧迫、足裏ぷらーん、になっている状態をみると、わたしは苦しいな、と感じます。
揺らぎがなくなる=どこかを固めて姿勢を保持しなくてはならなくなる、ということ。先述のクライアントさんの背骨にあった不自然な緊張は、そこからきていたもののようでした。
ネットで検索して使用例の写真を眺めてみましたが、どこかしらに不自然な緊張が生まれてしまっている方が多かったです。
(目で見るだけでは難しいけど、これに座っている人はどんな体感覚なんだろう?と感じ取るようにしてみると分かります。)
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仕事、勉強、座る時間が長いからからだにいいイスが欲しい!
って思いますよね。
でもそれをイスだけで100%解決しようとするのはちょっと違うかな、とわたしは思うんです。
イスの力と、自分の力と、50:50。イスに完全に頼るのではなく、イスに助けてもらいながらどうやって快適度を高めるか自分で模索する。
ツールは依存するものではなく、自分の目的のために力を貸してもらうもの、としておかないと、自分の力が育っていきません。
この世には、「正しい姿勢」を、見た目で操作するために作られた、姿勢矯正〇〇、みたいなな製品がいっぱいあります。
どれもみな「良かれと思って」作られたもの。みんなのニーズに応えようとして作られたものです。
世の中のニーズが、「とりあえず見た目姿勢よくしたい」だったから、そのニーズにこたえるように供給がされていたわけです。
言葉を選び選び書いていますが、わたしはこの投稿で製品批判をしたいわけではなくて・・・
ただ、姿勢っていうものが、見た目だけ変えればいいものではない、ということがもっと一般に知られて、新たな常識となればいいな、と思って。
で、その新しい常識をサポートしてくれる製品が増えていくと嬉しいな、と。
そのためには、わたしたちひとりひとりの消費者が、自分のからだにとって何が良くて何が良くないのか、自分でわかるようにならないと。
これはいい、これは違う、そういうのが分かるからだの感受性を大切にしていかないと。
どんなに素晴らしいと謳われた製品でも少しでも違和感を感じたらそれは自分にとってはNOということ。
専門家やインフルエンサーのレビューではなく、自分が感じることを何よりも大切にしてください。
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件のクライアントさんは、「粗大ごみで捨てました!」と晴れやかなお顔で報告してくださいました。
みなさまがよき相棒となるイスと出会うことができますように!
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