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庶民目線で消費増税反対

今年10月に予定されている消費税率10%への引き上げ。

この反対論として、「主に、3種類に大別できるだろう」と高橋洋一氏の著作「消費増税は嘘ばかり」に書いてあった。

1.財政破綻論
2.社会保障論
3.景気論

1と2についてはプロに任せて、ここでは3の景気論を軸に(自分なりの)反対論を述べたい。

<景気とは>

「景気」を何で数値化するか。私は「GDP成長率」と「物価上昇率」で考える。

理由は、マクロ経済の指標として適切だと思うことに加えて、政府の目標として数値で明示されているからだ。

<増税するとどうなる?>

そもそも、消費税率を上げると一般に、家計消費を含む需要全体を下押しさせ、「景気(=GDP成長率と物価上昇率)」が悪くなるということを確認しておきたい。物価上昇率について、日本銀行の資料を元に確認する。

2016年9月21日 日本銀行『「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・物価動向と政策効果についての総括的な検証』

上記資料によると、物価上昇率2%を達成できなかった要因の一つとして「消費税率引き上げ後の需要の弱さ」を挙げている。
「消費増税によってGDP成長率が落ち込んだ」といった公式資料は見当たらなかったが(あったらぜひ教えてください)、税率が上がれば、可処分所得が将来にわたって減るのだから、GDPの中の家計消費支出が減り、GDP成長率に悪影響が出るということは自明だろう。

また、消費増税に合わせて「プレミアム付き商品券」や「軽減税率」などの対策が打たれていることからしても、政府自身が消費増税で景気が悪くなるという認識に立っているようだと伺える。
当然、対策が必要なら最初から増税するなと言いたい。

<目標と実績>

さて、政府の目標を確認したい。ここで扱う目標は二つである。

1.【GDP成長率】10年間平均で名目GDP成長率3%、実質GDP成長率2%程度

2013年6月14日 閣議決定「日本再興戦略ーJAPAN is BACKー」

2.【物価上昇率】消費者物価(総合)の前年比上昇率2%

2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」
https://www.boj.or.jp/mopo/outline/qqe.htm/
大胆な金融政策に向けて~日本銀行と共同声明
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/nichigin_accord.html

「消費者物価」の定義については、質問主意書の答弁書による。

平成二十七年八月二十一日
参議院議員大久保勉君提出物価安定目標における消費者物価指数に関する質問に対する答弁書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/189/touh/t189237.htm

次に、実績を確認する。

1.【GDP成長率】2013年度〜2017年度平均で名目GDP成長率1.92%・実質GDP成長率0.92%

内閣府「2017年度国民経済計算(2011年基準・2008SNA)」
https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h29/h29_kaku_top.html
2013年度 名目:507兆2552億円 実質:512兆5347億円
2017年度 名目:547兆4085億円 実質:531兆6781億円

これを計算すると、以下の通り。
平均名目成長率=(547408.5/507255.2)^(1/4)-1
∴1.92%
平均実質成長率=(531678.1/512534.7)^(1/4)-1
∴0.92%

2.【物価上昇率】2018年(暦年)の消費者物価(総合)の前年比上昇率1.0%

平成30年(2018年)平均消費者物価指数の動向
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031812175&fileKind=2

ちなみに、2017年の物価上昇率は0.5%、2016年は-0.1%だった。

平成29年(2017年)平均消費者物価指数の動向
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031685336&fileKind=2
平成28年(2016年)平均消費者物価指数の動向
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031559970&fileKind=2

<結び>

税率を上げると一般に景気が悪くなる、そして、政府目標であるGDP成長率と物価上昇率が目標未達成であること。
消費増税の対策として「プレミアム付き商品券」「軽減税率」などを行う意味不明さ。

やるべき政策の方向性が違うのではないか。

るんるーん♪