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【イベントレポ】生き延びるために@バンクトゥ5周年記念イベントへ。

編集や制作のその先に何があるのか。

最近ずっと考えていることがあるんです。何を目指して、どうなりたいから「制作ディレクター」という仕事を続けて来たのか。「これから何を目指して生きていきたいか?」と疑問を持ちつつ、facebookを流し読みしていた、ちょうど仕事終わりの土曜日の夜。


【バンクトゥ5周年記念イベント 「生き延びる」】というイベント。「生き延びる」ってタイトルに引っかかりました。

いや、正確にはまだ何者にもなれていない私にだって、まだやれることあるんだ、生き残りたいんだと思ったのかもしれません。(あと、Huuuuの徳谷柿次郎さんとRe:Sの竹内厚さんが来るし、しかもタダかよ!これは…)


...い、行くしかない。


バンクトゥ5周年記念イベント 「生き延びる」

気づいたら、関係者でもないのにソッコーで予約しました。というか編集・制作コンテンツのその先に何ができるのか答えを知りたかったんでしょうね。自分のために。未来のために。(京都だし、寒いし、大阪の自宅でぬくぬくネットサーフィンもできたのに。)


開催場所は清水五条駅近くの「MTRL KYOTO」という、おしゃスペース。

クリエイティワークを必要とする全ての人が手軽に利用できる、オープン空間とサービスだそうです。この場所を運営するのはLoftwork Inc.さんで、こちらで働いている大好きな先輩に久しぶりに会えるかと思って参加した経緯もあります(結局会えませんでした笑)。


bank to」さんという編集プロダクションの5周年記念イベントではゲストを呼んで、トークセッション形式で話すというイベントでした。
何となく参加者は業界関係者ばかり。


トークテーマ「編集を考えてみる」

「場の編集」「地域の編集」「コンテンツディレクション」など、多様化する“編集”。関西を代表する編集者の竹内厚さん、全国のローカル情報を届ける編集者の徳谷柿次郎さんから「編集力とは何か」について話を聞く。


【ゲスト1】 竹内 厚
1975年生まれ。編集者。雑誌やフリーペーパー、ウェブマガジンの編集、執筆を手がける。文化施設や企業の広報誌なども担当。UR都市機構のウェブマガジン『OURS. KARIGURASHI MAGAZINE』、書籍『#カリグラシ』編集担当。月刊誌『meets regional』では、アーティスト探訪「けもの道を行け!」連載中。現在、Re:Sに所属。

【ゲスト2】 徳谷 柿次郎
1982年生まれ。大阪府出身。株式会社Huuuu代表。2011年に株式会社バーグハンバーグバーグへウェブディレクターとして入社。47都道府県のローカル情報を届ける『ジモコロ』と、全国の小さな声を届けるウェブマガジン『BAMP』という2つのウェブメディアの編集長を務める。


#トークセッション内容

-Huuuu徳谷さん
ローカル(地元)に転がっているものを全国に発信するメディア「ジモコロ」の編集長をしています。でも私の中では東京、京都、大阪も全部ローカルですね。地元で仕事を探す人に向けたWebメディアですが、なんでもいいんですよ。森羅万象とでも言いますか。笑

-Re:S 竹内さん
Webメディアって区切ったゲームのわりになんでもありですよね。結局ローカルメディア作っていたら扱う対象がサイトを見ている全ての人になりますし。私は元々Lマガジン入社前に作文のようなものを書かないといけなかったのですが、京阪でいうところ「野江」駅前のことを書いていたんです。

その時ふと思ったのが私の中のローカルって「徒歩5分程度でふらっと行ける場所」ってニュアンスなんです。

-Huuuu徳谷さん
それ、めちゃわかります。駅前にある古い喫茶店があっても入ったことないみたいな。

-Re:S 竹内さん
そうそう。近くにあるけど入ったことない店が大阪には沢山あるし、そんな店のことを書いていきたいと思ってLマガジン社に入社したのがきっかけで京阪神メディアに活動が広がってきたんですよね。でも大阪って括りで考えたら広すぎるし、私は車を持ってないので自転車で移動できる範囲かな。

-Huuuu徳谷さん
というかそもそも「ジモコロ」は元々「ローカルメディア」という位置付けではなかったんです。

テーマが「地元のシゴト」なんですが「『ローカル』の流れが社会全体的に来ているぞ」と。だから地元を紹介するだけでないメディアを目指したいなと思ってやっていたら、結果的にユーザーから「ローカルメディア」という見られ方をしたというだけで、自分からローカルメディア目指そうなんてハナから思ってなかったんです。

-Re:S 竹内さん
流れに乗った的な感じですか。というか「ローカルメディアやるぞ」ってどんなイメージをしてやるかをそもそもインタビューしてみたいですね。私もフリーペーパーや雑誌等の仕事で取材させてもらってやらせて貰うことが多いのですが、自分から発信でやるぞってのはないですね。

一つ事例としてUR都市機構さんがうまく団地を発信できていないという課題があって、編集者としてプロジェクトに参加して立ち上げたのが「OURS. KARIGURASHI MAGAZINE」です。

それまで私は大阪の団地のことなんて全然知らなかったですし、路地のことも知りませんでしたね。もっと早く路地裏の飲屋街のことを教えて欲しかったですね(笑)。

まぁそれは「町をよく見るということ」だと思うんです。例えば「ディープなお店」や「コアな路地裏」とかいう言葉はありますが、実際そこに住んでいる人はそんなこと思ったことないわけじゃないですか。

一般的なガイドブックにはなかなか掲載されづらい場所ということなんですけど、だからと言って全然悪いわけではないんです。例えば「近くのローソンにヤバイ店員・外人の店員さんがいるから面白い」とか。必要に応じて「ディープな店」と言えばそれだけの話なんです。

-bank to 光川さん
そうですね。ただ編集者が難しいのは地元のを面白い人を見つけたりすることやと思うんですが、生情報の見つけ方ってどうしていますか。

-Huuuu徳谷さん
現地の人が「何となく」案内してくれた中で出会うことがありますね。でもこの「何となく」出会うためには「現地の地元の人はこういう人が好きなんだな」と分かりやすさを地元の人に伝えておくことが大事だなと思いますね。観光で行くような場所を外して地元にヤバイおじさん・おばさんいませんかというように紹介してもらいます。

-Re:S 竹内さん
なるほど。ただ、一つジレンマがあって大阪であれば「隣の人間国宝さん」シールがお店に貼ってたりしますけど、地元の面白い人やお店って色んなメディアやテレビでも紹介されるんで結局面白い人捜し合戦になると難しいじゃないですか。特に田舎の方に行けば行くほど同じ人に殺到していますし。

-Huuuu徳谷さん
メディアやテレビでしょっちゅう取り上げられていたり、ネット記事でも知られている人や場所に我々が気づいていたら、行かないですね。逆に気づいていたら、避けておきます。例えば地元のメディアやフリーペーパーに載っているだけなら取材にいきます。

どういう人に見てもらいたいかにもよるとは思いますが、ただジモコロきっかけでメディアやテレビに出てくる様になる所もあるのでそういうのはいいかなと思います。ただ、無理には捜したりしないですよ。

だいたい現地に到着したら、飲みながら喋って、地元の人に話を聞いて、紹介してもらって、会ってみてから判断するだけですね。

-bank to 光川さん
今のを聞いて私が嫉妬してしまうのが、もともとガイドブックの編集出身なので分かりにくい情報を分かりやすく伝える「編集の情報設計」は得意なんですよ。なので、具体的にはクライアントワークの相談はよくあります。企業内しか分からない情報を外部にどう分かりやすく伝えるかということですね。

一次情報を狙って、鋭い切り口を持っていない、失ってしまっている現状があるのでお二人にはジェラシーを感じてしまうんですよね。

例えばお客さんからも「これもうやったことあるからおもろないし、粋じゃない。」ってよく言われるんですよね。物凄く尖ったアイデアと意味的なロジックもあったものを要求されるので。

-Re:S 竹内さん
企画を立てる編集会議の段階から様々な切り口を用意できているかによって変わってきますね。あと路地裏のディープな家に普通の人をおいても面白くなるときもあるから結局現場ごとにどうしていくかじゃないですかね。さっきのローソン店員の話ではないですけど。

-Huuuu徳谷さん
誰にも見つけられていない所があるから見つけられることってあると思うんですよね。ソトコトさんやgreenzさんっていうソーシャルな活動を取り上げるメディアがある手前、面白さを発信する事で遊ばせて貰っているんだと思うんです。結果的にカウンターパンチになっているんですけどね。

-bank to 光川さん
柿次郎さんが紙をやり始めた話を聞いたんですが。

-Huuuu徳谷さん
何となくローカルメディアをやってきていると、紙をやっている人と出会うんです。そうすると自分もやりたくなるんですよね。要は紙の作り手がどういう価値観でやっているのか知りたくてジモコロも一度フリーペーパーを作ったんですね。

というのもWebメディアで一度UPして何十万PVの記事でも1週間もすればユーザーに忘れられてしまうんですよね。でもフリーペーパーを作って欲しい人に向けて配布すると「あの時の紙持ってますよ」とか話のネタになる。

たまたまこのイベントに来る前に知って行った「the OPEN.noe」というシルクスクリーンのプリント工房が大阪の野江にあるんです。その店主さんね「ジモコロ」がめっちゃ好きでよく読んでくれていたのでめちゃめちゃ仲良くなって。(そうか、ジーパンの後ろに書いていたOPENはそのシルクプリントのロゴだったのか。)

東京ではWebを通じて全国色んな人に記事を届けられる一方で、雑誌があるだけで出会いの数が広がるのはいいなぁと思ったんです。それで「いつか記事にできたらな」と思える体験が大阪の野江であったので、次はお金を出しあって読みたいものを作れるならいいなと思ってます。

-Re:S 竹内さん
紙や雑誌を経て、「OURS.」をやっていますが、「ジモコロ」のような何十万PV出しているわけではありません。要は沢山の人には見られていないという事です。比べるわけではありませんが、このメディア自体がWebというより紙っぽいんですよね。記事一本ずつ読まれる感じが自分にとってしっくりきているんです。

面白い人を見つけてくるのは共通して編集長の度量としてあるんですが、「OURS.」ではただの部屋を見せるだけでは面白くないんですよね。今まで培ってきた編集力はこういう記事作りには活かせるのかなとは思ってます。ただサイトの導線をしっかり作らないといいものをユーザーに届けられない。

-Huuuu徳谷さん
特集があって、普通の記事があって、という流れなんですよね。つまりWeb記事って表紙がないんですよね。だからなかなかWeb記事って読まれない。しかもみんな結構覚えてないんですよね。だからどれだけ印象に残る表紙をどう出すかという事が重要なんですよね。

-Re:S 竹内さん
僕の場合は表紙感、特集をどう出すかではなくて後ろの方に載ってる小さいコラムが好き。特集メインがあるから後ろの方で面白い記事が書けるんですよね。

-bank to 光川さん
メディアは変動が激しいので、今後5年の展望みたいなことをお伺いできればと思うのですが。

-Huuuu徳谷さん
そうですね。僕は長野県長野市でお店を作ること、既にあるビルをリノベーションしてスペースを作ること、それから村を作りたいですね。

長野県には同じような同世代のプレーヤーが居て、みんな外からの機会を求めている人が多いんです。だから僕が入り込む事によってできるポテンシャルが長野にはあるなと思っています。

そういえば、ブログ「隠居系男子」を運営する鳥井さんも同じような事を呟いていたような...。

お店の方はできるかなと思っているんですけど、ビルには中に保育所を作ったり、コワーキングスペースを作ったり、村で農業体験できたりすれば畑で作ったものをまたお店で食べられるので。一つの地域循環が作りたいですね。

今のうちに旗振りをしておいて、40歳までに作れたらいいかなと思っています。手段が変わるだけであり人に会いにいけるのが楽しいし、記事(手段が店やビル)にしてコンテンツ化していくのが好き。それで出会ってきた人が繋がってネットワークになって、結果的に雇用に繋がる事ならなお良いしね。

-Re:S 竹内さん
私の方は日々で精一杯。2023年は色々変わってるんやけど、分からへんわ。編集の上手い下手があるけれど、あまり言われない。だからこそ「編集」を上手くなって、編集の先を突き詰めたいからもっとうまくなる精進をする。それが生き延びることなのかと思っています。


個人的なまとめ

お二人のトークセッションを聞きながら、真ん中にある「ローカル」という共通テーマがありつつもどこか二人の「ローカル」に対する捉え方の違いを感じました。

…その考え方や捉え方の違いってなんだろうか。

以前記事でgrafの服部滋樹さんが言っていた印象的な内容を思い出しました。

地域では共通する問題を抱え、異なる問題に悩む。“Think Globally, Act Locally.”という言葉のように、世界の目線で考えて地域で物事を動かす、アクションを起こす時代だと考えます。例えば、東京で仕事をしたが、そのスピード感になじめないという人たちが、田舎へ戻って東京で学んだ経験を地域の問題発見のために使う。それこそがデザインすることだと考えます。

(参考)地域に眠っている課題を見つけ、その解決のために何をするべきか~graf代表 服部滋樹氏~


上記はデザイナーやクリエイターが今後すべき仕事に対する考察だったのですが、編集においても同じことが言えるのではないかと私は思いました。

既に住んでいる「地元」で切り口を変えた視点から再編集を試みる竹内さん。そして、東京で実践してきた経験を元に全国にある「地元」の問題発見と現代への再編集のため全国行脚をしながら編集作業をする徳谷さん。

考え方や捉え方が違うというより、生き延びる手段が違うということなのではないでしょうか。とあまり、まとまりがないレポートとなりましたが。


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