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しずかに興奮した

2023/09/04(月)

 川上弘美『恋ははかない、あるいはプールの底のステーキ』を読む。楽しみにしていた新作だ。
 連作短篇で、最初の2話はふわふわとしたマジカルな筆致なんだけど、3話目から雰囲気が変わってくる。2020年から2023年の話であることが明言され、各話が雑誌に掲載された時期の世相が色濃く描写され……つまり、コロナ下の暮らしを記録した小説になっていく。
 主人公は60歳を過ぎた女性の作家で、子どものときに海外生活をしていて、外国人の友人がいて、現在は文学賞の選考委員もしていて……と、川上先生の分身のような登場人物。私小説ではないけれど、作者の思考や感情はかなりそのまま反映されているんじゃないか。
 エッセイよりずっと直截的に川上先生の執筆のようすや小説観がうかがえるような気がして、読んでいてしずかに興奮した。

このようにして芥川賞受賞作を決めておられるのか

 夜は屋外のビアガーデンに行く。
 8月は札幌も本州並みの猛暑だったけど、今月に入ってからじょじょに涼しくなってきて、肌を撫でる夜風が気持ちいい。
 ビールが樽形のサーバーから注ぎ放題というシステムで、こちらもしずかに興奮した。


2023/09/05(火)

 それほど飲んだわけじゃないんだけど、二日酔いで重たい頭を持ち上げてのそのそと起床する。

 終日、粛々とやることをこなす。
 なんとなくそうなるんじゃないかという猛烈に悪い予感がしていたのが的中して、10月から忙しさが謎に増すらしかった。執筆に取り組む時間と体力をちゃんと確保しないとなぁ……
 書きたいことだけを書くわけにはいかない。
 とはいえ書けることしか書けないんだけど。
 がんばろう。

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