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先代の愛犬の話。


先代の愛犬は 捨て犬だった。
保護センターから引き取って家族になりました。
家族になった当時は7~9歳との話。
ブリーダーが捨てた。
そうセンターの人は言っていた。


その飼い主は 子供が産めなくなって捨てたんだろうって。

その人にとって 商売道具でしかなかったんだ。
引き取った当初は 痩せて 禿げていた。
まったく吠えなかった。なにかに怯えているのか。
目は希望の光ひとつもない死んだ目だった。

そんな愛犬が初めての 愛犬だった。
自分は 初めて飼うわんこに保護犬を選んだ。

それは 今思えば 結構な決断だったなぁ。

そのわんこに自分は『こころ』って名前を付けた。
幸せになって欲しい 一心で たくさんの名前を考えた。どうすれば 幸せになってくれるかな。
名前を考えながら いつも考えた。

毎日抱っこして 閉ざした心を 少しづつでも 開いてくれればと思って 家の中を歩いて回った。


朝と夜にお散歩に行った。
トイレトレーニングが大変だった。
家でトイレを覚えてくれなくて。

それでも トイレを覚えてくれたし
お座りも伏せも覚えてくれた。

捨て犬だったからか 縄張り意識がすごく強くて
外から来た人に噛み付こうと飛びかかった。
いつも 抱っこしてなだめるのが大変だった。

でも こころは 家族になってすぐ ほとんどの歯が もうダメになっていて 抜いた。


前の飼い主が何も手入せず 
愛情がなかったのがよくわかった。

抜いた後残ったのはたった数本。

前の方に歯や 犬歯だけだった。

手術や入院もたくさんした。

おやつ用の骨を飲み込んで 食道のところに引っかかったりした。
チョコを食べてしまって 点滴打ったりした。


…今思えば 人間の不注意だなぁ。
ごめんね。

家に来て 4.5年たって 病気になった。
ヘモグロビンの病気。
原因は一概に言えないけど 栄養状態が悪いのが続いたのも関係ないとも言えない。と。
治す方法は無くて 薬を飲んでた。


乗れたはずのソファに乗れなくなった。
たくさん歩けなくなった。
足の力が弱くなった。


そして ある日突然 横になったまま起き上がれなくなった。
もう どうしたらいいか分からなかった。

病院に行った。

 連れて 帰るか
預けて 治療するか

少しでもっと思って預けた。


でも 冷たくなった愛犬を
次の日迎えに行った。

その日から 地獄のような毎日だった。
生きる理由とも言える 愛犬が居ない。
生きてる理由が 分からない。

死にたかった。本当に一緒に死にたかった。
少しでも 死に近づこうと食べないようにした。
幸せそうな人が憎かった。
ペットと幸せそうな人が 憎かった。
羨ましかった。

いつか 貴方のペットも死ぬんだ。


そう言ってやりたくなった。
この時の精神状態は 最悪だった。

テレビで犬を観たくない。

自分はどうすればいいのか。
死ぬ勇気がない。生きるのも苦痛。

ペットロスってこんなにも 苦しいんだ。
家族を失うのは こんなにも
生きてる理由が 分からなくなるんだ。

知らなかった。
家族がいなくなった事がなかったから。

死にたい。死ねない。
ずっとずっとそうだった。

今でも愛犬の最期を思い出す。 
一生懸命に起き上がろうとした事。
なにかを目で伝えていた事。
きっと 最期を悟ってた。
ちゃんと 伝わった。たくさんの気持ち。

たくさんの幸せ ありがとう。

こころは 自分に幸せを沢山 運んでくれた。
その分 いなくなった時 すごくすごく つらかった。

でも たくさんの事 教えてくれた。

一緒に魂がいてくれるように
ペンダントをつけてる。

寂しがり屋のお母さん犬の食いしん坊なこころ。

たくさんの幸せありがとう。
ずっと大好きだよ。
どうか そばで見守っててね。

どうか 少しでも 保護犬が減りますように。
どうか 保護犬が新しい幸せを
飼い主さんとつかめますように。

 

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