AKIO IIJIMA

株式会社Que取締役。

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最近の記事

NFTのビジネスモデル3つのカテゴリーに分類すると理解ができる。

 NFTが理解しずらいのは、3つのビジネスモデルが混在しているのに、一括りでNFTビジネスと語られているからです。 この3つのビジネスモデルを整理してみたいと思います。 ■NFTモデル(1)  希少な画像の一点もの  唯一性が担保されるNFTによって、アート作品などの希少なデータの所有権を販売するというもの。主にオークションに出品され、ものによっては、高値がついて話題になりました。代表的なものは以下になります。 Beeple 「Everyday - The First 5

    • Web3.0がエンタメ業界に何をもたらすのか?

       ブロックチェーンという技術によって、インターネットは非連続的な進化を遂げ、Web3.0時代の到来と言われています。Web3.0とは、Web2.0と何が違ってくるのでしょうか? エンターテイメント・ビジネスにも大きな影響を及ぼすと言われていますが、NFTやメタバースという事象だけを見ていると、今までの技術進化の延長線上にしか見えないかもしれません。  Web3.0という流れが、エンターテイメント業界に何をもたらすのか? 技術的な視点ではなく、ビジネス文化論的な視点も考慮して考

      • 組織のモチベーション(11) 「理想的な組織形態とは?」(最終回)

         共同体組織は硬直化して死に至る危険性があり、機能体組織は人の犠牲を伴うブラック組織になる危険性があります。そうなると、理想的な組織とは、どんな形態になるのでしょうか? ヒントは、組織の中の個人のモチベーションにあるのかもしれません。  個人のモチベーションを考えるにあたって、「モチベーション3.0」(ダニエル・ピンク 著、大前研一 訳)を参考にしました。この本によると、個人のモチベーションには3段階のバージョンが存在します。  モチベーション1.0は、「生存本能に基づくモチ

        • 組織のモチベーション(10)「熊本鶴屋百貨店が生まれ変われた理由」

           共同体化してしまった企業では、イノベーションは起こり得ないのでしょうか? ここまで書いてきたように、共同体では、メンバーの居心地の良さが何よりも優先されるため、変革が好まれません。イノベーションには、既得権益のディスラプション(破壊)が含まれているからです。  共同体企業から、イノベーションを起こすアイデアを依頼されたら、そのアイデアが革新的であればあるほど、成就しないと思った方がいいでしょう。ただし、経営者に強烈な危機感と覚悟があれば、話は違います。共同体化を打ち破ること

        NFTのビジネスモデル3つのカテゴリーに分類すると理解ができる。

        • Web3.0がエンタメ業界に何をもたらすのか?

        • 組織のモチベーション(11) 「理想的な組織形態とは?」(最終回)

        • 組織のモチベーション(10)「熊本鶴屋百貨店が生まれ変われた理由」

          組織のモチベーション(9)「独立編成組織の活用 〜海兵隊に学ぶ〜」

           前章でも書きましたように、組織が共同体化すると、その組織は、知らず知らずに硬直化し、本来の目的を達成できなくなってしまいます。それを防ぐ、効果的な方法はあるのでしょうか?  アメリカ軍に、そのヒントを見ることができます。アメリカ軍は、機能体組織であるべき軍隊が共同体化するのを防ぐために「組織の揺らぎ」をもたらす独立編成組織を設けています。それが海兵隊です。  海兵隊は、第二次世界大戦序盤で苦戦を強いられたアメリカ軍が、日本軍に打ち勝つことを目的に作った軍隊組織です。陸軍でも

          組織のモチベーション(9)「独立編成組織の活用 〜海兵隊に学ぶ〜」

          組織のモチベーション(8)「東芝と日立の明暗を組織論で考察する」

           あなたがプランナーで、共同体化してしまった企業から、それを打ち破るような新事業アイデアの提案を依頼されたら、どのように対応したら良いでしょうか?  結論から言うと、組織のモチベーション(1)に書きましたように、共同体組織では、革新的な事業アイデアは成就しません。特に、会社の業績が横ばい状態で、社内の空気が内志向になっている場合は、表面上、採用されたように見えても、現場の抵抗で動かなくなります。  あなたの勤めている企業、またはクライアント企業が、どの程度共同体化してしま

          組織のモチベーション(8)「東芝と日立の明暗を組織論で考察する」

          組織のモチベーション(7)「組織を死に至らせる病=共同体化」

           前章で、政府や世論は、低成長時代に合わせて、企業や個人に安定志向を植え付け、共同体度を高めようとしているのではないかと書きました。企業が成長しようとしても、なかなか成長しないなら、無理して成長を望まず、ワークライフバランスを考えて、従業員の安住感と充実感を高める事に力点を置くべきという考え方が広がりつつあります。  これが、低成長あるいはマイナス成長時代の正しい考え方なのでしょうか?  一見合理的な考えに見えますが、組織にとっては、非常に危険な道へと踏み出す事になりかね

          組織のモチベーション(7)「組織を死に至らせる病=共同体化」

          組織のモチベーション(6)「日本企業の組織形態はどのように変わってきたか?」

           前章の後半で、組織の気質である“成長志向”性と“安定志向”性や、組織の形態である“共同体”度と“機能体”度は、時代とともに時間差を持ちながら変化すると書きました。その典型的な事例である、高度成長時代から現代に至る日本企業の変遷について、組織の気質や形態の視点で振り返ってみたいと思います。  日本は、1955年から1973年の18年間に世界的にも類を見ない高度成長を遂げました。企業は、自然と成長志向となり、売上拡大という目的の達成を目指しました。社員も企業が成長する事で、給

          組織のモチベーション(6)「日本企業の組織形態はどのように変わってきたか?」

          組織のモチベーション(5)「あなたの組織は機能体? 共同体?」

           学生時代、組織には、「ゲマインシャフト(共同体組織)」と「ゲゼルシャフト(機能体組織)」という二つの“形態”があるということを習った覚えがありませんか?  これは、130年前にドイツの社会学者フェルディナント・テンニースが提唱した概念です。この二つの“形態”が、組織のモチベーションを理解するために、極めて重要なものになりますので、少しアカデミックな話になってしまいますが、しばし我慢してお付き合いください。  理解しやすいように、二つの“形態”を、機能体、共同体と呼ぶよう

          組織のモチベーション(5)「あなたの組織は機能体? 共同体?」

          組織のモチベーション(4)「日本史上最長の安定志向組織に学ぶ」

           成長志向組織が、成長の限界に行き着いてしまった時、以下のように、二つの対応策があると書きました。 対応策①「気質を成長志向から安定志向へと切り替える。」 対応策②「次なるフロンティア市場で、成長を継続。」  豊臣秀吉は対応策②を選択し、朝鮮出兵などあくまでも成長を目指すことによって、組織の凋落の原因を作りました。急速に成長した企業も、たいていは対応策②を選択します。  対応策①という選択はありえないのでしょうか?  実は、これを見事に成功させた組織が歴史上あります

          組織のモチベーション(4)「日本史上最長の安定志向組織に学ぶ」

          組織のモチベーション(3)「日本史上最大の成長志向組織に学ぶ」

           前回、組織の気質には、成長志向と安定志向があり、民間企業は本質的に成長志向であると書きました。こうした成長志向の組織が、成長の限界に遭遇した時に、どうなってしまうのでしょうか?  歴史に学ぶことができます。  日本史上最大の急成長組織とは、織田家から始まり豊臣家に受け継がれた組織です。猛烈な成長志向気質を持った組織でした。約30年間をかけて急激な成長を遂げ、1590年、ついに全国統一を果たします。すると、これ以上領土を拡大しようにも、拡大できなくなってしまいました。

          組織のモチベーション(3)「日本史上最大の成長志向組織に学ぶ」

          組織のモチベーション(2)「組織の中で育まれる組織の人格」

           組織は、利己的な個人の集合体でありながら、一つの性質を持ちます。この性質は、生物学で言う体質と気質によって構成され、組織の人格とも言えるものを形成します。  組織の体質とは、どのような機関で全体の意思決定が行われ、それをどのような体制で、個別の行動に移していくかの組織構造のことを言います。 体質は、フィジカル医学同様、視覚的にとらえやすく、問題がある箇所も限定しやすいので、組織論というとこちらの研究が進んでいます。  一方、組織の気質とは、組織が持つ志向性のことで、組織

          組織のモチベーション(2)「組織の中で育まれる組織の人格」

          組織のモチベーション(1)「なぜ革新的事業アイデアは採用されないのか?」

          <概要>  企画は実行してこそ意味があり、事業は継続してこそ、成功へと続いていきます。 それに必要なのは、組織を動かし従業員をその気にさせる、すなわちモチベーションの設計です。  しかしそれは、簡単なことではありません。何故なら組織は様々な個人の集合体でありながら、組織としても一つの気質を持つからです。そしてこの組織の気質が、個人の行動を左右していきます。  事業開発、事業改革を成功させるために、このような組織、そして個人の行動原理を研究し、組織と個人、両方のモチベー

          組織のモチベーション(1)「なぜ革新的事業アイデアは採用されないのか?」