進学塾

低学年から進学塾に通うと「先細る」って本当ですか?

私どものように全国を対象とした学習指導をしていますと、このような噂をよく耳にします。すべてのお子さんがそうなるというわけではありませんが、その傾向があるのは事実です。

なぜ、低学年時から進学塾に通うと先細る傾向があるのか。

これは、冷静に考えればだれでも気づくことができることなのですが、いざわが子のこととなると、冷静に判断できなくなってしまうのが、私たち親というものです。

たとえば、あなたが進学塾の経営者だとします。

この進学塾を発展させていくには、できるだけ多くの生徒さんを集めて、受験ではしっかり結果を出していく必要があります。

少ない生徒数だと、当然結果が出しにくくなりますし、有能な講師の先生も雇うことができません。ですから、経営者にとっては「生徒数」がとても重要なわけです。

ではこの生徒は、どのようにして集めるのか。

そのひとつは、「うわさ」です。

現代はインターネット、スマートフォンが普及したことで、「うわさ」が一気に広まります。よい噂も、悪い噂も一気に広まっていきます。

その際、進学塾が一番困るうわさが、「あの塾はレベルがそれほど高くない。簡単だ」というものです。

多くのご父兄は、進学塾に入れる以上、確実に受験に成功してほしいと願っています。中学受験の入試問題そのものが難しいのですから塾で勉強する内容は、少し難しいことを学習することが必要なのではないかと多くのご父兄は考えていると思います。

そのような中で、「あの塾の学習内容はレベルがそれほど高くない」といううわさが立つようでは、塾の生徒募集は成功しません。簡単な塾に難関校の受験は任せられないと見切られてしまうからです。

ですから、進学塾というものは、子どもの状況、理解度等に関係なく、あえて「難しいこと」をさせるのが一般的です。親が横について教えなければ子どもが理解できない宿題を出しているのが実状です。

こうすることで、父兄の間では「あの塾はレベルの高いことをしている」といううわさが立ちやすくなります。(冷静に見れば、子どもの理解状況に関係なく、親の目を意識して進学塾のカリキュラムは消化されている側面があります)

この塾の経営方針の影響を受け、一番被害を受けるのは子どもたちです。

自分の理解のスピードや、定着度状況などと関係なく、いつも難しい問題を出題され続けることを想像してみてください。

「算数が得意!」と思って入塾して、入塾テストでも上位の成績で、一番良いクラスに入ったのに、「むずかしい、わからない、できない」というマイナスの経験が続くうちに、せっかく持っていた算数に対する得意意識もなえてしまい、最後には自信を無くしてしまうという最悪の結末をまねくことになります。

特に、低学年から進学塾に通うお子さんにこの傾向が顕著に表れていて、一部のお母さんたちの間で問題になっています。

それでは、ここで具体例をあげてみたいと思いますので参考にしてください。

算数が得意だったのに、苦手意識を持つようになってしまったお子さんの具体例です。「得意」から「苦手」に移る時には、次のような傾向が頻繁に表れてくるので、要注意です。

それは、うっかりミスです。

それまでは100点ということが多かった学校のテストも、90点、89点というような、ちょっとした「うっかりミス」が目立ってきます。
お子さん自身も一生懸命見直しているのに、うっかりミスが頻繁に出てくるようになります。

ここまでの現象ならまだ良いほうで、さらに自信をなくしていくと、うっかりミスを超えて小学3年生のお子さんでも「2+3」をまちがえたりするようになります。

このような話をすると「え!そこまではないでしょ?」と思うかもしれませんが、子どもが自信をなくすと、本当にそのような問題でもミスするようになるのです。
今まで完璧にできていたことも、まるで何も知らないかのように、できなくなっていくのです。

低学年時に、程度の差はあれ、得意意識や自信をなくせば、学年が上がるにつれて、能力が先細るのは当然ですね。

「また、できなかった・・・」
「やっぱり、できなかった・・・」

このような経験ばかりして、どんどん能力が伸びる子は一人もいません。

ましてや低学年時は、人格形成の大切な時期です。
この時期の経験が、その後に影響を及ぼすのは当然のことですね。

私たちがこれまでの学習指導経験から感じることは、低学年時は、子どもひとり一人のスタートラインからコツコツと学習を進めて、「できた!わかった!また、できた!」という成功体験をたくさん経験させてあげることです。

そして、受験を考えているお子さんについては、無理なく小学4年生くらいまでに小学6年生の算数体系が習得できるプログラムを組んであげることです。最低限ここまでのプログラムを消化していけば、無理なく、自信をなくすこともなく、塾の授業や課題に対応していくことができます。

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