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行く末(2) - 男性学を紐解く -2-

 『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』(田中俊之)を読み進めながら、男性学とはなんぞや、を考えていこうと思ったら、思いの外あっさり読み終わってしまった。

題名からして大上段に構えた内容でないことは明らかだし、学術的な本でもないから当たり前と言えば当たり前か。

 個人的には、男性学とは「男性であること」、ではなく「男性でいること」を考えるよすがである、と今の段階では定義したい。

 ちなみに、ウィキペディアにはこうある。

[男性学(だんせいがく、en:Men's studies)とは、男性ジェンダー化された存在と捉え、男女間の問題や男性同士での権力関係など近代社会に発生する諸問題を男性性の視点から解明する学問分野である。]

 この稿こではその中の一つ、「平日昼間問題」を紹介したい。
 平日昼間問題とはなにか。

男性が平日の昼間にブラブラしていると、それだけで怪しいと思われてしまいます。これを「平日昼間問題」と呼びます。

男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学(p.52)

 尤も、これは男性の被害妄想で、男性自身が身構えている側面もあるのではないか、と田中は続ける。

 コロナ禍でリモートワークが推奨されるようになり、この問題に対する認識はかなりかわった思う。コロナウイルス級の外圧があってようやく、とも言える。

 それなのに、コロナ禍が収まったらまたぞろ通勤地獄を強制させる社会に揺り戻そうとする不穏な動きが活発化している。不思議千万である。名目は判を押したように社員のコミュニケーション活性化、だ。何を言っているのやら…。もちろん、それを言い出すのはジジィどもである。

 男社会は相変わらず、歴史から何も学ぼうとしない。判を押す以外に仕事ないのか?

 平日昼間問題が、見た目に大きく依存することは間違いない。例えば、スーツ姿の男性が公園のベンチで缶コーヒー片手にボーっとしていても、周りは、営業中サボってんなこいつ、くらいにしか思わない。これが、上下スウェットで髪はボサボサ、サンダル姿だったらどうか。途端に、仕事もせず真っ昼間っからプラブラしている怠け者になってしまう。

 話はそれるが、友人でやたらと職務質問される人がいる。本人曰く月間最高30回、と言っていたから多少盛っているにせよほとんど外出のたびに職質されるくらいのペースだ。ケーサツの選別基準は百パーセント挙動も含めた見た目だろう。

 それだけ頻繁に職質されると、すっかり警官とも顔なじみになりそうなものだがそうでもないらしい。僕は平凡すぎるのか、夜中に一人歩いてても誰にも声かけられない…。

 一生に一度くらいは体験してみたいちょっとあこがれの職質である。

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