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「失敗する自由が超越を生む」を読んで

 昔から経済小説は良く読んでいた。真山仁の本もたくさん読んでいたので、「失敗する自由が超越を生む」(発行所:小学館)が書店に並んだ時は著者を見ただけで買った。

 読んでみたら、量子物理学者の古澤明のことを書いたエッセイ集で、ちょっと驚き。小説じゃなかった。
でも、経済小説の第一人者の著者が、こんなにも情熱的に、思い入れの強い「古澤明」って、どういう人なんだろうか、と興味を持って読めた。

 量子の世界の「入り口」を眺める

 昔、量子コンピューターの開発が進んでいるという記事を読んで、普通のコンピューターと何が違うんだ、と興味を持って、関連書籍を買ってみたけど、「量子」の世界は解らなかった。

 今はYouTubeもあるし、Web検索で何でも引っ張り出せるので、昔よりも勉強し易い環境。もう一度、「量子」を理解しようと思った。けど、難しい。
結局、科「量子」にまつわる学史を知っただけ。それでも、少しはイイか。
 Webで量子の定義を探すと、「粒子と波の性質をあわせ持った、とても小さな物質やエネルギーの単位のこと。原子や電子等々の素粒子」等と書いてある。とても小さな粒ということはわかるけど、波って何? 粒が時間と共に揺らいでるってことかと思ったら、どこかに「量子は時間と位置が一致しない」とも書いてあった。誰かが、量子物理学は、「ミクロでヘンな世界」と言ってたけど、そりゃそうだ。それだけはわかる。

 量子の特性を、「回折と干渉」で説明しているのを聞くと、物理学者って、案外、日本語が得意なのかな。何だか、スッキリと美しい言葉遣い。

  私なんかは、量子の世界の「入口」で難しいと諦めてしまうけど、世界の天才や秀才は、興味津々でのめり込んでしまうのだろうなぁ。 羨ましい。
 でも、専門家が挙って研究しても、量子コンピューターの実用化には何十年もかかかるという。せめて、私が生きてるうちに、モバイル型の量子コンピューターが発売されるといいな。

夢中になれること

 少年時代の古澤のお母さんの言葉「・・・何でも一番になれ。それ以外はビリと同じ・・・」は、子供にとっては刺激的だ。
昔、多くの仕事が企画提案コンペ形式だった頃、まさに一位以外は「無」。むしろ、僅差で2位になった時が一番悔しい。お母さんのセリフでそんな事を思い出した。

 古澤教授は「頑張ろうと思ったことがない」だそうだ。へぇ~。
小学校の頃、スポーツ万能で勉強の出来る人気者がいたけど、そんなタイプの大人なんだろうな。 
 誰しも、「夢中」になっている時は、時を忘れて集中。ゲームをやってる時なんかは、その典型。私ら凡人でも、確かに「夢中」の時は、頑張ってない。ひたすら集中してるだけ。
 ということは、古澤教授は、好奇心旺盛で、何事でも「夢中」になれるタイプなのかな。
 コスパとか、タイパとか、パフォーマンスにばかり目が行く時代だけど、「夢中になれる」仕事や遊びを、見つける方が先。 誰だって、夢中になれれば、パフォーマンスなんて自然に付いてくる。

おまけ
 全然関係ないけど、自動車だってEV化する時代。何もかもAIを使う時代になったら、コンピューター使用量も激増。大量の電気が必要になる。
 本書によると、世界一を競っているスーパーコンピューターは、コアチップの冷却のために、原発一機分の電気が必要になるらしい。
 そんな事なら、スーパーコンピューターの開発なんか止めて、量子コンピューターの開発を急いだ方が良さそう。 何十年もかかる話こそ、政治主導で頑張ってもらいたいな。

                           (敬称略)

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