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【自治トピックス】No.59

 週末の浅草は、普段と変わらない賑わいだった。確かにコロナ禍前に比べれば外国人観光客の姿がなく、本当なら店から人が溢れるほどの賑わいでないと、本来の賑わいではないのかもしれない。用事を済ませて、地元に戻ってから、ふと気になって緊急事態宣言中も酒類を提供し続け、午後8時を過ぎると行列ができていた居酒屋に寄ってみた。すると、やはり「まん延防止等重点措置」が適用されてからも深夜まで酒類を提供して営業を続けていた。ところが、店内は閑散としている。カウンター席はガラガラ。テーブル席にはそこそこ客は入っているが、ほとんどが2~3人のグループだった。奥の宴会スペースには客はいなかった。やはり連日の新規感染者数の多さに、さすがのアル中もビビっているということだろうか。オミクロン恐るべし。数字に勝る脅し文句はないのかもしれない。

 施設には、家庭内感染の可能性がある無症状者が入る。都内では家庭内感染の事例が多く、さらなる感染の拡大を防ぐ狙いがある。施設内には個室のほか、共用スペース、トレーニングルームなどが整えられ、無症状者がストレスなく過ごせるよう工夫されている。

読売新聞2022年1月24日配信

 連日、1万人近い新規感染者が出ているのに、この日に知事が視察した宿泊療養施設はたった350床である。トレーニングルームも完備された施設に入ることができるラッキーな無症状者は、どのように選別されているのだろうか。気になるところだ。昨年、私の感染時には宿泊すらさせてもらえなかった。

 コロナ患者の療養方針は保健所が決めており、重症者や高齢者、基礎疾患がある人は入院、それ以外の人は自宅か宿泊施設での療養となる。昨夏の「第5波」では保健所の業務が逼迫し、宿泊施設を希望してもすぐに入れない事態が起きた。
 都はその反省から、保健所を介さず申し込む電話窓口を新設。宿泊療養施設を最大で1万1000室を確保するなど体制を強化し、今月7日には小池百合子知事が「原則宿泊療養」を打ち出した。しかし利用可能な4760室に対し、22日時点で入れた人は2717人。都は数字を明らかにしていないが、女性のような入所待ちが一定規模出ているという。
 数字上空いていても入所できない理由について都の担当者は「宿泊療養をした方がいい人が今後も増えると考えると今は満室にはしたくない」と明かす。

東京新聞2022年1月24日配信

 小池知事が「原則宿泊療養」を打ち出しているのに、現実には入所待ちが発生している。記事では「一定規模」と言っているが、連日の新規感染者数からして、相当の規模だと考えていいのではないか。その一方で、小池知事は、たかが350床の宿泊療養施設を視察して、ドヤ顔で取材に応じている。記者たちは「これでは全然足りないですよね」と聞けばいいのでは。

 知事の出すメッセージと、現場の実態が乖離している。そこを暴くのは報道機関の役割だ。

 国民民主党が、東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」との間で、合流を視野に入れた協議をスタートさせた。夏の参院選をめぐり、比例代表の議席維持に対する危機感が背景にある。ただ、都民ファ内には慎重論もあり、先行きは見通せない。

時事通信2022年1月22日配信

 何を旗印に両者が合流するのかが分からない。都民ファからすれば、小池知事が全力投球で応援に入れば、東京選挙区で議席を得るのは難しくはないはずだ。一方、都民ファが東京選挙区で一人勝ちすれば、国民民主党が付け入るスキもなくなる。選挙協力や合流なしには勝てない。そういう意味では、都民ファ側がマウントを取っているのだと考えていい。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、山梨県の長崎知事は23日、臨時記者会見を開き、ワクチン未接種者に不要不急の外出・移動の自粛を求めるほか、事業者に在宅勤務や時差出勤、学校にオンライン授業を推奨することなどを緊急要請した。感染の当初から自宅で療養する「ホームケア」の利用者には1人3万円を給付する。

読売新聞2022年1月24日配信

 緊急事態宣言もまん延防止等重点措置も出ていないのに、山梨県が勝手に特別措置法に基づく私権制限を行うなど、まさに超法規的措置としか言いようがない。だいたい、ワクチンを接種していないことによる不利益を被るのは、「差別」ではなくて、なんだというのか。自宅療養なら「1人3万円給付」も意味不明だ。感染して、自宅に籠るだけで、1日3万円がもらえる。感染防止には何の役にも立たない。どうかしている。

 自民党は近年、基地問題に対する県民の根強い不満もあり沖縄の各種選挙で苦戦してきた。だが、衆院選では名護市を含む沖縄3区で、2012年以来久々に議席を奪還。今年は参院選や知事選にも注力し、勢力図の塗り替えをもくろむ。政府関係者は「沖縄経済が沈んでおり、与党と官邸へのパイプに期待したのではないか」と分析する。
 一方、衆院選で議席を減らした立憲民主党と共産党は支援候補が敗北し、態勢立て直しのきっかけにはできなかった。立民の大西健介選対委員長は「結果は残念だが、参院選や知事選へ一丸となって戦う準備を進める」との談話を発表した。

時事通信2022年1月24日配信

 名護市長選挙は新基地建設のご当地だから、ついつい政局絡みで考えてしまいがちだが、2期目を目指す現職は強いという選挙のセオリー通りの結果でしかない。これで基地が容認されたわけでもない。一方で、沖縄県知事選も玉城知事の再選を目指すわけで、名護市長選挙と条件は同じだ。支持基盤が揺らいでいるとはいえ、そう簡単には負けないだろう。

 任期満了に伴う福島県南相馬市長選は23日投票が行われ、即日開票の結果、無所属で現職の門馬和夫氏(67)が、無所属で前市長の桜井勝延氏(66)を破り、再選を果たした。

河北新報2022年1月23日配信

 これも現職が再選を目指す市長選。余ほどのことがないと、現職を落とすことはできない。桜井さん、立民色が強すぎた気がするが。

 任期満了(27日)に伴う岐阜県美濃加茂市長選は23日に投票、即日開票され、無所属元職の藤井浩人氏(37)が、無所属現職の伊藤誠一氏(65)=自民、公明推薦=を大差で破って4選を果たし、4年ぶりの市長返り咲きを決めた。藤井氏は事前収賄などの罪に問われ2017年に有罪が確定し、無罪を訴え名古屋高裁に再審請求中。有罪で地位を離れた元首長が、同一の選挙で返り咲くのは珍しい。

岐阜新聞2022年1月23日配信

 こちらも現職が2期目を目指した選挙だったが、元職に大差で負けた。それにしても、元々の「事前収賄」はいったい何だったのか。市民の判断は藤井氏=無罪だったのではないだろうか。

 当初、党本部は、真っ先に手を上げた馳氏支援で県内をまとめて事実上の信任投票に持って行こうという考えだったようだ。馳氏が、石川県政界で今も絶大な力を持つ森喜朗元首相の側近であること、そして永田町のドンになりつつある安倍晋三元首相が率いる安倍派の幹部でもあることが要因だ。
 加えて夏の決選を前に無用な体力を使いたくないという思惑もあった。現状の保守分裂はそんな党本部側の思惑と真逆の展開となっている。結果として自民党は今回の知事選で事実上の自主投票となる。
 今回の知事選を巡っては、過去、全国で行われた知事選の歴史的なシーンと酷似している点が多い。
 自民党の茂木敏充幹事長は昨年11月30日の記者会見で石川県知事選の対応について「これまで基本的に馳氏の出馬を前提に準備を進めていた。これは県連も党本部もその方向だった」と発言した。この段階で馳氏が既に出馬表明していたのは事実だが山田氏も出馬に意欲を見せており、県連の対応は調整中だった。茂木氏の発言は、馳氏支援に誘導しようとした発言と受け止められ、山田氏側は猛反発。多くの県民も違和感を持った。
 この展開は、今から約30年前の東京都知事選の時のドラマとそっくりだ。

PRESIDENT Online2022年1月21日配信

 石川県知事選挙は、保守派から3人が出馬を表明して、さらに金沢市長選も加わって、えらい騒ぎになっている。ただ、いずれも自民党のコップの中の争いで、そこがいかにも保守王国らしい。森喜朗元首相のおひざ元で、側近の馳氏が負けるとなれば、ただ事では済まない。

 村議会は夜間や休日に本会議などを実施。2020年度に議員報酬を7000円引き上げて月額15万円とするなど、会社員らが立候補しやすいよう改革に取り組んできたが、昨年6月の村議選は10人しか立候補せず、再選挙でも欠員は解消しなかった。
 後藤章人議長(69)は再選挙に向けて10人ほどに打診したが、立候補したのは松村氏のみだったという。後藤議長は「議会存続の危機だ」と強調。議員定数や報酬の見直しについて、「早急な議論が必要だ」との認識を示した。

読売新聞2022年1月19日配信

 議員の成り手がいなくて、通常の選挙では定数が埋まらず、再選挙を行っても、なお埋まらない。議員定数を減らせば、この空白を手っ取り早く埋められるが、それで解決するとは到底思えない。

 しかし、議員報酬が月額15万円ではねえ。地方議員の報酬は高すぎてはいけないが、最低月額は法律で基準を定めてはどうだろうか。少々高くても、交付税措置されるんだろうし。

 ちなみに。

次に2020年度の全市区町村議会議員の月収ランキングを見ていきます。

1位は神奈川県横浜市の月収95万3000円です。

2位は兵庫県神戸市の月収93万円です。2021年度は5%削減していますが、30%削減する条例案は議会で否決されました。

3位は福岡県北九州市・福岡県福岡市の月収88万円です。北九州市は全国に先駆けて長期欠席した議員の報酬を減額する条例を可決しました。

5位は京都府京都市の月収86万4000円。京都市では新型コロナウイルス感染拡大の社会情勢を考慮して、10%削減しました。全国的に見て人口基盤が大きい政令指定都市の議員報酬が高い傾向にあります。

ファイナンシャルフィールド2022年1月22日配信

 区市町村議会の最高月額は、神奈川県横浜市の95万円。月額15万円の長野県高木村と比較して、いかがだろうか。横浜市議の皆さんは、報酬に見合った働きをしているだろうか。

望みのアングルで議会をオンラインで傍聴できます――。茨城県取手市議会は、議場の様子を360度映し出す全方位カメラを導入、動画投稿サイト「ユーチューブ」を通じてインターネット配信する。視聴者はパソコンなどを使って自分が見たい部分を自由に視聴できる。より開かれた議会実現につなげる。

日本経済新聞2022年1月22日配信

 これは素晴らしい。全国の議会で即刻導入していただきたい。本会議場だけではなくて、委員会室にも置いてほしい。どこの議会も、傍聴席は議員の後方で、議員の表情が見えない。誰がやじったのかも分からない。議員は安全地帯でドヤっているだけだ。

 茨城県取手市は、議会改革のトップランナー。さすがだ。

 真鶴町の松本一彦町長が選挙人名簿抄本を不正に複写し自らの選挙に利用した問題で、町議会は23日、町民向けの説明会を同町民センター(同町岩)で開いた。松本氏が昨年12月の出直し町長選で再選後も町政の混乱が続く中、町民からは「真鶴の政治が腐っている」、「頼れるのは町議会しかない」と議会による町長の不信任決議など、真相解明や松本氏への“徹底抗戦”を求める声が相次いだ。

神奈川新聞2022年1月23日配信

 このまま現職町長の居座りを認めたら、真鶴町民の民度が疑われても仕方あるまい。こうして抵抗する姿勢を見せたことは何よりだ。あとは町議会がどうアクションを起こすのか。

 【大宜味】沖縄県大宜味村議会の軒下に、戦前に建てられた「大宜味村公設質屋」の支柱が残されている。1921年に建立された鉄筋コンクリート造りの建造物で、村内では旧大宜味村役場(25年建設)より古い建物だった。当時を知る高齢者は「沖縄戦の後も残った立派な建物だった」と懐かしむ。

 公設質屋は1927年に制定された公益質屋法に基づき、市町村や社会福祉法人が国庫の一部援助を受けて経営していた。民間の質屋と比較し、低金利で貸し付けが行われていたという。29年の世界恐慌などで金利が暴騰した際などは住民生活の安定に寄与したとされる。

 建物は1978年に取り壊された。

琉球新報2022年1月20日配信

 私が記者を始めた1995年当時、東京23区にも数区、公益質屋がまだ存在していた。「質屋」という名前の通り、貴重品を持ち込むと、お金を貸してくれる。昔は、こういう施設がセーフティーネットの一角を担っていたのだ。クレジットカードもなければ、ローンカードもない時代。変な高利貸しからお金を借りて、生活が破綻するより、わずかながら公益質屋からお金を借りて、生活の足しにする。給料が入ったら、お金を返す。そういう古き良き時代があったのだ。

 もちろん、お役所がやっているから、取り立てなどできない。その一方で、高額の借金もできない。晩年はお年寄りが、久しぶりに上京する孫にお年玉をあげたい、美味しいものを食べさせたいといったささやかな欲求にこたえて、市井ではお金にもならないような物品と交換して、お金を借りたそうだ。年金が入ったら、お金を返す。そういう牧歌的な行政窓口があったことは、もう今の公務員は知らないのだろうね。


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