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【自治トピックス】No.64

 2011年3月、私は本気で東京を離れようとしていた。東京電力福島第一原発が水素爆発を起こし、枝野幸男官房長官が「何らかの爆発的事象」などと会見していて、日本はもう終わったと思った。そのうち、東京にも放射能の雲が届き、放射線量が一時的に急上昇して、都庁職員の「ただちに健康に影響はない」というコメントを目の前で聞いて、東京も終わったと思った。日本の中心は東日本から西日本へと移り、長く続いた首都東京の繁栄は終わりを告げる。冗談ではなく、本気でそう考えていた。その後、結局湘南に住み、東京で働く生活を変えなかったのは、事故の影響力が思ったより軽く、東京に降り注いだ放射能も、健康を害するほどではなかったからだ。海沿いのマンションの家賃が下がり始めたのを見て、思い切って大きな部屋に引っ越して、心機一転新たな生活を始めた。一方、この年、私はがんで闘病していた父を亡くし、私にとって数少ない理解者であった人を急病で亡くした。震災と2人の死は何のかかわりもないが、新聞やテレビ、ネットで「3.11」という数字を見かけるようになると、単に震災というだけではなくて、ずっしりとみぞおちを圧迫するような心理的な重さに襲われる。あれからもう11年という長い月日が過ぎた。私の部屋は11年前とほとんど変わっていない。まるで時間がずっと止まってしまっているかのようだ。先月、入居以来使っていた椅子の背もたれが急にボキッと折れて、壊れた。止まっていた時計をそろそろ動かさなければならないのかもしれない。そう思って、少し吹っ切れた気がする。

 東京都の小池百合子知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」の代表で都議の荒木千陽(ちはる)氏(40)は1日、今夏の参院選で東京選挙区(改選数6)から出馬すると表明した。国政進出に向けて設立した政治団体「ファーストの会」から出馬し、都民ファとの共通政策を発表した国民民主党との連携も目指す。

東京新聞2022年3月1日配信

 「東京大改革から日本大改革へ」というフリップには爆笑した。小池都知事が全力で応援に入るなら、最下位争いに食い込めるかもしれない。「日本に、新しい選択肢を」は、自公でもない、野党共闘でもない、維新でもない、第4の選択肢ということになる。そんな需要があるのかどうか。いや、本人にとってはどうでもいいのかもしれない。国会に入ってしまえば、全体の一駒でしかない。

 小池氏は「荒木さんはついこの間、40歳の誕生日を迎えてその日に立候補の会見をした。私も参議院に出馬を表明した時が39歳だったんです。懐かしい話ですが」と振り返った上で、「最初は荒木さんは元々弁護士を志望して法科大学院で勉強していてその後私の国会事務所のドアをノックして秘書を務めてくれました。1人で何人分かの働きをしてくれた大切なメンバーでありました」と紹介した。
 その後、知事を支える与党の都民ファーストの会代表として、都議2期目を迎えた荒木氏について「ご承知のように都議会で、ついこの間まで第一会派のトップを女性が務めていた。あんまり普通皆さんとりあげてくれないが、東京都議会で女性議員も多いし、活躍のけん引役だったと思う」と評価した。 
 その上で「そういう彼女ですから東京の大改革から日本の大改革へとつなげていきたい、何人分もの力持ちですから、私は応援していきたいと心から思っている。ちょっとりんごちゃんに似ているので、りんごちゃんと呼んでいる。そういったことで心からの応援ということでございます」とエールを送った。

東京新聞2022年3月4日配信

 小池知事がしゃべれば、マスメディアはこうやって丁寧に記事にしてくれる。荒木氏の名前を知る都民はほとんどいないが、「小池知事と一緒にポスターに載っていた人」「小池知事が応援していた人」で一気に支持は広がる。こういうのは「新しい選択肢」でもなんでもなく、昭和の時代から幾度も繰り返されてきた人気者依存のポピュリズム選挙でしかない。それでも当選してしまえば、本人にとっては自分の実績になる。

 さぞや、楽しい政治家人生だろうなあ…

 都内のまん延防止等重点措置は21日まで期限が延長されることになっており、小池知事は「聞くところによると、今年の桜の満開時期がちょうど期限の21日ごろと聞いている」と指摘。「上野公園の花見は世界に知られるくらい美しく、都民にとっても楽しみの場であると思うが、都立の公園内ということでいろいろコロナの状況を見ながら、昨年も同様だったかと思うが、いくつかお控えいただくことをまとめるところだ」と説明した。

東京新聞2022年3月4日配信

 3回目の「特別な春」。もう「特別」とか言わなくなったから、これがスタンダードだと思っているのだろうか。

 正直、花も見ないで酒飲んで酔っ払い、大声で騒ぐという日本固有のお花見文化には辟易しているから、個人的にはなくなって結構だ。組織の中で弱い立場の人が〝場所取り〟やら〝買い出し〟やらに駆り出され、大して面白くもないのに上司や先輩たちの盛り上げ役となり、社畜三昧の夜を過ごす。何が楽しいのか私には分からない。

 静かに桜を愛でながら、うまい酒を飲む。そういう新しいお花見文化の創生に挑むお花見スポットはないのだろうか。

 一方、東京も宿泊療養ホテルは現在、37施設あるが、アパホテルはうち11の施設を提供している。東京都に取材すると、弁当価格は1食1100円で、一日3食で3300円という。1食の差額400円で各療養ホテルにゼリーやレトルトのおかゆ、みそ汁、カップラーメンなどを用意しているという。都内のアパ系列のホテルAで昨年、療養した元コロナ感染者はこう話す。
「ホテルではアパ社長のカード、『アパ社長カレー』などと書かれたメニューが配られていましたが、弁当は価格500円前後と思える内容でとても1食1100円には見えませんでした。コロッケ、焼きそばと春巻き、カツカレー、サバの味噌煮、缶詰のフルーツに少しの野菜などスーパーのお弁当より内容は貧相です。多い揚げ物は格安冷凍品っぽく、体調を崩している時は食べるのが、辛い内容です」

AERA.dot2022年3月5日配信

 一方、東京都内では2月の感染拡大のピークが過ぎた頃から、ホテルで宿泊療養する陽性者のために用意された弁当が過剰となり、段ボール箱ごと捨てられることもあったという。
「通常の弁当発注はだいたい前日なのですが、2月中旬頃、療養者数は約100人なのに、200食前後を発注していました。療養者の数が読めなくなり、足りなくなったら困るという理由のようです」(療養宿泊ホテル関係者)
 東京都では1月16日より小池百合子知事の肝いりでJR東日本、JALなどの協力を得て週に1回程度、名物駅弁、料亭などの特別弁当を療養者に提供している。都の通常の弁当代は1食1100円だが、特別弁当は1500円前後と豪華な内容だ。
 都によると、駅弁などの特別弁当になると注文は3日ほど前になり、ホテルに入る療養者の人数が読めず、どうしても過剰に発注するケースが多くなったという。

AERA.dot2022年3月6日配信

 どちらも宿泊療養施設で療養者に提供される弁当についての記事だが、そこはかとなく〝維新批判〟的なにおいを感じるが、政治のレベルで議論するようなことなのかちょっと疑問だ。

 まず前提として、宿泊療養というのは感染症病床が足りないために臨時的な措置としてホテルなどの宿泊施設を仮の隔離病棟として活用していることを考えるべきだろう。だから、宿泊療養は医療保険で「入院」と判定される。本来、病院に入院すれば栄養のバランスが取れた食事を3食提供されるはずだ。ホテルだろうがなんだろうが、病院の代替として食事を出すのであれば、本来、病院食に近いものを用意すべきだ。

 とはいえ、国や都道府県にとっては膨大な感染者をさばかなければならないので「それどころではない」。だから、ある程度、施設側にお任せになってしまうのはやむを得まい。単純にオペレーションの問題なのだから、行政が業者にしっかり指導していただきたい。

 余剰弁当の廃棄に関しては、シンプルに宿泊療養だけを取り上げているが、そもそも自宅療養者のごみは普通に一般ごみに出している。食品ロスの観点で言えば、余った弁当がほしい人は山ほどいるはずだ。ほしい人に配ればいい。

 確かに大阪は、コロナ対策に緻密さが足りないと思うことはある。維新の問題なのか、役所の体質なのか、そこはマスメディアがクレームだけ提示するのではなくて、もっと切り込んでほしい。

 3月6日に期限を迎える新型コロナ対策の「まん延防止等重点措置」の延長を政府に要請した大阪府。岸田文雄首相は3月3日夜に記者会見し、東京、大阪を含む18都道府県について措置を延長する方針を発表した。吉村洋文・府知事は「感染者は減少傾向にあるが、病床の逼迫は非常に厳しい状態が続いている」と述べるなか、その医療逼迫の打開策となるはずの「大阪コロナ大規模医療・療養センター」(以下、療養センター)の使用率が低調のままだ。

ポストセブン2022年3月4日配信

 これはいかにも維新っぽいエピソード。大風呂敷を広げたものの、結局無駄になっている。こうなる原因は、感染者急増に困った知事が(汚名挽回の)〝逆転ホームラン〟を狙おうとするからだ。大阪府からすれば、「医療人材が確保できない」と言うだろうが、そんなこと最初から分かっている。いったい、どんな展望や裏付けを持って「野戦病院」をつくったのか。例の〝イソジン騒動〟に似たにおいを感じる。

 任期満了に伴う西宮市長選の投開票(3月27日)まで1カ月を切った。再選を狙う現職と、日本維新の会の新人が立候補を表明し、一騎打ちの公算となっている。「市民派」を掲げる現職は、どの政党にも推薦を求めていないが、維新の進出を警戒する他党が支援に動き、包囲網を形成。一方、昨秋の衆院選で躍進した維新は、兵庫県内初となる党公認の首長誕生に向け、攻勢を強めている。

神戸新聞2022年2月27日配信

 前回は前市長の辞職に伴う選挙、前々回は現職を前市長が倒した選挙、さらにその前は〝あの〟野々村竜太郎が2万5千票獲得した。西宮市民、恐るべし。普通で考えれば、2期目を狙う現職は無敵のはずだが、過去の選挙を振り返る限り、現職が安泰であることはあり得ない。

西宮市長選挙の過去の結果

県の調査では、時短の要請に応じていないことを確認した206の店のうち、81の店は県から感染対策などについて認証を受けていたということで、知事は4日、オンラインで開かれた全国知事会の会合で「こうした店にはすぐに命令を出すことができない」と述べ、国にガイドラインの変更を求める考えを示しました。
黒岩知事は、「ほとんどの店が要請に応じて協力してくれている中で、要請を無視して深夜まで営業している店にすぐに命令がだせず、なんとかして欲しいという声があがっている。すばやく対応するために国のガイドラインを変えてもらいたい」と話していました。

NHK2022年3月4日配信

 いまだにこんなこと言っている知事がいるのかと驚いたら、実は我が県の知事でした…(笑)

 飲食店の時短に効果があるかどうか、多くの国民が疑問を感じているときに、確たるエビデンスも示さないで「命令を出したい」と必死になる権力者がいると思うと、ゾッとする。権力を行使したくてしたくて仕方ないのだろう。ご存知の通り、最近のクラスターの多くは学校や保育所、高齢者施設など。矛先を間違えているとしか言いようがない。

 それにしても、深夜まで営業している飲食店を「何とかしてほしい」と訴える県民はどこにいるのだろうか。ほとんどの県民はその店に行かなければいいし、家族が出入りしているのであれば、入るなと言えばいい。

 新型コロナウイルスを巡る県の対策は、まん延防止等重点措置から、子どもと高齢者を守るための「オールふくしま感染対策総点検キャンペーン」「感染拡大防止重点対策」に移行する。県内で依然として学校や児童施設でのクラスターが相次ぐ中、内堀雅雄知事は4日の臨時記者会見で「解除後の抑制傾向を確立していく」と述べ、県民に対策への協力を求めた。

福島民友2022年3月5日配信

 その点、福島県は前向きだ。クラスターの半分以上が子ども関連であることを指摘して、対策を訴えている。黒岩知事よりはるかにエビデンスに則っている。

 福島県の感染者数が格段に減ったとも言えないが、重点措置解除後の抑制傾向が続くのか、しばらくは警戒が必要だ。

 川崎市は来年度から、特別自治市制度の実現に向けて活動を本格化させる。福田紀彦市長の肝いりで、担当職員を配置して普及啓発に取り組み、機運を高めたい考えだ。一方で、市民から反対の声が上がり、温度差がある。市は「丁寧に説明し、理解を得ていきたい」としている。

 福田市長は経済界との連携強化を図る同市長会の新設ポストに就いており、理解推進などの取り組みを始めている。昨年10月の同市長選では特別自治市構想を公約に掲げ、今年4月の組織改正で市都市政策部に「地方分権・特別自治市推進担当」を配置し、体制強化を図る。22年度当初予算案には住民説明会や影響調査などの費用約2700万円を計上し、取り組みを加速させるという。

神奈川新聞2022年2月28日配信

 広域行政を道府県に一元化する「都構想」の対極にあるのが、広域行政を基礎的自治体に一元化する「特別自治市」だ。どちらも政令市の二重行政を解消する狙いがあるが、都構想を目指しているのは大阪しかない。神奈川県内には、川崎市、横浜市、相模原市の三つの政令市があり、仮に全部「特別自治市」に移行すれば、県は都市部の膨大な財源を手放すことになる。

 川崎市は東京や横浜のベッドタウン的な位置にあって、人材とお金が外に逃げてしまう。果たして「特別自治市」という枠組みでそういう傾向が防げるのか、まだまだ議論が必要だろう。横浜と23区の狭間にある政令市としては、横浜市の「特別自治市」移行よりも難しい課題をはらんでいるような気がする。

 徳島市の内藤佐和子市長のリコールを目指す住民団体「内藤市長リコール住民投票の会」が、7万人超の署名を市選挙管理委員会に提出した4日、同会のメンバーは記者会見で「これで住民投票を行えると信じる」と自信を見せた。同会は、住民投票の実施に必要な数を900筆近く上回る、7万1530人分の署名を集めたとしており、今後は市選管による有効署名の審査が焦点となる。

読売新聞2022年3月5日配信

 リコール運動というと、某県の騒動が思い起こされて、署名数が集まっても「大丈夫か?」と疑心暗鬼になってしまう。

 で、なんでリコールやってるんだっけ?(苦笑)

 11月の任期満了に伴う那覇市長選に向け、現職の城間幹子氏を支える与党「オール沖縄」勢力とこれに対する野党自公の枠組みとは別に、「第3の勢力」が動き始めた。子どもの貧困対策などに取り組むNPO団体の代表ら有志でつくる市民団体が2日、NPO法人「にじのはしファンド」代表の糸数未希氏(49)に立候補を要請。未希氏はオール沖縄会議共同代表の糸数慶子前参院議員の長女でもあり、与野党とも動向を注視している。

沖縄タイムス2022年3月4日配信

 「第3の勢力」になるのかどうかは、オール沖縄勢力次第なのではないか。政策のすり合わせで、糸数未希氏に一本化すれば、事実上のオール沖縄勢力になる。保守と革新のガチンコ勝負ばかり見てきた市民にとっては新鮮に映るかもしれないし、逆に政治的なKY扱いされる可能性もある。

 出たい人が選挙に出ればいい。それが健全な民主主義だ。

 総務省は26日、都道府県や市区町村向けの情報セキュリティー指針の改定案をまとめた。新型コロナウイルス禍で職員のテレワークが増えたことを受け、部外者によるのぞき見や盗み聞きを防ぐ環境が必要だと指摘、漏えい対策強化を求めた。月内にも正式決定する。

共同通信2022年2月26日配信

 今さら…(苦笑)

 総務省はまだまだコロナ禍を続けたいらしい。

 広島県呉市の谷本誠一市議がマスク着用の要請を拒否して搭乗機から降ろされ、旅客機の出発が1時間以上遅れた問題で、市議会は1日、「倫理観を欠く自己中心的な言動で、市議会に対する信用を著しく失墜させた」として、辞職勧告決議案を全会一致で可決した。決議に法的拘束力はない。

読売新聞2022年3月1日配信

 まだやってんのか、という感想。マスク着用の拒否することで、何か壮大な敵と戦っているような気分に浸れるのがネット社会の醍醐味だ。昔ならただの変わり者で終わってしまっただろう。ネットは陰謀論や反科学と隣り合わせで、人は簡単に国際的陰謀と戦う(気分に浸る)ことができる。

 ちなみに。

 呉市議会は4日の本会議で、ロシアのウクライナ侵攻を「暴挙」と非難し、平和的解決を求める決議案を賛成多数で可決した。プーチン大統領が核兵器使用を示唆したことなどを批判し、即時停戦と完全撤退を求めた。旅客機内でのマスク着用拒否によるトラブルなどで1日に辞職勧告決議を受けたばかりの谷本誠一氏が唯一の反対票を投じ、全会一致とはならなかった。
 谷本氏は採決前の反対討論で「現地の人々はロシア軍により解放されたと喜んでいるとの情報も届いている」などと主張。他議員から「聞いていられない」などと声が上がり、3人が退席するなど議場は騒然とした。

中国新聞2022年3月5日配信

 谷本氏、ロシア非難決議に反対していた…(笑)

 これで分かると思うが、彼の問題はマスクなのではなく、ネット情報との向き合い方なのだ。


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