したっけ

という方言があります
意味は、じゃあね、ばいばい、で
最近、子供達はあまり使わなくなったから

不意に、したっけ、を聞くと
懐かしい気持ちになるものです

以前、北海道が舞台のドラマがありまして
ロケ地が苫小牧市で
山ちゃんも住んでいたことがあり

どこかで見たことある景色だなぁ
と、ドラマの内容より
景色の方が気になってました

物語は、主人公の幼少期の話になり
子供達が、学校帰り
お互いに、したっけを連発するんです

したっけ　　　　　　したっけ
　　　したっけしたっけ
　したっけ　　　したっけ

きっと、脚本家は北海道を
演出したかったのでしょうが
このしたっけ達、なんだか鮮度がなくて

独り勝手に
居心地が悪くなってしまいました

何がダメなんだろう
言葉にできない

主役の子役も道民じゃないだろうし
感覚的なものって
なかなか難しいんだな、と
俳優業の大変さに気づきました

きっと、方言のある地域に住んでる人なら
こう言う居心地の悪さ
感じたことあるのではないでしょうか

同僚S子は生まれも育ちも関西なので
他の地域の人が、わざと関西弁を話すと
気持ちが悪いんだそうです

なんでやねん
あかんあかんあかんあかん

関西弁って、方言の中でも
最高級ブランドですから
ついつい真似したくなるじゃないですか

でも、生粋の関西人には
違和感がありすぎて
気味が悪いんだと思います

他にも、最近見たドラマで

『夕張』というセリフがありまして
どこかイントネーションが違うんです

ゆ　う↘️   ば↘️　り↗️
なんです

ゆ　う➡️   ば➡️   り↗️
じゃないんです

圧倒的に、分かりづらい（笑）
でも、違うんです

マックとマクド
みたいに、違う言葉じゃないので
こればっかりは、地元民じゃないと
理解するには、難しいのかもしれません

北海道弁の代表は
なまら
だと思います

これは老若男女
今でもみんな、よく使う鮮度のいい方言

なまら、は、とても、という意味で
もっと強調したい時は

なんまら、なんんんんんんまら
と、『ん』に気持ちを溜めるように言います

なんんんんまら、美味い
は、凄まじく美味しいってなります

ただ、この言葉は有名になりすぎて
なまらを使う道民が、これは方言です
と、意図的に使ってしまうことがあります

それは良くない
なまら、良くないことです

北海道は移民の集まりなので
方言が少ないとばかり思っていたのですが

昔、京都の友人に
ラーメン屋に連れて行ってもらって
すごく美味しかった時、言った言葉を
思いきり否定されたことがありました

これは美味い、食べらさる
（または、食べささる）

これも道民がよく使う言葉で
なまら、と違って
道民も方言だと知らずに使うので
鮮度で言うと、天然物と言えるでしょう

意味は

食べるのをやめられない

です

確かに変ですよね
自分で食べているくせに
他の人に食べさせられてる
みたいな言い方ですから

この方言には
どうにもこうにも止まらない
っていう気持ちが含まれているんです

それだからって
都の人ったら、すぐ揚げ足とって
あんなにバカにしなくてもいいのになぁ

言葉の最後に、んだべ、とつけるのも
北海道ならではらしく
函館は、んだべの聖地と言えるでしょう

北海道の本拠地札幌よりも
青森の方が近いので
東北移民が多く、風習も言葉も
東北北方三県と共通点が非常に多いです

べさ、は青森でよく使いますよね

べさ（青森）
んだべ（函館）
だいたい同じ

昔、家族旅行で
青森の五所川原を通った時
畑仕事していた爺さんに道を聞いたのですが
俺には街人が何を言ってるのか
さっぱり分かりませんでした

が、函館出身の父は
だいたい分かったようで迷子になることなく
目的地に着くことができました

なかなかのバイリンガルっぷりでしたが
母国語と言葉が似ている
ということだったんですね

似てるといえば

子供の頃、本家のおじさんの家に遊びに行くと
おばちゃんがご飯の支度を終えて
山ちゃんにこう言います

まんまけ

まんまさけ

なんとなく、意味は通じるでしょうか

ご飯、食べなさい

と言う意味で、秋田弁らしく
広く青森、道南地方まで使われているようです

まんまけ
すごく丸みがあっていい響きだ

俺は、方言が大好き
鮮度のいい風土に出会えた気分です

どんどん使わなくなるのが
寂しく思います

とある調査では
異性にドキッとされるポイントに
方言、があるんだそうです

心の隙間に、するっと入り込んでくる方言
怒ってもまた、可愛らしく思えますよね

自分の生まれた土地の言葉
もっともっと自信を持って話してほしいな
と、思うのでした

んだんだ
こりゃいい鮮度