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メタスキルってみんな普通に使ってるけど何なの?

SpecteeでVPoEをしております、おーのAです。

今回も前回に引き続き、SCRUMMASTER THE BOOKについて記事を書きます。今回のテーマは表題にある通り、メタスキルです。メタスキルの源流を辿って行ったので、それをまとめてみました。

前回の記事も一応おいておきます。


メタスキルって普通に使いすぎじゃない?

この記事を読んでいる方は、私と繋がっている方も多いと思うので、アジャイル・スクラムの界隈の方が多いと思います。なぜかこの界隈でよく聞くのがメタスキルです。

私初めて聞いた時は「?」です。まぁ、何となく、meta-(=高次元の)なスキルなんだろうな、とは思ったわけですが、正直よくわかりませんでした。

実際、Googleで「メタスキル Wiki」で検索しても出てきません。つまり、実は一般的な用語ではないのです。それなのになぜスクラム界隈で使われているでしょうか。

アジャイル・スクラム界隈での「メタスキル」という用語の広がり

「メタスキル何それ?美味しいの?」という状況であったわけですが、その後、アジャイルリーダーシップの読書会に参加する機会があり、初めて書籍でメタスキルに出会います。

そこでアジャイル・スクラム界隈でメタスキルが一般的であることの理由を初めて知りました

アジャイルリーダーシップにはこんなことが書いてあります。

ときには自分のスキルを高いところから見渡してみるのもよいでしょう。コンピテンシーが具体的で専門的なのに比べて、メタスキルは抽象的です。

アジャイルリーダーシップ -第7章 メタスキル -

分からないですよね。これでメタスキルとは何かを理解するのはちょっと難しいと思います。

その後、SCRUMMASTER THE BOOKを読みました。こちらには以下のように書いています。

メタスキルとは、ある状況において意図的に取る態度、考え方、スタンスのことです。これらは個人がそれまでの経験に基づいて、新しい状況に適用する認知的方略です。
※ 認知的方略:学習者自身が選択する学習のやり方のこと。

SCRUMMASTER THE BOOK -第4章 メタスキルとコンピタンス -

アジャイルリーダーシップよりは理解しやすいですね。でもやっぱりイマイチ分からなかったのが正直な気持ちです。

アジャイルリーダーシップSCRUMMASTER THE BOOKも著者はZuzi Sochovaさんです。確証はないですが、Zuziさんがアジャイル・スクラム界隈にメタスキルという言葉を広めた人であることは間違いないでしょう。

システムコーチング・・・そして、メタスキル

私は2023年10月からシステムコーチングの基礎コースを受け始めました。そこでも出会う「メタスキル」。でもですね、メタスキルが何なのかはあまり説明がない訳です。

この頃から感じ始めていたのが、「分かってるでしょ、説明させるな」的な圧力です。いや、勝手に感じてただけなのは間違いありませんが・・。

何となく分かるから質問もしづらいし、こんなに当たり前にメタスキルという言葉が使われるともはや質問するのも恥ずかしいです。

そんなこんなで半年ほど過ぎました。

メタスキルなんとなくわかってきた

そんなこんなでメタスキルと出会う機会が増え、システムコーチングでも学び、普段の生活の中でも意識することが多くなりました。

特に意識することが多かったのが、SCRUMMASTER THE BOOKに記載されているスクラムマスターのメタスキルで、「好奇心」「忍耐」「ティーチング」でした。

このようなメタスキルを意識することで自分のスクラムマスターとしてのスキルが向上していく感覚を得られたことによって、メタスキルが特定のスキルを向上させるために必要なスキルである、ということがようやくわかるように変化してきました。

そして、ようやく自分で調べ始める

メタスキルについて何となくわかり始めた結果、また気になり出したのが、「なぜメタスキルが一般的な言葉でないのか?」ということでした。

そこでメタスキルという言葉がどこから出てきたのか調べてみることにしました。

原点は心理学者エイミー・ミンデル

調べていく中で、出てきたのがエイミー・ミンデルの書籍でした。これはGoogle検索すればすぐに出てきます。日本語版はもう手に入れるのが難しいようなので、英語版をkindleで取得しました。

序文にこんな記載があります。

Metaskill is a new concept in therapy. It pulls together everything we know about the subtle feeling abilities of healers. As Amy points out, metaskills are the bottom line to psychotherapy.

Metaskills - Foreword -

ということで、メタスキルはセラピーのnew conceptだそうです。原著が出版されたのは1994年だそうで、30年経っていますので新しくはありませんが昔からある用語ではない、ということが分かります。

エイミー・ミンデル→システムコーチング→Zuzi→アジャイル・スクラム界隈

システムコーチングはミンデル夫妻らを含め、様々な心理学者の影響を大きく受けています。そして、Zuziはシステムコーチングを学び、スクラムや組織づくりにシステムコーチングのスキルが重要であると主張しています。

このような流れの中で、アジャイル・スクラム界隈に「メタスキル」という言葉が広まっていったのだと思います。

メタスキルを意識して使おう!

本記事の本筋ではないので、軽ーくメタスキルの獲得について触れたいと思います。

メタスキルは生まれ持った性質ではない

私の経験の話ですが、スクラムマスターのメタスキルとして「忍耐」とか「好奇心」とかをみたときに、「私は忍耐強くないしなー」とか「あんまり色んなことに好奇心が無いんだよなー」とか思いました。

しかし、これは大きな間違いです。

「忍耐強く無い」かもしれませんし「好奇心が無い」かもしれません。でもこれは重要な観点ではありません。大事なのは「忍耐強くあろう」とか「好奇心を持って相手を理解しよう」とかそういった態度です。

「忍耐強く無い」、「好奇心が無い」というのは誰かとの相対的な評価をしている結果だと思います。私も忍耐強くもないし、好奇心も高い方では無いと思います。

しかし、大事なのは、「忍耐強くあろう」とか、「好奇心を持とう」という姿勢です。これを継続的に続けることでメタスキルは獲得したいスキルを劇的に向上してくれるものです。

メタスキルは意識して使ってこそ向上する

今の私の私見ではありますが、メタスキルは「使っている」という意識が大事だと思っています。無意識的に使っているとしたらそれはもしかすると、単なる強みなのかも知れません。

その強みを活かすことも、弱いから強くすることも、意識してメタスキルを使うことが重要なのです。

これは意識して使った人ではないと分からないと思うのですが、もし興味ある方は意識してみるとよいと思います。特に日本人は「遊び心」を使うのが苦手なので、「遊び心」意識するとご自身がどうなるかみてみるとよいと思います。

まとめ:メタスキル知らなくても気にするな!今日から気にしよう!

ということでメタスキルと私の歴史をまとめてきました。
何か誤りがあればご連絡いただければ幸いです。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

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