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  5-❾ 一条の光

 四国霊場第三十八番札所、金剛福寺。
急峻な崖に打ち寄せる激しい荒波の音が
、静寂に包まれた会堂に谺している。
 やがて、住職の読経が始まり一同は瞑目し、故人の魂の平安を祈り始めた。

 彼女が天国に旅立ってから、まもなく1年が過ぎようとしていた。代理人始め、数多くのホースマンや故人の友人達が一堂に会し、会席を囲んでいた。

〝彼女の、あいつの為にもたくさん笑ってあげよう!〟

 代理人の一言で、とても賑やかな一周忌となったのであるが、やはり思いは一つであった。
 皆、それぞれに手紙を認めていた。

 その願いを、想いを込めた手紙が彼に届きますように•••と、一人一人が住職にその思いを託し、山門を後にした。


 残暑居残る9月の風に揺られ、たくさんの向日葵が彼女の笑顔の如く、桜の木の下の一角を彩っていた。

 たくさんの向日葵に囲まれて笑っている彼女の写真を手に持ち、彼は高台にある墓地から海を眺めていた。
 耳に届くは打ち寄せる波の音•••目の前には広大な太平洋が広がっていた。

 その背中を見守る住職は、彼の変化を感じ取っていた。

 開放は、自身との和解は近づいているのであろう•••金剛峯寺の大僧正からの書状を手に取り、彼が強さを取り戻し、いや、以前よりも強靭な肉体と精神力を会得し、自身の道へと戻る日が近い事を確信していた。

「一周忌法要を執り行い下さり、本当にありがとうございました」

 彼は丁寧に頭を下げ、謝辞を述べた。
胸には、住職からの風呂敷包を抱いている。

「いついかなる時も、お大師様が一緒にいて下さいます。ゆっくりと歩んでください。見えないご縁があなたを良い方向へと導いてくださいます」

 彼の行き先を示すかのように、彼を守るかのように、黄金の光がその背中を照らし、彼は迷う事なくその道へと歩み出していった。


 まもなく、夜明けを迎えるであろう土佐桂浜•••大の字になり空を見上げ、打ち寄せる波の音を子守唄に、いつの間にか寝入ってしまったようだ。
 すると、突然耳元に届いた馬の嘶き•••
夢か?いや、それは確かに現実であった。

 昇りたての太陽の光を浴び、白い砂浜を力強くトロットで駆ける競走馬に、彼は目を奪われていた。まるで、あの日あの時にタイムスリップしたかのように。

 彼は、自らの体内に刻み込まれた熱い魂が、そのほとばしる熱い情熱が滾るのを感じながら、その競走馬の去り行く姿を見続けていた。


 明けない夜は無い。
いつの時も日はまた昇り、新しい1日が始まる。
 若き日の青年大師が悟りを開いたとされるその洞窟で、彼はその幻想的な光景を見つめていた。

 夜が明けて行く。
打ち寄せる波をも呑みこまんとするかのような強烈な光が彼の視界一杯に広がった。目が眩む程の。 

 どれほどの時間が経過したのであろうか•••やがて光が、自分自身が落ち着きを取り戻していく。

 呼吸を整え、再び歩みを始めた彼に、空と海は様々に表情を変えながら寄り添ってくれた。


 出会い、別れを繰り返し、自身が歩いた道程が点から線となり、やがて円となる。そして、円を針巡らす縦、横の糸がまた1つ•••。

「私の代わりにお参りをしてくれてありがとう」
 逆打ちの、一期一会の中での再会は、導きであるのだろう•••初めて納め札を渡したおばあさんからの、再びのお接待を受け、手渡した2度目の納め札。

 2人の願いが交差したその瞬間、雲間から一条の光が大地に降り注いだ。

 これもまた、お接待であるのだろうか。

海岸線をひた走るサラブレッド🐴🐎💨


 PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝申し上げます🙇‍♀️🥹次回配信は、4月13日土曜日午前8時です🕗翔馬の帰りを待つ少年、少女、そして調教師達•••翔馬のいないこの1年を振り返り、そして願います🙏🙏
 翔馬、早く戻ってこい‼︎と。
それではまたお会いしましょう😊

          AKIRARIKA

先週土曜日の配信のおまけで予言⁉︎🤭
結果は⁉︎🎯🎯👍👍
ワイド、1000円はつくと思ったけれど😅😢

 先日行われた桜花賞🐴👩🐴💨🔥🐴
予想が見事に的中🎯🎯👍😊2着が薄目だったらなあ•••50万馬券とかあるいは⁉︎😅さすが2歳女王の底力ですね😅👍3着ライトバックの追い込みはオークスでも見られそうです!
 今週の皐月賞•••穴馬いますよ✨✨
隠れてるけどね!強いよこの馬🐴💨🔥
 今週も当てますよ🎯🤭
皆さん、乗ってくださいね🤣🤣

          AKIRARIKA

 この作品を通して、養老牧場への牧草寄付等の引退馬支援を行います。その為のサポートをしていただければ幸いです。この世界に生まれたる、すべてのサラブレッドの命を愛する皆様のサポートをお待ちしております🥹🙇