AKIRARIKA

サラブレッド大好きの道産子男子です。過去の取材から掘り起こした小説が、いよいよ大空へと…

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サラブレッド大好きの道産子男子です。過去の取材から掘り起こした小説が、いよいよ大空へと!皆様、「翔べ大空の彼方へ」どうぞ宜しくお願いいたします。

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  • 翔べ君よ大空の彼方へ

    AKIRARIKAと申します。サラブレッド、乗馬大好きの道産子です。初めて馬の背に揺られたのが20歳、あの瞬間の感動は今もなおこの手のひらの中に。馬の鼓動、息吹、命の力強さ。《いつか必ず競馬小説を書く!そして、その売り上げを引退馬支援に繋げる!》  大好きだったお馬さんを天国に見送り、構想を重ね遂に完成した作品「翔べ君よ大空の彼方へ」・・・ 物語はまだまだ続きます。  第2章途中からの有料配信となります。皆様からの支援を、引退馬支援へと繋げます。具体的には、皆様からの支援金(購読料他)の寄付、牧草送付等を行います。現在数ヶ所の牧場より連絡を受けており、受け入れ可能となっております。また、寄付実施後には、note内にて報告させて頂きます。  拙作ではありますが、購読の程お付き合いいただければ、また、1人でも多くの賛同者の目に留まれば幸いです。

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翔べ君よ大空の彼方へ     いざ出陣🐴🐴🐴

 皆様、初めまして。サラブレッドを愛する道産子男子です。過去の取材や乗馬などの実体験をもとに、3年をかけて作り上げた「翔べ君よ大空の彼方へ」がいよいよ大空へと羽ばたきます。  やがて2人は別々の道を歩む。 1人はジョッキーになるために、1人は牧場スタッフになるために。  2人の共通の夢・・・それは2人が育て上げた競走馬で世界を制覇する事。日本を代表する名馬達がことごとく弾き返された欧州の高き頂きの制覇を。果てしなく厳しい道が2人の前に立ちはだかる。  喜びも、涙も、出会

    •   5-⑭ 覚悟

       陽光降り注ぎ、春風薫る3月下旬、昼食を終え本堂で座禅をしていた彼の前に、1人の恰幅の良い住職が姿を現した。彼のよく知る住職であった。 「いやあ、お久しぶりですね。お元気そうで何よりです」  彼は驚きを禁じ得なかった。大僧正から発せられた一言に。 「まさか•••ここまで本当に歩いて来られるとは•••」彼は言葉を失い、黒光りするその床にただ額ずく事しかできなかった。  足摺岬から、この高野山までの旅を支えた金剛杖の先端には、その証がしっかりと刻み込まれていた。 「悲しみ

      •   5-⑬ 春暁

         より一層の高みを、無我の境地を目指すニ度目の冬。  〝心頭滅却すれば火もまた涼し〟 火炎ほとばしる中での荒行、護摩堂で 身の、心の邪神を焼き払い、また、空から降り注ぐ雪にも、厳しい冷気にも汗を滴らせ、今日も彼は早朝から一心不乱となり、自分の可能性と未知の力を見いだすための修行に打ち込んでいた。  目が覚めて、今日もまた生かされている事に感謝をする。合掌をし、心を洗浄する。身を清め、身の回りを整え、堂宇の清掃をする。心身を整え本尊様に向かい読経し、先祖の供養と生かされてい

        •   5-⑫ 鐘の音

           2ヶ月前に生を受けたその小さな命は、2人の愛情に見守られ、すくすくと成長していた。  ようやくお腹がいっぱいになったのであろうか、母親の小指をしっかりと握りながら、うつらうつらとしている。  やがて、その小指から手が離れ、スヤスヤと寝息を立て始めた。どうやら本格的な眠りに落ちた様子•••玲奈と名付けられた、その小さな天使の寝顔を、歩夢と久美は飽きもせずに眺めている。 「寝たね」歩夢が囁いた。 「寝たね」久美が微笑んで、天使の柔らかい髪の毛を撫でている。 「そろそろ出てみ

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        • 翔べ君よ大空の彼方へ
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            5-⑪ 静寂の夜❷

           中山競馬場から徒歩10分の場所にある居酒屋オーナーの自宅では、2人の男性が今年1年を振り返っているのであろう•••ウイスキーを飲みながら、静かに語り合っていた。胡麻塩頭の格闘家のような体格の男性と、3度の遍路旅を終えた壮健な男性である。  テーブルの上に置かれたフォトフレームには、天国で眠るもう1人の親友が、結婚式であろうか•••満面の笑みを浮かべている写真が飾られていた。並々と注がれたウイスキーグラスから香ばしい芳香が立ち上がっている。  オーナーはつい先程まで、完成

            5-⑪ 静寂の夜❷

            5-⑩ 静寂の夜❶

          「寒くない?」「うん、大丈夫!」 両親の心配をよそに、少年は力強く頷いた。  自宅から徒歩10分の場所にあるお寺への参拝•••大晦日だけにかなりの参拝客が予想される。  今年1年•••駆け抜けた彼へのプレゼントであるかのように、キラキラと星が瞬いていた。  少年には、3つの願い事があった。 けれど、願い事は1つにしなければならない。二兎追う者は一兎も得ず•••と、学校で習ったのだ。故に、彼は閃いた。2つのお願いを両親に頼めばいいのだ!と。  少年は、ニンマリと笑った。  

            5-⑩ 静寂の夜❶

            5-❾ 一条の光

           四国霊場第三十八番札所、金剛福寺。 急峻な崖に打ち寄せる激しい荒波の音が 、静寂に包まれた会堂に谺している。  やがて、住職の読経が始まり一同は瞑目し、故人の魂の平安を祈り始めた。  彼女が天国に旅立ってから、まもなく1年が過ぎようとしていた。代理人始め、数多くのホースマンや故人の友人達が一堂に会し、会席を囲んでいた。 〝彼女の、あいつの為にもたくさん笑ってあげよう!〟  代理人の一言で、とても賑やかな一周忌となったのであるが、やはり思いは一つであった。  皆、それぞ

            5-❾ 一条の光

            5-❽ 影

           3度目の旅は、体調と天候不良に悩まされた、正に綱渡りの旅であった。  コンビニの青年店員、四阿(あずまや)のおばあさん、公園で遊んでいた園児の男の子からの、とても大きなお接待と笑顔、天国で駆けてるであろう、彼ら、彼女らへの祈りを捧げた家畜堂、体は疲れ切っている筈なのに、足は止まる事を許さない•••まるで、背中を押され歩いているような、不思議な感覚であった。  一六タルト、坊ちゃん団子、松山城、道後温泉•••写真の中の彼女は、いつも満面の笑顔を見せていた。  あれはどこ

            5-❽ 影

            5-❼ 静謐

           今や静謐だけが辺りを支配していた。しんしんと雪が降りしきるが、やはり無音である。  彼はただひたすらに座禅を組んでいた 。多くの仏像が、彼の瞑想を見守っている。朝、昼、晩、暑い時も寒い時も、例え季節が移ろうとも、水が流れるように 、無心になれ•••と。  彼も、当初は座禅が苦手だった。 それでも、慣れていくに従って足の痛みから解放され、すべての感覚に捉われる事なく、座禅が座禅らしくなり、今や金剛峯寺で修行をする僧としての体裁を整えていた。  どれほどの時間が経過したの

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          5-❼ 静謐

            5-❻ 英雄達の戦②

           マイルチャンピオンシップは、正に一強であった。  最強マイル女王、レトロワグラースの登場もあり、京都競馬場のスタンドは立水の余地もない程の観客で埋まっていた 。  引退戦の彼女の勇姿に込められたその単勝オッズは1.2倍•••騎手心理としては計り知れない重圧がかかるであろう。  しかし、最内1番枠から飛び出した彼女は天才鷹に導かれ、あっという間にハナを奪い逃走、残り150メートル付近で1馬身差まで迫られるもの、そこから鞍上の合図で再び突き離し、2馬身半の差を付けてゴール、正

            5-❻ 英雄達の戦②

            5-❺ 英雄達の戦①

           2025年•••この年もまた、人々の夢と希望を背負いターフを駆け巡った競走馬達のドラマが数多く生まれた。  10月。 凱旋門賞には世界各国のG1馬が集結、その中でも特に注目されたのが、仏が誇る二大巨塔•••先輩の仏ダービー馬ガルデリネルジェスと本年の仏・愛ダービー馬フォンテンブローの直接対決であった。  負けてなるものかと、日本から勇躍参戦したのが、最強4歳カルテットの1角•••ダービー馬のスターダイナマイトであった。  レースは正に、3頭による3頭の為の戦いとなった

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          5-❺ 英雄達の戦①

            5-❹ 想馳

            翔馬へ            ①  もうすぐ2025年が終わりますね。 フランスもかなり寒いです。牧場は雪一色に染まりました。今はフォンテンブローも放牧で戻り、レザンドリー、フェニックス、サイレントマジョリティーと4頭で仲良く雪の中を走り回ってます。  サイレントMにとっては、初めての冬だけれど、どうやら雪が大好きみたい•••みんな寒くないのかなあ⁉︎  フェニックスはいつも屋内馬場で馬術の練習をしているけれど、フォンテンブローも彼に触発されたのか?最近ではハードルを

            5-❹ 想馳

          お詫び申し上げます😅 本来、毎週水曜日と土曜日の午前8時に🐴🐴配信をするのですが 、寝ぼけてたのか予約したと思い込み、即配信したのに気付かずに、2時間後に気付いてしまい😭 誠に申し訳ありません😣🙇‍♂️ 以後は、寝ぼけないようにします 😅 今後ともどうぞよろしくお願い致します🙇‍♀️

          お詫び申し上げます😅 本来、毎週水曜日と土曜日の午前8時に🐴🐴配信をするのですが 、寝ぼけてたのか予約したと思い込み、即配信したのに気付かずに、2時間後に気付いてしまい😭 誠に申し訳ありません😣🙇‍♂️ 以後は、寝ぼけないようにします 😅 今後ともどうぞよろしくお願い致します🙇‍♀️

            5-❸ 人馬一体

           最終競技馬と騎手の名がアナウンスされると、観客はスタンディングオベーションでその人馬を迎えた。  白馬は、演技直前ピアッフエ(その場で足踏みをする歩様)で自らの精神を整えた。為すべき事を為す為に。  上げる脚の高さも均一で美しい。 騎座する少女もまた、背筋をぴんと伸ばし、まさに優雅な姿である。  今や、すべての観客の視線が一頭と騎乗する少女に注がれていた。  静寂が会場を支配するその中に、一昨日レトロワグラースの手綱を取り、見事ジャックルマロワ賞を制した鷹の姿もあった。

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          5-❸ 人馬一体

            5-❷ 月明かり

           4人は歩夢と久美が暮らすマンションのリビングで食卓を囲んでいた。  彼は3人に三度目の巡礼を無事に終え、 これから高野山の金剛峯寺に結願のお礼参りをする事、そしてその前に供花を手向ける為にやって来たのだと伝えた。  本来ならば、彼は供花の後京都市内のカプセルホテルに宿泊するつもりであっだのだが、幼少期から高校卒業までお世話になった恩人をカプセルホテルに宿泊させるのはとんでもない!と、歩夢に無理矢理引き留められたのである。  既に施設を退職したとはいえ、悪さをしていた教え

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          第5章 5-❶ 邂逅

           緑に囲まれた高台からは、陽光を浴び キラキラと輝く琵琶湖を望む事ができる 。美しい景色を見下ろす事のできる墓地に、数多くの競馬関係者が集まり、その一人一人が1本ずつ、彼の大好きな君影草の花を手に、彼に思いを馳せていた。  遠くはイギリス、フランス、アメリカからのトップ騎手、調教師が、国内からは北の大地の牧場関係者や馬主、調教師 、騎手仲間•••世界中のホースマンが一堂に会していた。  彼の笑顔を模したレリーフが墓石の中央にはめ込まれ、その下には〝RIZING SUN!朝

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          第5章 5-❶ 邂逅