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私の神山上勝訪問記その2

前回の記事で上勝について書いたら長くなってしまったので記事を分割しました。今回は神山について。


かま屋訪問

順番は前後するが、上勝の前にまず訪問したのがかま屋だ。地産地消(彼らは地産地食と言っている)の取り組みで有名で、私の情報収集投稿にも複数の方が名前を挙げていた。
まず驚いたのが、このお店はシェ・パニースの元シェフがメニュー監修をしていること! シェ・パニースはアメリカの地産地消の聖地で、私の前職のFoodCampも影響を受けている、世界的に有名なレストランだ。シェ・パニースの元シェフが日本にいたことも驚いたし、神山のお店に関わっていることにも驚いた。

隣のお店「かまパン&ストア」も含めて、店内はとてもいい空気が漂っていた。スタッフがいきいきと働いていて、それだけで料理が美味しいことが分かる。 店内には生産者の名前が掲げられて、食材そのものを十分に味わせる料理だった。

意外とボリューミーなのは若い移住者も多いから?
値段は税込1,850円なので普段使いというよりはちょっと贅沢ランチの価格帯か。

かま屋でご飯を食べながら福島について連想し、FoodCampを始めとした福島の食の動きも神山と比べてなんら遜色がないと感じた。生産者を大事にすること、地産地消の良さをプレゼンテーションすること、多くの人、お客様を巻き込むこと、それらの観点でかま屋は全国区だが、孫の手トラベルも負けていない。

神山しずくプロジェクト

次に訪問したのがSHIZQ STORE。神山の杉の活用を目的にテーブルウェアなどを作っているブランドだ。

神山の課題の一つが林業の停滞である。戦後、山にびっしり杉を植林したが、その後は輸入材に押されて林業が事業として成り立たなくなった。そうすると、間伐されず、冬も鬱蒼として地面に日が当たらず、下草も生えず、山が保水力を持てなくて緑の砂漠と言われる状態になってしまった。
実際に、神山に流れる鮎喰川の水量は昔の3分の1になってしまっているとのこと。
この課題を解決すべく、杉を商品化するために立ち上がったのが神山しずくプロジェクトだ。神山にサテライトオフィスを作ったデザイン会社が始めたブランドで、10年が経ちようやく採算ベースに乗ってきたとのこと。

自分たちが運営しているゲストハウスも里山環境の中にあり、神山と同じように山が放置されている。こちらは針葉樹がびっしりではないため、神山ほど課題が深刻ではないものの、しずくプロジェクトは里山の再価値化という点で非常にヒントになった。

SHIZQ SROREさんで購入したものたち

ちなみに、神山でうっすら感じていた違和感についても答えを教えてもらった。神山は杉がびっしり植林されているから、冬でも山が緑なのだ。しずくプロジェクトは、「神山は秋に紅葉しないのはなぜ?」という疑問から始まったらしい。
福島の山はブナ、ナラ、クヌギなどの落葉樹が中心なので、秋は見事に紅葉するし、積雪がある冬は山肌が白く見える。それが当たり前でないことを知った。

旅行総括

以前、「自腹理論」というものを知り合いから聞いたことがある。「経費で落とさず、自腹を切ることで初めてそのモノやサービスの価値が分かる、見極められる」というもの。知り合いのボスの持論らしい。とても厳しいけれど一理あると思った(給与が十分支払われていることが大前提)。
自分たちも今回の旅行は誰に頼まれた訳でもなく、勝手に視察させてもらった。福島から来ましたと言ったら驚かれたし、よく話してもらえた。こちらも寒い懐を痛めて行っているから、少しでも多く学ぼうと必死だ。

世間の状況を鑑みて、なるべく人に会わない旅程をとったが、それでも十分に得るものが多い旅行となった。やはり現地に赴いて、現地の空気を感じるのが一番学べる。百聞は一見にしかずだ。
バズワードとなっているSDGsを持ち出さなくても、世界の潮流はエシカル、ローカル、ソサエティインに向かっており、自分たちの向かっている方向は間違っていないと自信がついた。
また、仲間を集めることも重要だと感じた。1人でできることには限界があり、多くの人が集まることで社会は変わっていく。

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