畑中章宏

民俗学者

畑中章宏

民俗学者

最近の記事

魂の行方 2021(メモ)

 世間からは民俗的な事象だとみられかねない「震災後の幽霊」については、いささか食傷気味ですらある。  幽霊、あるいは亡霊の出現は果たして美談なのだろうか。亡き人との再会は、大災害の後だけではなく、いま目の前でも日常的に起こっているはずだのに。  民俗学者なら、幽霊の出現に興味をそそられると思われそうだが、決してそんなことはない。不合理な証言に対しては、なぜその人がそんな話をするのか、ある個人が本当に体験したことなのか、その話は類型的なものではないのかと疑ってみるのが民俗学の

    • 私たちは何者か 民俗学100人100冊 第0回 口上

      Wikipediaに「日本の民俗学者」というカテゴリーがある(https://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%B0%91%E4%BF%97%E5%AD%A6%E8%80%85)。そこには現存している学者も含めて、近・現代100人以上の「民俗学者」の名前が並んでいる。 私自身、すべての民俗学者の仕事に通じているわけではないが、多くの人がこのうちのほとんどの学者の名前を目にしたことすらない

      • 新型コロナをめぐる言葉

        「忘れようとしても、思い出せない」という名言があったが、備忘のためメモしておく。 アマビエ、神社姫、屋形船とライブハウス、トイレットペーパー買い占め、転売ヤー、100日後に死ぬワニ、電通案件、東京五輪1年延期、志村けん、お肉券・お魚券、コロナ疎開(避難)、コロナ離婚、ZOOM会議・ZOOM授業・ZOOM飲み、布マスク2枚、うちで踊ろう…

        • 大阪しろなー大阪(偽)日記

          「しろな」はこどものころに食べた記憶はない。 食べたけれど意識してなかっただけかもしれない。 外見は小松菜やちんげんさいに似ているが、「大阪しろな」というように、江戸時代から大阪で作られてきたという。 明治時代の初期には、天満橋や天神橋のあたりでさかんに栽培されていたので、「天満菜」とも呼ばれているらしい。 しろ菜は古くから大阪で栽培され広まっていった野菜で、現在でも大阪を初め京都や奈良などで栽培されています。 今晩は牛肉と炊いてすき焼き風にしてみたが、しろなからでる

        魂の行方 2021(メモ)

          ずいきの涙ー大阪(偽)日記

          ずいきは漢字で「芋茎」と書く、関西ではポピュラーな野菜である。 こどものころ、おかんが作ったずいきの煮物がおいしかったという記憶があるけど、東京のスーパーでは見かけないから、その存在すら忘れていた。 近所のスーパーで、「紅ずいき」を見つけたので、懐かしくて買ってみた。 おかんはずいきを、「河内長野で獲れるんとちゃうかな」と言っていたが、泉佐野産だった。 泉佐野だと、あのへんで小学校の先生をしていた宮本常一が、ずいきについてなにか書いているかもしれない。 ずいきはあくが

          ずいきの涙ー大阪(偽)日記

          どくだみ―大阪(偽)日記

          過日、石上神宮から内山永久寺に向かう途中、「山の辺の道」の初っ端あたりの無人販売所で、「どくだみ」を買った。 1袋100円だったけれど、毎日煎れて飲んでると、体調が好いような気がする。 「山の辺の道」の初っ端あたりまで、また買いに行こうかな。

          どくだみ―大阪(偽)日記

          逆さ地図―大阪(偽)日記

          リビングというか居間というか、一日で最も長い時間を過ごす部屋の壁が殺風景なので、絵でも飾ろうか思っていた。 ところが東アジア情勢が緊迫してきたので、この状況にふさわしいのではないかと思い、「環日本海・東アジア諸国図」を貼ってみた。 蟄居の身でも俄然、世界とつながっているような気がしてきた。

          逆さ地図―大阪(偽)日記

          氷室のさと―大阪(偽)日記

          連休のあいだに用事があって天理に行ってきた。 教祖殿にも参拝してきたけど天理教の信者ではない。 本通り商店街の立派な酒蔵をのぞくと「氷室のさと」という地酒が売っていた。 “氷室のさと”天理福住は母方のいなかで、都祁の氷室は『日本書紀』にも出てくる。 近頃は「氷結 グレープフルーツ」ばかり飲んでいるけど、祖霊に思いをはせて、この地酒を愛飲することにしようと思う。

          氷室のさと―大阪(偽)日記

          自炊のためにー大阪(偽)日記

          最近、自炊の習慣がつきはじめてきた。 そんな訳で本屋の料理本コーナーをのぞいてみたら、佳さそうな本が並んでいたので買ってきた。 なぜだかどちらも復刻版と新装版である。 レシピを参考に、そのうち、クレオール料理か亡命ロシア料理を作ってようかと思う。

          自炊のためにー大阪(偽)日記

          ハラールレストラン―大阪(偽)日記

          佃の住吉社から、神崎川を渡って、大和田の住吉社に詣でる途中、マスジドムスリム街があった。 昼飯を食べそこねていたので、マスジド(モスク)の向かいのハラールレストランに入る。 ハラールは、イスラム法で食べることが許されている、食材や料理のことをいう。 雰囲気も佳いし、なかなか美味かったので、誰かを誘ってまた来よう。

          ハラールレストラン―大阪(偽)日記

          佃―大阪(偽)日記

          仕事の用事で大阪の佃を歩いた。 レバーフライを売る店もなく、少し歩いたところで、もんじゃ焼き屋もなかった。 ただ桐の花がとても綺麗だった。

          佃―大阪(偽)日記

          アンリ・デマレ――大阪(偽)日記

          4月の最終日、好天。 エルヴェ・ニケ指揮コンセール・スピリチュエールのアンリ・デマレ『グラン・モテ』を聴いていると、この世の終わりみたいな気分になる。

          アンリ・デマレ――大阪(偽)日記

          大阪(偽)日記

          荒木経惟さんの『偽日記』にあやかり、「大阪(偽)日記」みたいなのをつけようと思ったりしているところ。

          大阪(偽)日記