【1】ボーカロイドとは(改訂版)

ばんはー、あきそらです。

 前回、同タイトルでnote投稿したのですが、なんというか論文だか書籍っぽい完成された調子の文体が「なんか違うな」って思ったので、書き直すことにしました。一応前記事は残しておきます。
 なんというか、私の中で「note」って言うのはちゃんと「コミュニティ」だなって感じたのが一番ありますね。お互いの投稿に呼応して自身のnoteを更新したりしているのを見るとそう感じて。だから、さも完成品の形をとっている書籍などに文体を寄せると、それってかなり一方通行的に感じて「これはnoteではないなぁ」って思いましたね。という訳で今までと同じように、こういう呼びかける・話しかけるスタイルでやっていこうと思います。

 では、本題の「【1】ボーカロイドとは(改訂版)」を改めて書かせていただきます。

【1】ボーカロイドとは

 まずは、ボーカロイドとは何か?ということについての確認です。が、その前に軽く「なぜ”ボーカロイドとは”を語るのか」を確認しておきます。
 簡単に言うと「認識の擦り合わせ」ということですね。これから自分なりのボカロ論を展開するという時に、基本情報の所から書き手と読み手に認識に違いがあると話が噛み合わなくなる可能性があります。
 「ボーカロイド」ひとつ取っても、「ニコニコ動画のカテゴリ」という意味で使うとUTAUやCeVIOも含まれるわけです。しかしその説明をすっ飛ばすと人によっては「VOCALOIDエンジンによる製品及びキャラクター群」に留まってUTAUやCeVIOを認識の外に置く可能性があります。そういった認識の相違を予め可能な限り取り払うことでスムーズに○○論を展開することが、「概要」や「○○とは」という項目の目的であると言えるでしょう。

 さて、そういう訳でこれからボーカロイド概要を確認していくわけですが、先に述べた「認識の擦り合わせ」を少し前傾的に「識者として、正しい概要を提示し、認識の誤りを正す」というくらいの姿勢で書いていこうと思います。
 私がボーカロイドの識者を自称するには知識・経験不足感を自分でも感じていて恐れ多いですが、及び足になって保身に回ってしまっては「本当に誰でも知っている、あるいはどのようにも取れる当たり障りない内容」になってしまい、実のないものになってしまう恐れがあるわけです。つまらないわけです。
 なので、ここでは反論を恐れずに私のボーカロイド概要をさも「正しいボーカロイド概要」のつもりで書こうと思います。反論や疑問があればそれこそ「ボーカロイド概要論」みたいな感じで皆で純度を上げればいい話ですしね。
 加えて、この「ボーカロイドとは」では、「ボーカロイドの誤解を解く」ことを最終的な目的にしようと考えています。認識の擦り合わせをするならば、ボーカロイド周りに見られる誤解を解くくらいのつもりで書いた方が実のある内容が見込めるからです。

 では、前置きはこのくらいに、ボーカロイド概要論の本題です。

 「ボーカロイド」と一口に言っても、見方によってその定義は様々に捉えられます。それらを総括的に表現することは難しいですが、現在の広義としての「ボーカロイド」を簡潔に表現するとしたら「初音ミクや鏡音リンといったキャラクターを、好きなように歌わせられるアプリソフト」となるでしょう。もちろんこの表現は正確さには欠けますが、入り口としては差し支えないかと。

では、より正確な狭義としての「ボーカロイド」とは?

 もともとボーカロイドとは、YAMAHAが開発し2003/2/26にプレス発表された「VOCALOID」というパソコン上で歌声を合成する技術と、それをもとにした歌声合成ソフトのことを指します。VOCALOIDエンジンは今でも改良を重ねグレードアップされており、現在の最新エンジン「VOCALOID4(V4)」では初代エンジン(V1)と比べても自然で多彩な歌唱表現が可能になっています。

 最初のボーカロイドは、イギリスのZero-G社が2004/1/15に開発した男声・女声ボーカロイドの「LEON」「LOLA」です(ボカロ界のアダムとイブですね)。一方、日本初の女声・男声ボーカロイドはそれぞれクリプトンが開発した「MEIKO(2004/11/5)」「KAITO(2006/2/17)」でした。LEONとLOLAではイメージキャラクターは採用されておらず、MEIKOで初めてキャラクターパッケージが採用されました。
 2007/1/18に二代目エンジン「VOCALOID2(V2)」がヤマハから発表されると、クリプトンは2007/8/31にV2シリーズ第一弾として「初音ミク」発売、彼女が皮切りとなってボーカロイドはその人気に火が付く。それ以降かわいいイメージキャラクターが定着し、「鏡音リン・レン」や「巡音ルカ」、クリプトン以外からも、インターネットから「Megpoid(GUMI)」「音街ウナ」、1st PLACEから「IA -ARIA ON THE PLANETES-(IA)」、AHSから「結月ゆかり」、ヤマハ及びガイノイドから「v flower」など、その他にも様々なキャラクターが続々と登場しました。一方で「VY1」のようなイメージキャラクターのないボーカロイドも、初音ミク以降にも誕生しています。

 ボーカロイドは、製品ジャンルとしてはボーカルシンセサイザ/ボイスシンセサイザーに属します。他のボーカルシンセサイザーとしては、無料で利用できて音声ライブラリを自作できる「UTAU(2008/3/6)」や、歌声だけでなく自然な喋り声も合成可能なスピーチシンセサイザーとしての機能も併せ持つ「CeVIO Creative Studio(2013/9/26)」などがあります。

 ボーカロイドを使用して制作された楽曲は、基本的にインターネット上の動画投稿サービス、主にニコニコ動画やYouTubeを利用して投稿・視聴されています。楽曲の特徴としては、「VOCALOIDイメージソング」のようにボーカロイドのキャラクター性を取り上げたキャラクターソングもあれば、J-POP、ロック、クラシック、ラップなど様々なジャンルのものが見られます。動画の特徴としても、1枚絵のものから動画まで、そしてボカロキャラを取り上げるものとそうでないもの。多くのクリエイターによって様々な表現が展開されており、ボーカロイドというコンテンツの魅力となっています。

 以上が、ボーカロイドの基本的な概要です。

 では、ここまでに確認したボーカロイドの概要を、ボーカロイドの誤解に繋げて読み解いていきましょう。

 まずはよく言う「ボーカロイドと言えば初音ミク」。正面から間違いというものではないですが、ボーカロイドは「初音ミクだけではない」ですよね。先に見た通り、ボーカロイドには多くのキャラクターが登場しています。

 では「ボーカロイドはキャラクター」なのかと言うと、必ずしもそうではなかったです。「ソフトウェアである」とも言えるますけどそれはさておき、この場合に確認したいのは「ボーカロイドは総じてキャラクター性を持つのか」という点。そしてこれも確認したようにLEONやLOLA、VY1といったイメージキャラクターを起用していないボーカロイドも存在します。

 LEON・LOLAについてもう一つ。「初音ミクが最初のボカロ」という誤解についても言及しておきます。既に分かる通り、最初のボカロはLEONとLOLAです。さらに言えば日本初であり、かつ最初にイメージキャラクターをパッケージ化したボカロも、初音ミクではなくMEIKOでした。

 次は「合成音声=ボカロ」という話。これはもしかしたらボカロリスナーの中にもよく知らなかった人もいるかもしれないですね。先に挙げたように歌声合成ソフトにおいてもVOCALOIDの他に、重音テトで有名なUTAUやCeVIOというアプリソフトが別にあります。ちなみにここで挙げたVOCALOID以外の歌声合成ソフトでもイメージキャラクターの文化は踏襲されています。興味があれば是非関連楽曲及び動画を探してみましょう☆

 次の議題は少し取り扱いが難しい「ボーカロイド=オタカルチャー」という認識について。これは、特にボーカロイドの歴史において「キャラクター」が果たした功績が大きいことに原因があると思われますが、因果論はさておきましょう。この誤解、つまり「オタクでないと楽しめない」という認識に対しては、先に述べた概要の中でも「多くのクリエイターによる様々な表現」に求めることができます。ボカロ曲及びその動画は、ボーカロイドのキャラクター性を必ずしもピックアップしているわけではありません。動画タイトルに、使用されているボーカロイドの名前が書いてあるだけで、動画や歌詞にボーカロイドが全く登場しない曲も数多くあります。その上で様々なジャンルの楽曲であったり、様々でハイセンスな1枚絵ないしPV動画が楽しめる、それがボーカロイドです。そのような展開を見せるコンテンツを、ややオタク的な「キャラクター」という要因一つで遠ざけるのはもったいないと思いませんか?もったいないですよね!非常にもったいない。

 最後にもう一つ、これも何とも扱いの難しい議題です。「ボーカロイドの歌声は無機質」という認識について。これについては完全に否定しきることは難しいところがあります。どんなに技術が向上しても、人によっては聞き分けてしまう可能性を捨てきれないからです。しかしその上で、ここで私がしたい主張は「進歩のない無機質なのか」というものです。先に確認したましたが、VOCALOIDエンジンは現在では四代目のV4まで進化を遂げています。そこにはエンジン開発を行っているヤマハの並々ならぬ努力の成果があります。また、ボーカロイドを駆使し人間らしい調整をする努力もクリエイターらによって日々試みられているはずです。そういったノウハウはハウツー本となってこれからのボカロPに引き継がれている経緯もあるでしょう。そういった営みの蓄積で日々人間へと近づこうとするボーカロイドの経緯は、その成果としての歌声は「無機質」で一括りして果たしていいものでしょうか。事実として現在のボーカロイド作品には人間と聞き違えるほどに自然な歌声を披露しているものがあります。人によってはその違いを聞き分けるものもいるかもしれない。それでもその成果は「進歩のない無機質なのか」と問わずにはいられない、というのが本心です。

 

 さて、「ボーカロイドとは(改訂版)」はいかがだったでしょうか。改めて文章の構成も少し弄ったので、とりあえず前より読みやすくなってるといいなと思います。少なくとも読みづらくなってないといいなぁと......(笑)。とりあえず、noteでの文体はこんな感じで統一していこうと思います。noteってコミュニティですよ、やっぱり。

という訳で、今回はここまでです。
それでは失礼ノシ

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