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ウェルカム体制のある伝統文化-秋田県八郎潟町-

八郎潟町は伝統文化が息づく町です。
伝統文化と言うと敷居が高いと感じられるかもしれませんが、今回ご紹介する本町の「一日市盆踊り」や「願人踊」等は他市町村の方にも親しみやすい、また参加しやすいものであることをこの文面を通して伝えられたらと考えています。

こんにちは、申し遅れましたが一日市郷土芸術研究会に所属している小柳聡と申します。

秋田県三大盆踊りでもある「一日市盆踊り」は正に「参加型盆踊り」です。
町内外問わず踊りの輪に加わって参加することが出来るからです。
観光客に対しても、見て楽しむだけではなく、踊りを覚えて一緒に楽しんでもらいたいという寛大さを持っており、「誰でも楽しく」をコンセプトとしています。

秋田市より2年連続で親子参加いただいたTさん(写真右)にお話を伺いました。

どうして一日市盆踊りに参加してくださっているのか伺ったところ、

秋田県三大盆踊りに興味があり、一日市は「飛び入り参加が出来る」ことをウェブサイトで見て参加し、衣装が手作りであることや、囃子や踊りがウェルカムな感じがあり昨年に引き続き躍らせてもらいました。
今後も参加したいと思っています。

と、嬉しいお言葉をいただきました。

一日市盆踊りの大きな特徴の一つは「仮装盆踊り」である点だと思っています。
400年以上の長い歴史の中で踊りや唄は継承されているのに対して、衣装は毎年のように変化しています。
またその時代を象徴するような時事ネタを意識した仮装者もいて、そういったユーモアのある仮装を見るのも楽しみの一つです。

私自身がどのように「一日市盆踊り」に関わっているかというと、主に太鼓の叩き手として盆踊りの囃子を担当しています。
盆踊りはあくまでも踊り手が主役で、囃子は踊り手の引き立て役ですが、踊り手に楽しく踊ってもらうために囃子が果たす役割はとても重要であると思って練習に取り組んでいます。
この囃子(太鼓・笛・唄い手)に関しても、町内外問わず参加できます。
※練習期間(8月7日~17日)にはなるべく参加していただきたいです。
 13日14日は盆休み、雨天時は中止の可能性あります。

踊りの輪の中でリズムを刻む囃子の模様

このように間口は広く、楽しもうという気持ちさえあれば、誰でも気軽に盆踊りに加わることができます。
少子高齢化の波には逆らえませんが、今後の盆踊りを盛り上げていくのはもしかしたら「それなら私たちもやってみよう」と考えていただける貴方かもしれません。
是非、まずは見て体感していただき、そして踊りの輪に加わっていただけましたら幸いです。

一日市盆踊り 8月18日~8月20日(固定)
※秋田県無形民俗文化財の正式登録名は「一日市盆踊」です。
※令和5年の詳細はこちら

次にご紹介するのは「願人踊」という民俗芸能です。
こちらは参加型ではありませんが、距離感の近い伝統芸能であるという自負を持っています。
江戸時代に全国各地で行われていた願人坊主の門付芸能が発祥と言われ、唄や踊りは伊勢音頭がルーツとなっています。
八郎潟町に伝えられたのはおよそ300年前と言われています。
5月5日に行われる一日市神社の例大祭に合わせてお祭りが開催されますが、門付け芸能として町内を練り歩く際は観光客のみなさんとゼロ距離になることもあり、コミュニケーションがそこには生まれます。
たくさんの観衆の前で踊る駅前公演では記念写真撮影にも気軽に応じています。
2014年に開催された国民文化祭以降は願人踊の知名度がアップしたのか、県内外からたくさんの観光客のみなさんにお越しいただいております。

この人気を支えているのが、踊りに加えて仮名手本忠臣蔵五段目、山崎街道の一場面を演じる定九郎と与市兵衛(通称:じっちゃ)によるコミカルな寸劇がある点だと思っています。
一般的に民俗芸能をご覧になる際には構えてしまうかもしれませんが、願人踊では定九郎と与市兵衛の掛け合いで会場に笑いが起きます。
県内外で民俗芸能が集まるイベント等にも参加しますが、この点は他の芸能と比べても特殊な部類に属するのではないかと考えています。

コロナ禍が収束しつつある現在、県内外からの出演オファーも増えてきています。
子どもの日に八郎潟町に来るのが難しい方や、何度でも願人踊を見たいといった奇特な方はそういった芸能イベント等もチェックしていただければ見つけていただけるかと思います。

祭典のカタチとしてコロナ禍前の姿に今年ようやく戻すことが出来ました。祭典の5月5日は大人の願人踊の他に、子ども願人踊、秋田音頭とそれぞれ分かれて町内を練り歩いています。
大人の迫力ある踊り、子ども達のほのぼのした演技、たくさんの見どころがあると思いますので是非とも足を運んでいただければと思います。
※令和5年の詳細はこちら

最後にご紹介するのがプロジェクト8による「一夜市」(いちやいち)等の活動です。
(※プロジェクト8については、こちらの記事から!)

まだ伝統文化と呼ぶには相応しくはありませんが、この活動を伝統と呼べる日がいつか来るのではないかと期待してのものです。
最近では第14回地域再生大賞等に秋田県代表としてノミネートされるなど地域活性化に対する評価もいただけるようになってきました。
その代表的な取り組みとして取り上げていただいた「一夜市」は、プロジェクト8にとって原点であり、12回目の開催となった現在に至っても最重要イベントであることに変わりはありません。
この一夜市においても参加型というキーワードがしっかりとあり、毎年恒例でステージ演目の中に参加型企画を盛り込んでいます。
これは単にゲストを呼んで盛り上げてもらって終わり・・・ではなく、住民やお客さんを巻き込んでこそイベントとしての意味があると考えているからです。
毎年頭を悩ませながら、どんな企画であれば参加しやすく盛り上がるのか、メンバー内で時間を割いて話し合っています。

2023年はパリオリンピック出場が期待されるバドミントン志田選手の応援も込め、
シャトルも使用したゲームを実施

また一夜市のステージ背景も地域住民と共に創り上げるというコンセプトで、毎年のように共同作業で行っています。
このように地域住民との関わりを増やすことによってプロジェクト8メンバーの成長はもちろん、住民や関係者との交流、郷土愛の醸成、またその先にある町づくりへの布石となると思っています。

中学生と共同制作したステージ(多くの町民にも参加いただいてます)

近年では会場がたくさんのお客様で溢れる光景が一般的になってきました。お笑い芸人ライブやアーティストの演奏、十数年振りに町に復活させた打ち上げ花火等、地方の日常では感じられない部分を体感してもらいつつ、みんなで力を結集することで「日常の延長でこんな楽しい事ができるんだよ」というメッセージも伝えていきたいです。
小さな町のローカルイベントだからこそそのような一体感は醸成しやすいと考えています。

冬期間はイルミネーション大作戦と銘打って、日照時間が短く暗くなりがちな街並みを明るくする活動をしております。
令和5年のイルミネーション点灯式は12月2日(土曜)を予定しており、会場は八郎潟町えきまえ交流館「はちパル」となりますので是非一緒に点灯の瞬間を共有いただければと思います。
当日お越しになれなくてもそれ以降はイルミネーションが灯った街並みとなっておりますので、是非ともイルミネーションが灯った八郎潟町の光景をご覧いただきたいと思います。

これらの行事のみならず八郎潟町のイベント等、全体的な空気感も含めてウェルカム体制がある町であると思っております。
気軽に遊びに来ていただき一緒に楽しみましょう!!

【著:小柳 聡】


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