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【ごてんまりの髪飾りを作るために】振袖スタイル流行の変化を学ぼう

こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。

わたしには「振袖に合うようなごてんまりのついた豪華な髪飾りを作りたい」という夢があります。
その実現のために日々励んでいます。

ただ最近の振袖スタイルがかなり変化していて、自分のセンスでは追いつけなくなっていると感じます。
現在わたしは37歳です。
わたしが成人式で振袖を着た2006年当時は、こんな感じのスタイルがトレンドでした。

洋風の花を散らした黒い着物が人気でした。
伊達えりと帯締め、帯揚げは色味をあわせるのが基本で、ピンクや緑、水色など可愛らしくはっきりした色が多かったです。
髪型は「とりあえずアップ」で、髪を高く盛り上げ、あまった毛先をコテで巻いて散らすのが主流でした。

令和の今、このスタイルはあまりにも古すぎます。
わたしがハタチのときのセンスそのままに、こんなスタイルを提案したらドン引きされてしまうでしょう。
ごてんまりを若い人にも届けたいと言うのはわたしの希望(エゴ)ですが、あまりにダサいものを作ったら受け入れてもらえない恐れがあります。
トレンドをきちんと把握するために、近年の振袖スタイルの流行をまとめてみようと思います。

2023年現在の振袖スタイルはこんな感じです。

振袖の色は白が一大トレンドで、淡いペールカラーやグレー味のあるニュアンスカラーが人気です。
伊達えりや帯揚げ、帯締めにも可愛らしいはっきりした色は使いません。
香音さんの着こなしは、伊達えりも帯揚げも帯締めも全て白ですね。
首元を拡大すると、パールの伊達えりとレースの半衿を使用していることが分かります。
差し色という言葉がありますが、今の若い人たちは、色ではなく様々な素材の質感を取り入れることで着こなしに変化をつけています。

今の若い人が振袖の小物に求めているのは「色」ではなく「素材感」です。
雑誌を開いて小物特集のページを見ると、色味はシックなのに、素材の種類がとにかくたくさんあることに驚きます。
レース、パール、ベロア、刺繍、ラインストーン、チュールなど。
昭和生まれのわたしには、振袖に合わせるものとして思いもつかないものばかりです。

ヘアスタイルにも変化があります。
アップにしたとしても、高さを出すことはなくなりました。
髪飾りを付ける位置もやや下になり、全体的に重心が下がった印象です。
この「ポイントを下目に持ってくる」「重心を下げる」のが最近のトレンドのようです。

振袖の柄付けも、近年は袖と裾のほうに大きい柄がメインにくるのが増えているそうです。


しかし、一番変化が大きかったのは髪飾りかもしれません。
定番のつまみ細工や造花の髪飾りも人気ですが、最近では金銀の水引や組紐を使ったアレンジが大変人気を集めています。

これまでの髪飾りは、頭の一部分に付けたり載せたりするものでしたが、こうなってくるとまるで頭全体を使ったアート作品ですね。
髪型はこういう「たまねぎヘア」やポニーテイル、編みおろしが人気です。
髪もやはり「下に下げる」のがトレンドなのですね。
Instagramを見ると、肩や背中まで垂れた髪の毛に、水引や組紐、リボンなどを絡ませたり巻きつけたりするヘアアレンジがたくさん出てきます。

振袖と同じで、髪飾りも色の種類より素材の種類の豊富さが際立ちます。
つまみ細工、造花、生花、水引、組紐、金糸、房、レース、チュール、パール、ドライフラワー、ヘアピン、ビーズ、ちりめん玉、アメリカンフラワー、種々のリボン(ベロア、サテン、グログラン、レース、オーガンジー‥)など。
振袖の髪飾りには、たくさんの素材から数種類を選んで、センスよく組み合わせるのが当たり前になっているようです。

髪飾りの範疇に入れていいのか悩みますが、髪に金箔や銀箔を貼り付ける人もいます。
「色味を入れない」「素材感を出す」ことが重要視されているようですね。

わたしはこれらの変化に、TikTokなど短い動画の流行が大きく関わっていると考えています。
もともと写真投稿のSNSだったInstagramと比べると、TikTokは動画投稿の場であり、画面がより縦長です。
TikTokが流行し始めてから、成人式での常識が一変しました。
それまでは「自分のバストショットと全身像の写真、あとは親や友達と撮った写真が何枚かあればよい」という感じでしたが、今や「動画撮ろう」「インスタライブやろう」が普通です。
おそらくTikTokが流行し始めた頃から「動画だと動きがある方が映える。可愛い」という意識が芽生えたんだと思います。

若い人の着こなしで帯の上にしごきを重ねるアレンジが流行っているのも、動きが出て動画映えするからです。
それと画面の中で縦の長さが強調できるからです。
たまねぎヘアやポニーテイルの流行、水引や紐、様々な種類のリボンなど「長い」ものが髪飾りに盛んに用いられるのも、同じ理由だと考えられます。

TikTokが流行語大賞にノミネートされたのは2018年のことです。
わたしの体感でも2018-19年頃を境に、振袖スタイルの大きな変化が起こったなと思います。
2019年以後はコロナウィルスの世界的な蔓延により、マスクの着用が日常的になりました。
髪のバックスタイルがとくに豪華になったのは、その影響があるのかもしれません。

こういうトレンドの変化に対応して、新たにごてんまりの髪飾りを作るとしたら、次のようなことに留意すべきと思います。

・色味をたくさん入れることで変化をつけようとしない
・ごてんまりだけでなく、複数の異素材と組み合わせる
・ふわっとした動きのあるヘアスタイルに対応できるような髪飾りにする


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