2月11日(日)

せっかくの三連休初日だが、腰が痛くてそれどころではない。左股関節から腰にかけて、立ったり歩いたりすると、何かが神経に触れるような痛みが走って力が入らなくなる。

座っているときが一番痛い。おそらく普段デスクワークや運転などで座席に座っているときの姿勢が悪いのが原因なのだろう。猫背になっていることは自覚している。しかし日頃どんなに背筋を伸ばそうと意識しても、どうしてもまた元の姿勢に戻ってしまう。

痛みはもう二週間くらい続いている。数日前の休みに接骨院に行った。直後は効いた感じはしたが、翌日からぶり返して余計に痛みが強くなったような気さえする。腰よりもむしろ尻の筋肉を揉まれると痛みが走った。聞くと身体の負担が股関節から腰へ、腰から尻へ来ているという。

今日も行きたいくらいだったが、接骨院は平日しかやっていない。寒かったこともあり、とりあえず近所の温泉に行ったが、効果があったような気はあまりしない。

本来なら好きなサウナに入るところだが、今日はそんな気分にもならず、湯船に浸かるよりとにかく横になりたい気持ちが強くて、早めに上がって休憩室に向かった。が、テニスコートほどの広さの大広間に、湯上がりの人々がごった返していて座れない。横になってイビキをかいて寝ている人。荷物だけ置いて居なくなっている人もいた。仕方なく近くのソファに腰を下ろした。寝そべりたくて早めに風呂から上がったのに。しかし、服を脱ぐのが億劫で今さら入り直す気にもなれない。腰が痛いだけでこんなに日常が不便になるのかと悲しくなった。

席が空くとすかさず移動し、テーブルの上を酒の缶とお菓子のビニール袋で汚く散らかしている夫婦の隣りに横になった。部屋にはテレビが付いている。大して面白くもないテレビを見て皆が笑っている。ほんとうに面白いと思っているのか、そうでないのか。ともかく、普段は家の中でしか決して見せないような、だらしなくそして平和な人々の日常の姿がそこにはあった。その中にいて、おれはなんなのだろう。孤独を感じたが立ち去る気力もなく、仰向けになって痛む箇所を伸ばしてみた。痛みは変わらない。

寝そべりながら片手に持ったスマホで「腰痛」と検索する。直後は安静にすべきだが、慢性的な痛みはむしろ動かした方が良いという。プールに行こうと思った。時刻は三時半過ぎ。いつもよく行く市民プールの開館時間は五時まで。違うプールを検索すると、九時までやっているとのことだった。向かう。

車の座席に座るだけでもう辛い。痛みが多少なりともマシになるように、背中とシートの間に毛布とタオルを挟んだ。到着。

しかしプールは整備中とのこと。せっかく現地まで来たのにプールは閉館していた。「すみませんプールに入りたいのですが」と受付の女性に言うとカウンターに貼られたプール閉館を知らせるポスターを指差されながら「閉館中ですが」と冷たく言い放たれた。思わず「あ、すみません」と応答してしまったのだが、どうして私が謝らなければならないのだろうと、さっき脱いだばかりの靴を履き直しながら思った。

また雪が降りはじめた。薄暗くなっていく空の下、あられのような雪が風に煽られ斜めから身体に当たってくる。身をかがめ、また猫背になりながら自分の車へ向かう。白い車が、横断歩道を渡ろうとする私に気が付いていないかのように目の前を横切り走り去っていく。


身体が不調だとダイレクトに精神にも来る。昨年の年末くらいから、なんだかこんな感じが続いている。ただでさえ寒くてイヤダイヤダと思いながら生活しているのに、タチの悪い風邪を引いて、治ったと思ったら別のタイプの風邪を引いて、それが治ったと思ったら今度は腰が痛くなって…。なんなのだろうか。

一応、一月はここ数年の懸案事項だった資格試験の合格発表があって、それはそれでまあ非常におめでたいことではあったのだけど、今年に入ってからというもの身体の不調を感じずに過ごせた日はほんの数日しかなく、それによって気持ちも落ち込み気味である。早く春が来てほしい。

昨夜は雷だった。冬の始まりと終わりには雷が鳴る…そういう言い伝えを子どもの頃に祖母から聞いた覚えがある。冬の終わりを告げる雷であってほしい。