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プロが作る安価で長持ちする木の塀

先日施工した木塀があまりにも評判が良くて、DIYしたいというお声が多かったので、実際のプロの製作過程をご紹介したいと思います。


1.どんな塀がほしい?

今回のご依頼は隣地との境界に目隠し用の塀が欲しいというご依頼でした。
たしかに広いお庭に面するお隣の台所の窓、気になりますよね。

窓からの目線を考慮すると、塀の高さは2m近く必要ですので、かなり背が高い塀になります。

塀の背が高くなると、当然風を受けて倒れやすくなりますので、安全性を考慮して、地中に埋まっている束石の部分をかなりしっかり作る必要があるため、価格は少し上がってしまいます。

しかもこちらのお宅は敷地が広く、こちらの隣地境界線にすべて塀を立てるとすると、15mを超えてしまうので、価格を抑えるために10mに決めて価格を押さえることにしました。

但し、価格を押さえながらも、長持ちさせられる方法、メンテナンスしやすい方法を取り入れてほしいということでしたので、そこはプロらしく、対応させていただきました!😊

結果的に、お客様にはとても喜んでいただき、わたしもうれしい🥰

着工前


2.プロの段取り

余談ですが、仕事は段取りが一番大事です。
段取りの悪い業者は仕上がりにも不安が残りますし、
段取りが悪いと余計に手間がかかるため、工事費も上がってしまいます。
なので、段取りに私は仕事時間の8割を使っています。

さて、今回も、段取りには力を入れました。
すべての準備を整えて、現場での仕事は最短で行います。
職人さんの手間が一番高価ですからね!😉

1.仕様決め

事前に現地調査をした際に、木塀の位置、長さ、高さ、束のピッチ、構造、デザイン、色決め、すべて決めました。

2.材料の手配

木材、アルミ部材、束石、塗料、釘金物。
必要数量を拾い出して、不足zの無いように、しかし無駄にならないように絶妙に計算しています。
材料が足りなくて、買いに走るなどの時間の無駄はなるべくしたくありません。
職人さんの手を遊ばせることは直接的に価格に影響するからです。

非常に長い束石

3.人と日程の手配

外構の工事は、悪天候ではできない工程もあります。
天気と職人さんの予定を併せて工事計画を立てます。

今回は好天気が2~3日続くタイミングがちょうどありましたので、そこに現地作業の日程を設定。
それに合わせて、事前準備の日程を設定しました。

事前準備として、部材のカット、部材の塗装をしておきました。
現地ではもう組み立てるだけ!
という状況を作っておきます。

3.プロの現地作業

1.位置出し・レベル出し

実際の塀の位置、束の位置を正確に出します。

束の高さ、塀の高さを正確に出し、既存の塀に木材を這わせ、平衡をわかりやすくしています。

レベル出しの後、束石の床掘

2.束石の床掘・設置

今回使う束石はかなり長めなのでさらに深めに土を掘ります。
上記の写真の横に這っている木材が、束石の高さなので、そこからいくら掘ればいいのか一目瞭然です。

この束石が塀の土台になるので、この作業で高さを合わせる作業が一番大事になります。

束石の設置

3.柱の設置

今回は柱にアルミ部材を使用しました。
部材そのものは割高ですが、メンテナンスフリーですし、長持ちするからです。

アルミ支柱に水糸でレベル出し

4.横桟のレベル出し・設置


上記の写真をよく見ると、黄色い水糸が横に張られています。
これが、横桟のレベルを出したものです。

今回はこの横桟もアルミ部材を使用しました。
予算を削りたいならアルミを使う必要はないのですが、今回はアルミを使ってみました。

アルミ横桟

5.面材の設置


あらかじめカットして、塗装したものを持ち込みましたので、あとは設置するだけ。
面材と面材の隙間が均等になるように一つの楔を挟みながら繰り返し貼っていきます。
ビスの高さと位置が均等になるように、細心の注意を払っています。

面材の設置は二人がかり

一見完成に見えますが、まだ、完成ではありません

木塀の完成

6.小口包みと笠木

木材の小口(切り口)は水を吸いやすいので、この小口を包んであげることで木材の劣化を防ぐことが出来ます。
アルミにはアルミの専用キャップを。
木材には鋼板で製作してもらってキャップを取付けしました。
これで、長持ち安心です🥰

笠木
アルミ小口キャップ
木材小口キャップ

完成と思いきや、実はまだ完成ではない

いったん完成

7.再塗装して完成

木材は一応二回塗りしてから設置しています。
完成してからもう一回塗って、全3回塗りしています。

3回塗りすることで、塗料の劣化を遅らせることが出来ますし、
それを見越して、ビスも安価なものを今回は使っています。


4.プロの仕事術

今回、私が実践したアイデアは3つ。

1.塗装

木材を設置前に塗装。
3回目の塗装は設置後。
木材はどうしても収縮します。
現地で設置後に塗装をする方が多いですが、木材の収縮で、塗装されていない部分が後々見えてきてしまいます。
特に濃い色の塗料をお使いの場合、生成りの部分が見え隠れするのはかなり見栄えが劣ります。

2,木材の腐食に備えた

部分的にアルミ部材を使ったことと、塗装を3回塗りとしたこと、小口にカバーを付けたことで、腐食を最大限遅らせることが出来ます。

3.釘頭

通常、化粧釘と言われる、釘頭が丸いものを使うのですが、今回は安価な釘を使って価格を押さえました。

後々面材が劣化した場合に、素人でも面材の張替がしやすいからです。

さらに、3回目の塗装を最後に行う予定だったので色を気にする必要が無かったことも理由の一つです。

釘については下記のyoutubeで詳しく説明されていたので是非参考にして頂きたいです!
【大工の豆知識】丸い頭の釘(丸釘)の本当の用途とは?打ち方の注意点とは?大工が解説します!


5.まとめ

最近は、DIYのブームで、ご自分でいろいろ製作される方も増えていますよね。

道具も安価になったので一般家庭でも簡単に取りそろえることが可能ですし、メンテナンスもご自分でできるようになるので、とてもいい習慣だと思います。

ご家族で楽しく取り組むDIYや、日々のメンテナンスに、役に立てていただけると嬉しいです🥰


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