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空き家の価値を考える

2013年の総務省調査によると全国の空き家数は約820万戸、全住宅の7戸に1戸が空き家という状況になっています。これが、2033年頃には空き家数2,150万戸、なんと全住宅の3戸に1戸が空き家になってしまうという民間予測となっています。

1.家の価値とは

一般に売買されている不動産の売買価格はどうやって決めているかご存知ですか?
固定資産税の評価額が売買価格かと思いきや、違います。

地価や、立地条件や築年数、土地や建物の価値を測る基準は様々ありますが、いくらで売買されているかの統計をもとに売買価格の査定がされます。

しかし、この査定額も、不動産の売買価格とイコールではありません。

まずは、固定資産税の評価額、査定額、実売価格のそれぞれの違いをまとめてみました。

■ 固定資産税の評価額

固定資産税の評価額は、地方自治体によって所有する不動産の課税目的で算定される評価額です。通常、地方自治体の税務局や評価課が所有する不動産の価値を見積もり、固定資産税の課税に利用します。この評価額は、土地と建物の合計価値に基づいて算出されます。しかし、固定資産税の評価額は、実際の市場価格や売却価格とは必ずしも一致しないことに注意してください。

■ 査定額

査定額は、不動産専門家や鑑定士によって行われる専門的な評価に基づいて算出される不動産の価値です。査定額は、不動産の状態、立地条件、建物の特徴、市場の需要と供給の状況など、さまざまな要素を考慮して算出されます。査定額は、市場価格に近い評価値とされ、売却や融資の際に参考とされることがあります。

■ 実売価格

実売価格は、実際に売却された不動産の価格です。これは、売主と買主の間で合意された金額であり、不動産の市場価格を反映しています。実売価格は、需要と供給のバランスや交渉の結果によって異なる場合があります。実売価格は、不動産の現在の市場価値を示す重要な指標であり、同様の物件の参考価格として利用されることがあります。


以上、これらの値は、それぞれ異なる目的や背景で使用されるものです。
固定資産税の評価額は税金の評価に使用され、
査定額は不動産の評価や融資の基準となります。
一方、実売価格は実際の市場取引価格であり、
売却や購入の判断材料となります。

ここでいう、家の価値とは、実売価格のことです。


2.不動産の実売価格と不動産の価値

実際に不動産がいくらで取引されるのか、これが実売価格です。
前章で述べた通り、実売価格は実際に売買される金額のことを指します。

たとえ評価額が高かろうと、専門家の査定額が高かろうと、需要がなければ不動産は売れません。
需要がなければ不動産の価値はゼロと同じです。
逆に、不動産を購入したい人が一人でも居れば、その不動産には価値があるということです。


3.不動産の価値を高める


欲しい人がいれば売れる。⇒価値がある
欲しい人が居なければ売れない。⇒価値がない

と、前章で述べましたが、あなたが所有する不動産には価値がありそうですか?

一般的に、価値がある不動産なら所有していても困らないでしょう。
それに、価値がある不動産なら手放すことも困難ではないでしょう。

実際にこのブログを見てくれている方の多くは、実際に不動産を所有していて、その不動産が価値がないと思っているか、もしくは価値がわからないと思っていらっしゃるのではないでしょうか?

わたしに相談に来られる所有者さんの多くは、自分の所有している不動産に価値がないと思われている方が多いです。
実際に、「不動産屋さんに相談に行っても相手にしてもらえない」「売りたくても売れない」「ただでもいいから貰ってくれる人はいないか」などのご相談が非常に多いです。

実際、価値がないと思われる物件もございます。
しかし、その多くは、価値を高めることができる場合が多いです。

不動産は一期一会。
同じ物件とは2度と出会えません。
間取りが同じでも、土地が違いますし、建物の修繕状況も違うからです。
その、一期一会を作り出すだけで、不動産に価値が生まれるのです。

不動産に価値を生む。
一人でもいいから、「この物件が欲しい」と思ってもらうということです。
これは、そんなに難しいことではありません。
物件によって様々な方法があります。

それか、タダなら貰うという人を見つけることもできます。
固定資産や管理費、修繕費などを払い続けるより、タダでも手放したいと思うのは自然なことです。
不動産に価値はなくても、負の価値を手放すことも重要な選択肢になります。
お子さんに負の遺産を残さないよう、自分の代で不動産を処分したいというご相談も増えてきました。
これも、終活の一部なのだそうです。

また、所有し続けながら、収入を得るという方法もあります。
これは物件を賃貸で貸し出すという方法です。
これも、立地や建物状況、間取りや駐車場の有無など、いろんな要素によって利用できない場合もありますが、選択肢としては外せません。
築古の戸建てでも、「ここに住みたい」と、一人でも思ってくれればいいのです。

価値の無い不動産って、実はそんなに無いものです。

4.まとめ

不動産の価値は、作り出すことができます。
一人でも「欲しい」「住みたい」と思う人が居れば、その不動産に価値が生まれます。
古いからといって取り壊す必要はないかもしれません。
売れないからといってあきらめる必要はないかもしれません。
みなさんが所有する不動産が、あなたのためにお金を稼いでくれる場合もあるんです。
あなたの所有する不動産には、価値はありますか?

5.空家のお医者さんに相談しよう。


所有者さんには一定の責任をもって空家と向き合ってほしいと、空家のおいしゃさんは日々考えています。そして、放置空家を見るたびにもったいないと思ってしまいます。

適正な知識があれば、適正な時期に保全をすれば、維持費用は格段に抑えられます。
そして、大きな声では言えませんが火災保険や補助金を上手に使えばむしろ手持ち金が増える場合もあるんです。
さらに、空家に働いてもらってお金を稼ぐこともできるかもしれません。

あなたが所有している空き家がどんなポテンシャルを持っているか、空家のお医者さんに相談してみませんか?


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