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24年1~3月期実質GDP(第1次速報値)は前期比年率▲0.7%程度と2四半期ぶり減少か―日本の主要経済指標予測(2024年4月30日)―

1~3月期実質GDPでは、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響が大きく、個人消費、設備投資、輸出などは前期比減少か。(5月16日発表)

 1~3月期第1次速報値では、実質GDP成長率は前期比▲0.2%程度、前期比年率▲0.7%程度と、2四半期ぶりに減少に転じると予測します。一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響が大きく、個人消費、設備投資、輸出が前期比減少になると予測されます。
 
 1~3月期実質GDP第1次速報値では内需前期比寄与度は▲0.3%程度を予測します。内訳をみると、民間需要が▲0.3%程度のマイナス寄与度、公的需要は+0.1%程度の寄与度のプラスとみました。また、外需の前期比寄与度は+0.1%程度のプラスになると予測しました。
 
 実質の個人消費は実質賃金前年同月比が2月で23カ月連続減少になったことや、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響で、前期比▲0.2%と4四半期連続減少になると予測します。供給サイドの関連データである耐久消費財出荷指数の1~3月期・前期比は▲11.4%の減少になりました。同じく供給サイドの関連データである1~3月期・非耐久消費財出荷指数は同▲0.9%の減少です。参考までに、名目ベースの商業販売額指数・小売業の1~3月期・前期比は0.0%と横這いになりました。
 
 一方、需要サイドの関連データでは、家計調査・二人以上世帯・実質消費支出(除く住居等)の1~2月平均の対10~12月平均比は▲1.4%の減少になっています。また、乗用車販売台数の1~3月期・前期比は▲17.5%の減少になっています。
 
 家計最終消費支出の推移を様々な月次データによる時系列回帰モデルによって推測している総務省の総消費動向指数の1~2月平均の対10~12月平均比は▲0.1%の減少です。また、財とサービスに関する各種の販売・供給統計の月次データから算出している日銀の実質消費活動指数(旅行収支調整済)の1~2月平均の対10~12月平均比は▲0.6%です。
 
 以上から総合的に考えると、1~3月期第1次速報値の個人消費は、前期比で▲0.2%程度の減少になると予測されます。

 設備投資の関連データである資本財出荷指数の1~3月期・前期比は▲8.4%の減少です。資本財(除.輸送機械)出荷指数の1~3月期・前期比は▲2.1%の減少になりました。また、建設財・前期比は▲6.2%の減少です。一方、特定サービス産業動態統計のソフトウェア開発、プログラム作成の1~2月平均の前年比は+7.4%で10~12月期の+3.5%より増加率が高まっています。
 
 GDP統計で供給サイドから推計される1~3月期の実質設備投資は前期比▲2.0%程度の減少になると予測しました。
 
 民間在庫変動の前期比寄与度は+0.1%程度と予測しました。ARIMAモデルにより内閣府が10~12月期第2次速報値時点での情報を使って算出・公表した、1~3月期の原材料在庫の季調済実質値前期差は+3,499億円、仕掛品在庫の季調済実質値前期差は+6,990億円です。また、鉱工業在庫指数の前期比は、10~12月期は▲0.9%でしたが、1~3月期は0.0%になったことなどを考慮しました。
 
 実質輸出入の動向をみると、輸出の1~3月期・前期比は▲2.5%の減少になりました。控除項目の輸入は同▲4.5%の減少になっています。財のデータでみると1~3月期の外需(財)の前期比寄与度はプラスになると思われます。一方、景気を把握する新しい指数一致指数に採用されている実質サービス支出は1~2月平均の対10~12月平均比は▲10.5%と大幅な減少です。
 
 財・サービス合わせた1~3月期・GDPの実質輸出は▲4.5%程度の減少、輸入は同▲5.1%程度の減少と予測しました。1~3月期の外需の前期比寄与度は+0.1%程度になると予測しました。 


※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。