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4月1日発表の日銀短観3月調査・大企業・業況判断DIは、製造業は4期ぶり悪化、非製造業は8期連続改善と、明暗分かれそう。―日本の主要経済指標予測(2024年3月21日)―

日銀短観3月調査、大企業・製造業・業況判断DI+10程度と、12月調査(新ベース)+13から低下。大企業・非製造業・業況判断DI+34程度と、12月調査(新ベース)+32から上昇か。

 日銀短観3月調査では、大企業・製造業の業況判断DIは不正のため稼働停止となった一部の自動車会社の影響などでの悪化が見込まれ、+10程度と12月調査(調査対象企業の定例見直しによる新ベース)+13から3ポイント程度悪化すると予測しました。予測通りなら4期ぶりの悪化になります。
 
 また、大企業・非製造業の業況判断DIは+34程度と、こちらは12月調査(新ベース)の+32から2ポイント程度上昇し、8期連続の改善になると予測します。予測通りだと、91年8月調査の+41以来の水準になります。引き続きインバウンド需要の増加で宿泊・飲食サービスなどが改善に寄与すると思われます。

※24年3月調査の日銀短観・業況判断DIは筆者予測値

1~3月期・鉱工業生産指数・見込みからみても、3月調査大企業・製造業・業況判断DIは3ポイント程度低下か

 大企業・製造業・業況判断DIは鉱工業生産指数と強い相関があります。21世紀に入った2001年1~3月期から2023年10~12期までの期間で、大企業・製造業・業況判断DIは鉱工業生産指数との相関係数は0.634です。生産指数が1ポイント上昇するとDIは1.4程度上昇する傾向があります。
 
 24年1~3月期の鉱工業生産指数・前期比は、1月確報値を23年年間補正前の1月速報値段階の2月・3月の製造工業生産予測指数・前月比(+4.8%、+2.0%)で延長すると1~3月期前期比は▲2.2%になります。1~3月期の鉱工業生産指数は102.1になるので、指数は10~12月期の104.4から2.3ポイント低下なので、大企業・製造業・業況判断DIは12月調査から3ポイント程度の低下が見込まれます。

日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(3月調査)やロイター短観(3月調査)の動向。

 3月15日に発表されたQUICK短観3月調査の調査期間は3月1日から3月12日です。3月調査の製造業の業況判断DIは12月調査の+10から3ポイント悪化し+7となりました。また、3月調査の非製造業の業況判断DIは+34と、こちらは12月調査の+31から3ポイント改善しました。

 3月21日に発表されたロイター短観3月調査の調査期間は3月 6日から3月15日です。3月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは12月調査の+12から2ポイント悪化し+10になりました。また、3月調査200社ベースの製造業の業況判断DIは12月調査の+27から4ポイント悪化し+23になりました。
 
 ロイター短観3月調査400社ベースの非製造業の業況判断DIは12月調査の+26から6ポイント上昇し+32になりました。一方、3月調査200社ベースの非製造業の業況判断DIは12月調査の+21から2ポイント上昇し+23になりました。

 QUICK短観3月調査の製造業の6月までの「先行き見通し」+9で3月実績の+7から2ポイント改善の見込み、一方、非製造業の6月までの「先行き見通し」+31で3月実績の+34から3ポイント低下の見込み予想です。
 
 ロイター短観3月調査の6月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+14と3月実績の+10から4ポイント改善の見込み、製造業・200社ベースで+25と3月実績の+23からこちらは2ポイント改善する見込みです。一方、非製造業・400社ベースの6月までの「先行き見通し」は+28と3月実績の+32から4ポイント低下する見込み、非製造業・200社ベースで+17と3月実績の+23から6ポイント低下の見込みです。
 
 日銀短観の大企業・業況判断DIの6月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は3月実績比3ポイント改善の+13程度になるとみました。一方、非製造業は3月実績比4ポイント低下の+30程度と予測しました。3月実績から6月見通しで、製造業は一時的落ち込みから持ち直し、非製造業は先行きの不透明感から若干悪化するという数字になると予測しました。

3月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲1程度、非製造業が+16程度か。

 3月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲1程度と12月調査(新ベース)の+2から3ポイント程度悪化すると予測しました。非製造業は12月調査(新ベース)の+14から2ポイント程度改善し+16程度になるとみました。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなども参考にして総合的に判断し予測しました。
 
 参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が23年12月調査45.5、24年1月調査46.7、2月調査48.8と推移しています。
 
 一方、非製造業は23年12月調査51.8、24年1月調査52.0、2月調査54.8と推移しています。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視しました。
 
 日銀短観の中小企業・業況判断DIの6月までの「先行き見通し」は、製造業で3月実績比2ポイント改善の+1程度と予測しました。一方、非製造業は3月実績比6ポイント悪化の+10程度と予測しました。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみる傾向があるというクセを考慮しました。
 

23年度設備投資計画、3月調査は12月調査からやや下方修正されるか。

 3月日銀短観の設備投資計画の予測には、他の設備投資計画調査である1~3月期の法人企業景気予測調査や、過去の修正パターンなどを参考にしました。
 
 23年度の大企業・全産業の設備投資は前年度比+12.8%程度と、12月調査(新ベース)の同+13.2%からやや下方修正されると予測しました。一方、23年度の中小企業・全産業の設備投資計画は、同年度の調査中で期を追うごとに伸び率が高まる傾向を考慮し、前年度比+8.8%程度と、12月調査(新ベース)の同+8.3%からやや上方修正されると予測しました。
 
 24年度の大企業・全産業の設備投資は前年度比+7.2%程度、中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比+1.4%程度と予測しました。
 
<3月調査日銀短観・予測値>
(1)大企業
             3月製造業DI   +10
             3月非製造業DI  +34
             6月製造業DI   +13
             6月非製造業DI  +30
      23年度設備投資計画(全産業)前年度比   +12.8%
      24年度設備投資計画(全産業)前年度比   +7.2%
 
(2)中小企業
             3月製造業DI    ▲1
             3月非製造業DI  +16
             6月製造業DI   +1
             6月非製造業DI  +10
      23年度設備投資計画(全産業)前年度比   +8.8%
      24年度設備投資計画(全産業)前年度比   +1.4%
 
※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。