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7月鉱工業生産指数は2カ月ぶり前月比低下に。7月商業販売額・小売業の前年同月比は5月・6月と概ね同じ伸び率か。―日本の主要経済指標予測(2023年8月18日)―

7月の鉱工業生産指数の関連指標、輸出関連は上昇示唆だが、製造工業生産予測指数、景気ウォッチャー調査などは前月比低下を示唆(8月31日発表)

 7月31日に発表された6月の鉱工業生産指数・速報値は、前月比+2.0%と、2か月ぶりの上昇になりました。このところ鉱工業生産指数は自動車工業の影響を受けています。2月から4月にかけて、部材供給不足の影響緩和などを受けて、自動車工業などが上昇し鉱工業全体としても上昇しました。5月は、部材供給不足の影響などを受けて、自動車工業などが低下し、鉱工業全体としても低下しました。6月は、海外・国内向け双方で堅調な自動車販売を受けて、自動車工業などの生産が上昇し、鉱工業全体としても2か月ぶりに上昇に転じました。6月・鉱工業生産指数・速報値を業種ごとにみると全体15業種のうち、10業種が上昇、5業種が低下でした。なお、経済産業省は基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」に据え置きました。

 8月15日に発表された6月・鉱工業生産指数・確報値の前月比は+2.4%の上昇へと、医薬品、鉄道車両等により上方修正されました。業種ごとにみると全体16業種のうち、12業種が上昇、4業種が低下という結果でした。輸送機械工業(除.自動車工業)、その他工業の2業種が低下から上昇に転じ、新たに食料品・たばこ工業が低下で加わりました。

 8月31日に発表される7月の鉱工業生産指数(速報値)前月比は▲1.3%程度と、2カ月ぶりの低下になると予測しました。また、7月の前年同月比は▲1.9%程度と3カ月ぶりの低下になると予測しました。

 製造工業生産予測指数の7月は前月比▲0.2%の低下の見込みです。過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、7月の前月比は先行き試算値最頻値で▲2.7%の低下になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲4.1%~▲1.4%の低下になっています。

 また、景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年1月43.1、2月43.6、3月46.8、4月46.2、5月48.6、6月48.8、7月46.1と、7月は6月までの上昇傾向から低下に転じました。ロイター短観(400社ベース)、QUICK短観ともに製造業・業況判断DIは7月にいったん低下した後、8月で上昇しています。

 一方、7月の財務省貿易統計で輸出金額の前月比は+2.0%になりました。日銀の輸出物価指数の7月の前月比は+0.1%です。7月の日銀の実質輸出の前月比は+1.1%の増加になりました。

 このような関連データなどを、総合的に判断し予測しました。

※2023年7月は筆者予測値

7月商業販売額・小売業の前年同月比は+5.8%程度の増加と、5月+5.8%、6月+5.6%と同程度の伸び率か(8月31日発表)

 7月31日に発表された6月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+5.9%と5月確報値の+5.8%から僅かに増加率が高まりました。8月15日に発表された6月確報値では、商業販売額・小売業の前年同月比は+5.6%に下方修正されました。

 8月31日に発表される7月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+5.8%程度と6月確報値の+5.6%から増加率が僅かに拡大すると予測します。
7月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均は+12.0%で6月の+10.6%から1.4ポイント拡大していることなどを参考にして、各種商品小売業・7月前年同月比は6月の+4.5%から増加率が拡大するとみました。

 一方、自動車小売業の7月前年同月比は6月の+17.7%から増加率が鈍化するとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の7月前年同月比は+11.4%で6月の+23.9%から増加率が鈍化しているからです。燃料小売業の7月の前年同月比は6月の▲4.1%から減少率が縮小する可能性が高いとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、7月は+1.3%程度と6月の▲1.6%程度の下落から上昇に転じています。

 なお、景気ウォッチャー調査で6月から7月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、47.7から51.9へ上昇しています。

 これらを総合的に判断し予測しました。

※2023年7月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。