見出し画像

若き日のヘミングウェイに学ぶ人生〜『移動祝祭日』を読んで

移動祝祭日
ヘミングウェイ

あらすじ
1920年代、パリ。未来の文豪はささやかなアパートメントとカフェを往き来し、執筆に励んでいた。創作の苦楽、副業との訣別、"ロスト・ジェネレーション"と呼ばれる友人たちとの交友と軋轢、そして愛する妻の失態によって被った打撃。30年余りを経て回想する青春の日々は痛ましくも麗しい。

感想
20代のヘミングウェイの生き様を本人の回想により知ることのできる貴重な一冊。
空腹を感じ泣き言を言いながら自分の作家としての在り方や文章の書き方を悩む姿は、後に偉大と言われる人間でも若かりし頃は苦悩しながら生きていたのだ、という謂わば当たり前のことを教えてくれた。
作中の「いかに貧しかろうと、なんとか働いてそれなりの暮らしができるパリのような街で、幸い読書の時間に恵まれて、こういう新しい文学の世界に出会えたことは、途方もない宝物を与えられたに等しかった。」という一文が好き。彼はまた、「本ほど信頼できる友はいない」という言葉も残している。
上質な文章に触れることのできる素晴らしい機会だった。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?