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日記:久しぶりにカメラで写真を撮った ~デジタル一眼の話~

 つい先日、電源タップが古くなっていることに気がついて「発火したら困るな…」と買い替えたところ、いもづる式に「ちょっと前に買ってそのままにしてるミラーレス一眼のバッテリーが膨らんでそうで不安だ…」とふと思い社外品に買い替えて古いものを処分したりしつつ、「買い替えたんなら使ったほうが良くね?」と思ってしまったので久しぶりに写真を撮ってきました。

 風が吹けば桶屋が儲かるみたいな動機ですね。電源タップが古くなったので写真を撮る…。


撮った


 イヌと駐車場を撮りました。

 「写真を撮ろう」と思って外に出たとき、すでに日没後で雨が降っていてとくに撮るものが思い浮かばなかったのでとりあえず撮れるものを撮ったという感じです。

 撮りながらぼんやり考えていたことなのですが、「おれは世の中や眼前の現実に本当に興味がないんだな」と改めて実感していました。たとえば普段から見える光景に美しさを見出したり、夕焼けに息を呑んだり、「ここはいつか写真に撮りたいな」なんてことを考えていたらきっとそこに向かって車を走らせていたのでしょうが、写真を撮りに行こうと思ったときにどこも思い浮かばなかったんですよね。
 おれはずいぶん前に「世の中の人は自分が歌ってる流行歌の歌詞の意味をあんまり考えたことがない」とポップミュージック論のナカジ(wac)みたいなことを記事で書いたことがあるのですが、それを言うならおれもおれで風景というものにまるで興味を持ってないし考えてないなと身につまされたような感じです。

 カメラのメモリーをたどると買ったばかりの頃は何枚か構図を考えて撮ってるようなので、ああ楽しかったんだろうな、このあとに考えることをやめてしまったんだな……と想像したりもします。日が暮れて仕事終わりになにか食べて家に帰るだけ、朝は同じ道を通って会社に行くだけ、土日は積みゲーを崩すか記事を書いて寝る……おれにとっていま一番クリアでリアルに想像できる現実の風景は夜闇に浮かぶすき家の看板しか無い。なんか、ここ一年くらいで内的世界に没頭して現実に対して本当に興味を失ってるんだなぁ…と実感しますね。
 何かについて詳しく語れても、そのとき他の何かについては頭から抜け落ちているのだろう……ちょっと定期的に周囲に目を向けて脳にインプットしなきゃダメだな、ということをカメラが教えてくれたような気もします。

 モニターの中も美しいけどヨ… 忘れたくねえよな 目の前の光景もサ……(楠みちはるタッチの顔)


カメラについて

 さて、おれの使っているカメラはヘッダー画像のDMC-GF2という古いミラーレス一眼です。十年前のパナソニックのカメラですね。コロナ禍の給付金で二年前くらいに中古で買いました。noteで書いたことはないけどぼちぼち写真を撮ったりしています。

 レンズがマイクロフォーサーズなのでキヤノンやニコンより選択肢がちと狭い、画素数が少なく1210万画素など不満もあるのですが、今現在のカメラと比べても小型で持ち運びやすいコンパクトさで便利だったりもします。


ミラー…マイクロフォ…お前が何を言ってるかまったくわからんぞ!

 専門用語を並べすぎたので少し説明しますね。まあカメラに詳しい方は素人がなんか言ってるなとご笑覧ください。

 ミラーレス一眼というのはミラーがない一眼のことです。まあ何じゃそらって思いますよね。
 ミラーレスのまえにまず一眼レフという種類のカメラが存在します。昔のカメラはファインダーレンズ(撮影者が目で見るのぞき窓)と実際の撮影レンズが別々に存在したもんで、本体がデカすぎるとか、実際にフィルムに焼き付ける風景と自分が見ている風景が微妙に違う!という悩み事がありました。二眼レフとかレンジファインダーとかそこらへんでいろいろあったのです。そこで「レンズの中にハーフミラーを仕込んで、入ってきた光を半分通してフィルムに当ててもう半分をファインダーに反射して投影すれば、見ている風景とフィルムに写す風景が全くいっしょ!」という革新的な発明がありました。これが一眼レフです。レフとはReflexのことで反射のことを指します。
 そして世の中はデジカメ時代に突入。レンズの構造はそのままに、フィルムではなくセンサーに光を当てる…という構造に変えたのがデジタル一眼レフというわけです。

 ここまでを踏まえた上で、ミラーレス一眼が登場します。
 「あれ?デジタルセンサーに光当ててデジタル画像を撮ってるんだよな?その画像を後ろにモニターつけて映し出せば、ハーフミラーとかファインダーとかまるごといらなくね…?」と技術者が思いついて中に入っているミラーをなくしたのでミラーレス一眼と呼ばれています。
 もちろん一眼レフも「モニターで被写体を見るよりファインダーのほうがタイムラグがない」など長所があるのですが、なにしろミラーレス一眼はミラーの分の部品点数を削れるしカメラボディのサイズも小さくできます。全体的な趨勢としては少しずつミラーレス一眼が主流になりつつある感じです。


 さて一方でマイクロフォーサーズというのはレンズ規格のひとつです。
 みなさんは「カメラのレンズというのは全部同じなんじゃないのか」と思っているかもしれませんが(昔おれも統一されてるかと思ってた)、一眼カメラにはもうメーカー各社によりウジャウジャと規格の違うレンズが存在しており、口金(マウント)やレンズの仕組みが違うので取り付けできない!という事態が当たり前に発生します。今使われている現役の規格だけでもEFマウント、EF-Sマウント、EF-Mマウント、RFマウントにFマウント、Zマウント、Aマウント、Eマウン……多すぎ!!!!!!!!!!!!!!
 変換器をかませる、という裏ワザで無理やり違う規格のレンズを使うことはできますが、オートフォーカスが使えないだとか手ぶれ補正が効かないだとか機能に制限が出るし、ケラレという写真の隅っこが暗くなる現象も出ます。できるだけマウントが合っているものを使いたい。
 そう、カメラを選ぶときは本体の性能どうこうだけでなく、「どうかな……この規格は既製品が豊富で中古市場が潤ってたりするかな……いやドマイナー規格でプレミア付いちゃって高いかな…」とレンズも込み込みで考える必要があるのです。だからレンズ沼と言われているのですね。

 さらにボディ側ではセンサーのサイズや世代なんかも画質に関わってくるのでこだわりだすとキリがないですね。まあキリがないから楽しいのですが…。


GF2について喋る

 なんか前置きが長すぎて今日から使えるムダ知識になってますね。

 「で、お前が使ってるカメラどうなの?」という本題に戻りますが、GF2もまた絶妙に良いところ悪いところがあるカメラだと思って付き合っています。

いいところ

 安い・扱いやすい・撮りやすい。ユーザビリティの三拍子が揃ってるところですね。
 黎明期である十年前の機種なので、ミラーレス一眼としてはかなり安価。おれが買った当時は2万円くらいでしたが、今だったらもっと落ちてるんじゃないですかね?1万円もしないで手が出せるんじゃないでしょうか。

 パナソニックはもともとビデオカメラとかAV機器から出発してライカと手を組みデジカメを作り始めたので、”家電”という思想を強く感じます。
 このカメラで言えば自動補正が効いててある程度いい加減に撮ってもそれなりに見せてくれる。MEGA O.I.S.というレンズと連動する手ブレ補正機能もわりと強めにかかるので、おれのような素人が手を出して学び始めるにはもってこいなカメラかもしれません。
 本体の大きさもかなり小さく、今現在のミラーレスと比較しても特別デカいとは感じない具合にまとまっていて持ち出しやすい。非常に合理的に作られているように思います。

 撮影に関してもRAW形式(※)が使えるので、あとで自分のイメージした画に現像で近づけることもでき、「ああ、カメラ使ってんねぇ…」という満足感もあります。
※RAW形式……光の情報をできるだけ多く記録し、まだ圧縮していない生データ。たくさん情報が入っているので、画像処理ソフトでこれを読み込むとJPEGなどのもう圧縮した画像よりも編集しやすい。露出やホワイトバランスなどの調整をあとからできるので、これをJPEG画像に仕上げることをフィルムの現像になぞらえてRAW現像などと言うこともある

 レンズのマイクロフォーサーズ規格もメジャーとは言えないもののまだ現役で生きているマウントなので、新品も手に入るしいくらか中古市場で探す余地があります。パナソニックはオリンパスとタッグを組んでマイクロフォーサーズを採用しているので、もしオリンパスのカメラを使うことになってもいちおうレンズを共用できるのもありがたいところ。


イマイチなところ

 いちばん気になるのは「画素数がさすがに少ないかな」というところです。
 諸条件が違うので単純な比較はできないものの、今どきのスマホはGF2に比肩する1200万画素あるのでちょっと優位性がおびやかされつつある…。ほぼ同等の解像感がある写真を撮って一瞬でSNSに投稿できる機械とライバルなのはなかなか辛いです。

 また「家電的なところがある」というのは悪い面でも言えることで、いわゆる”お利口さん”といった手触りに留まってしまい自分の直感で撮影を進められない部分があります。
 たとえばもっと本格的なデジタル一眼レフなどは機種によってダイヤルがいっぱい付いていて、そのおかげで撮るときにすぐモードを変えたりISO感度を調整できますし、一般的なミラーレス一眼でもモードダイヤルくらいは付いています。
 が、GF2はスマートな小型化のために潔くすべてのダイヤルを廃したデザインになっていて…。シャッターと録画ボタン以外のすべてを背面ボタンとタッチパネルに一本化したデザインです。こいつマジ??ロンソ1本に素っ裸の軽ローリングで全部攻撃避ければいいと思ってるタイプ???逆に玄人だろお前

 自動であれこれやってくれる代わりにカメラとしてこだわりだすと痒いところに手が届かずに「うーむ……」と腕を組みたくなる。やはり”家電”って感じですね。


カメラ物欲が出てきている

 GF2のバッテリーを買い替えたくせに気になるところがバッチリ見えてきてしまったことで今度は本体を買い替えたい欲がモゾモゾと出てきてしまっている…。
 最近は使用レビューの動画と価格ドットコムの中古市場をずっと見ていますね。値段が控えめで良さそうだな、という機種を備忘録代わりにいくつか挙げてみますが…


OLYMPUS PEN Lite E-PL7

 おれの持っているMFTのレンズ資産を活かす乗り換えというとこのへんかなという気がしています。中古でもレンズは金かかるからね……倍率の使い分けでいくつか買うし…。

 まず何といっても見た目がいい……。シルバーモデルのクラシカルさがレンジファインダーっぽい。そうなんだよ!カメラってこういうことなんだよ!と思わずにいられない。
 画素数も1600万画素もあればいくらかスマホと比べて差がつけられるなといった感じで期待できます。操作性についても小さくまとめつつダイヤルがあるのは素晴らしい。オリンパスがカメラメーカーとして長いこともあって、コツコツと画作りを追い込む深みも期待できそう。

 ただ中古の価格的にC級品が2万8千円と微妙にお値段するので、だったらもう少し出してひとつ型番が新しいPL-8、いやむしろ本格ミラーレスのE-M10のほうがもうちょっと安いし行っちまうか…!?と悩むところですね。いまのところオリンパス系は第一候補かな。


Nikon 1 J5

 通称ニコワンと呼ばれるニコンのコンパクトミラーレス。そのシリーズ最後の一台。

 超大手メーカーのニコン製、しかもコンパクトなミラーレスにしては驚きの2081万画素と、いまでも一線級で戦闘力バリバリなのに中古で2万円周辺と価格が安い。なぜなのか?

 レンズがマイナー独自規格なんですよね……。ニコンがマイクロフォーサーズのように「コンパクトミラーレス時代に対応した規格を作ろう!」と1 Nikkorなるマウントシリーズを立ち上げたのですが……。
 あんまり人気が出なかったらしく、カメラ本体はこのJ5を最後に後続機がない。当然レンズも新作が出てこないという、時代の徒花となったミラーレス一眼みたいなんですよね。ボディ側にこんなにすごい性能があるのにめちゃめちゃもったいない…。
 レンズの価格自体は高騰したりはしておらず中古で入手しやすいですが、やはり種類が少ないですね。一応アダプターをかませればFマウントの豊富なレンズを使える……けど……ミラーレスという小型がウリの機材にかさばるアダプターつけてから単焦点やパンケーキレンズを付けたいかというとなんとも…。

 カメラはレンズについても悩むことになるよ、とこの記事のなかで書いていたのはこういうことです。えっ安い!と思うものはちゃんとそのへんに安い理由がある。逆にキヤノン・ニコンの主流マウント対応カメラはレンズが豊富なおかげで800万画素の古いものですらまだ結構な値段しますからね。売る側もメリット・デメリットを考えた上で値付けしてんだなと抜け目なさが見えてきます。

 性能自体はすごく良いし今からカメラを買ってみたい!という人にはむしろ良いかもしれませんね。ネットで10-30mmあたりのズームレンズといっしょに買って始めると性能的に不満に思うことはなにもないんじゃないでしょうか。
 おれもイチから買うんなら絶対欲しいくらいですし今使ってる人が羨ましいです。だけどレンズ資産が形成されているとちょっと乗り換えが億劫かな…。


こうして趣味が無限増大する

 オーディオにDJにPCゲームに、ともともと趣味がダバダバと増えがちだったんですがカメラも再燃していよいよ収拾がつかなくなってきました。

 もしかしたらおれの本当の趣味っていうのはいろんな業界の相場感を掴んだりスペック表を眺めたり実物を触って知識を得ること自体なのかもしれません。いま多分おれの右肩上辺りに芹沢サンの生霊が浮かんで「お前は情報を食ってるんだぞ」と言ってきています。このへんに…(空中を指差す)

 まあ出来ることやものを見るときの視点が増えるのはいいことではないかと思うので、破産や借金をしない程度に爆買い人をしていこうかな。同期が資産形成をし始めているのから目をそらしつつ……

 …いや、資産形成を趣味にするのもアリか……?

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