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小さなベンチャー企業で初めての妊婦。喜びと葛藤の記録。

今年の3月末、コロナ一色だった世界を照らすような嬉しい報告が社員から届いた。

実は昨日、新しい命を授かったことがわかりましたー😭😭

メッセージで報告を受けたとき、涙するほど喜んだ。誰かの妊娠報告を聞いて泣いたのは、これが初めてである。

うちの会社は体調のことや仕事以外の本人の希望することに対して比較的オープンな組織で、子供が欲しいと思っていること、そして妊活もしていることも知っていた。妊娠が発覚した翌日には共有してくれるというありがたさ、なんなら「今月は妊娠してませんでした!」なんて報告が来るほどオープンだった。「妊娠していなかった」という報告は、なんて言葉をかけるのが良いのか毎回迷ったけど、その度に私にとっても大切なことにどんどんなっていったのだと思う。

妊娠しない期間が長くなると、毎月の生理は「妊娠してないお知らせ」としてやってくるもんだから、生理の体調不良に重ねて、元気がない日もあった。望んでもすぐに妊娠できるわけじゃないってことを身近な人と共にする時間の中で改めて感じていた。

だからこそ妊娠報告は、私にとって泣くほど嬉しかったのだ。

(妊娠報告を受けた直後のメッセージ)

体調不良&申し訳ないパレード

うちの会社は、まだ誰1人として子供がいないので、何もかもが初めてだった。

妊娠初期は本当にキツそうで、気持ち悪い、食べれない、眠れない、頭が痛い、起き上がれない…毎日コロコロ変わる体調の変化、それに加えて休みが続いてしまうことの申し訳なさ、心身ともに本当にキツそうだった。

体調不良で休みます。おやすみ続いていて申し訳ない。
スラック全然確認できてなくて、すみません。
迷惑ばかりかけて、すみません。

と、妊娠して体調が悪くなることなんて1ミリも悪いことじゃないのに、気付いたら体調不良のことと申し訳ないという言葉ばかり言わせてしまっていた。

体調のことは何もできないけれど、せめて申し訳ないって気持ちを少しでも和らげることはできないかと、slackに「ご自愛」「お大事に」スタンプを作ってみたり、体調不良で休むと連絡をくれて仕事のカバーに入る時は、「はい!よろこんで!!!!」と、居酒屋の店員さんの注文受けた時の気持ち良い挨拶風に仕事を引き受けたり(笑)

「私をはじめ将来的に子供を授かりたいと思っているメンバーがいるうちの会社として“妊娠期間に働く”ということ先陣を切ってチャレンジしてくれているのだから、感じていることや体調のことは遠慮なく伝えて欲しい!Blanket(うちの会社)らしくどう寄り添えるのかを考えさせてもらえる機会をありがとう〜」とことあるごとに伝えたり、手紙を書いてみたり、どうしたら過度に申し訳ないと感じることがなく働けるかを考えていた。もはやまだ見ぬお腹の中の子供のためにも、頑張りたい気持ちが芽生え始めていた。


なのに、なのに…。

あろうことか、私はだんだんイライラしてきたのである。


安定期という希望の裏切り…

KAIGO LEADERSの事務局を立ち上げから今日に至るまで裏方として支えてくれていたメンバーの穴を埋めるのはそう容易くはなかった。イベント前後の参加者対応、決済処理、チーム活動のフォロー、問い合わせ対応と、多岐に渡る事務局業務をまるっとカバーするのに多くの時間を割かなければならなかった。

それだけでなく、コロナ到来により事業状況も変化し、日々移り変わる情報にアンテナを貼りながらいろんな判断を求められたり、補助金などの申請、産休に備えて新しいメンバーの採用・育成、、、気付いたら自分の仕事はオンタイムではできない時間が続いた。それでも、妊娠しているメンバーに無理して欲しいわけでもなく、安定期まで頑張れ私!!!!と踏ん張っていた。

ところが、いわゆる安定期は、全然“安定”期ではなかったのだ

誰が安定期なんて言葉にしたんだ!と謎に安定期という呼び方に課題意識を感じるくらいには苛立っていた。安定期という希望に向かって走っていたら、見事に裏切られたのである。笑(安定期には安定するという一般論に勝手にすがっていたのは私なのだけど…)

本当にかわいそうなくらいに、体調が安定せず苦しそうな時期が続き、一番辛いのは本人だろうから受け止めてあげたいのに、ちょっと待ってくれ、私もしんどいぞおおおおおおとなりはじめたのである。

先行き不透明なコロナ禍の不安定な状況下で今後のことも向き合わなければいけないことをわかりながらも、目先の業務にいっぱいいっぱいでパワーを当てられてない自分自身にイライラし始め、素直に受け止めきれなくなった…。

私はタフだし、健康だし、代表だしって、元体育会系魂が無意識に発動し、受け止め方を完全に間違えて自分の首を絞めはじめていた。

「妊婦になっても働きやすい会社」のあり方を模索しながら、体調不良は仕方ないしねと、ただ受け止めて元気なメンバーが頑張るみたいな根性論で解決しようとして、完全に思考停止していたのである…。。


「私もしんどい」ってことを伝えられてから

とある日…。それを感じ取ってくれたのか、みっちゃん(妊娠している社員)から、「もし業務内容や引き継ぎ等でこうしてほしいなどあれば教えてください~!一人だと気づけないこともあると思うので」と投げかけてくれた。それは不思議と、私も業務の進め方の相談をしようと思って、ちょうどメッセージを打ちかけていたところだった。

以心伝心じゃん〜〜(古)と嬉しくなり、私自身も今しんどくなっているって気持ちを正直に伝えさせてもらい、どうやったらお互い気持ちよく頼り、頼られるか、試行錯誤しながら情報の共有方法や業務の進め方を変えることにした。

体調のことは天気のように数日前から予測ができることではなく、当日の朝にしかわからず、急にカバーすることが決まるので、余裕のない日はどうしても負担に感じてしまいやすい。とくに普段担当じゃない業務の中で優先度の高い業務をキャッチアップするのに時間がかかってしまいがちなので、事務局業務をすべて見える化して優先度をつけてもらうようにした。

ただただこれだけなんだけど、ずいぶん楽になった。

最近は体調も安定してきて、結果的に通常の業務の連携効率が高まって、チーム力がずいぶん高まったようにも感じている。おまけに困難を一緒に乗り越えられた経験によって、チームがもっと好きにもなった。


産休まであと1ヶ月。メンバーの妊娠が自分ごと化しすぎて、最近は名前を考えはじめそうになるほど(やめろw)。もちろん産休に入ってからも、産後もその時々の心身の状況に合わせて柔軟に変化させながら、みんなが幸せに働ける会社をみんなでつくっていきたい。



とあるミーティングの最後に、みっちゃんがこんな話をしてくれた。

「もうね、お腹の外の音は聞こえるみたいで、家族の次に聞いているのは、会社のメンバーの声。こんな風に社会のことを考えている人がいるんだよってことを聞いていると思うと嬉しい。」

平日の午前から泣けた。こんなにも出会えるのが楽しみな赤ちゃんも初めてだ。


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