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盗撮する方が悪いに決まってる

私は過去に、自身のスカートの中を盗撮する犯人を自ら捕まえたことがある。それも2回。

どちらも、仕事でくたびれて乗ったエスカレーターでの出来事だった。1回目の被害から3か月後に、2回目の被害に遭った。

こんな短期間で、2度も盗撮の被害に遭うなんて、世の中は私が思っていた以上に悪意を持った人が居るものだな、と思った。

どちらの犯人も、被害に気付いて自身で取り押さえた。やられっ放しで逃がすまいと、負けん気の強さだけで体が動いていた。

その後の生活では、エスカレーターに乗れなくなったり、背後から声をかけられることで心臓が縮むような思いをしたりと、少なからず被害の影響が出ていた。

通勤中の出来事であったため、会社への報告をしたことから、この出来事は噂として社内に広がり、飲み会等で同席した他部署の人から、興味津々に質問をされることも増えていった。

私としては、生活への影響はあれど、出来事自体は話のタネに昇華できていたので、質問をされること自体、何とも感じていなかった。

しかし、ときたま不意に傷つくことがあった。

「スカート履かなけりゃいいじゃん」
「もっと大変な被害に遭っている人は沢山いる」

どちらの言葉も、アドバイスや励ましの意図から発された言葉であり、それぞれの発言者に悪意はないと理解している。

だけど私は、自分が着たい服を着たいし、被害の大小を他人と比較することで癒されることなんて決してない。なので、これらは何の役にも立たないアドバイスであり、はなはだ的外れな励ましだった。

「どう考えたって、盗撮する方が100悪いに決まってる。なぜされた側が行動やマインドを変容する必要があるのか」出かかった思いを飲み込んだ。

人と関わることを辞めない限り、このような悪意のない言葉に傷つくことは終わらないだろうし、私が発した言葉で意図せず誰かを傷つけてしまうこともあると思う。

不意に誰かを傷つけてしまった時、それを表明してもらえるような人間でありたいと思った。

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