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コーヒーの一枚 47

隙間時間を活用しよう。

実家へ帰省すると書いて、「はたらく」と読む。まあ、私の場合、どこへ行っても「働かざる者食うべからず」がほぼついて回るが、実家の各々の用事について回っていると、ふと隙間時間ができる時がある。

今回は、かなりまとまった隙間時間ができた。約2時間半の隙間時間だ。いや、1時間を超えたら「隙間」って言うのか?これは「隙間時間」ではなく、ただの「自由時間」ではなかろうか?いや、別に自由に動いていいよと言われているものの、なんだか落ち着かない。家の中にいるとあれこれ目について、つい掃除や庭仕事を始めたりとかしてしまうのである。

しかし、今日はこの2時間半を本当の自由時間として活用しようと決めた。
時間はちょうどお昼どき。13時から15時半ぐらいまでが自由に動くことができる時間だ。

それにしてもお腹すいたなぁ…

どっかのドラマの主人公のセリフみたいだが、とりあえずそれは置いといて。
今は私のお腹を満たすのが先だ。スマホで「カフェ ランチ」で検索をかける。あ、そうだ!ずっと前テレビで見ていたカフェに行ってみようかな。

そう。今日はなぜこんなに出かけようという気になったのかと思ったのは、熊本市が『バス・電車100円ウィーク』という実証実験をしていたのも大きな理由の1つである。

その実験に気づいたのは、日々の散歩で熊本城のふもとへ行き、帰りにバスを使った時だった。
散歩をする時は、朝からモーニングを食べようと決めている時以外は、そんなに大金を持ち歩くわけではなく、小銭入れには、途中で出会う神社でのお賽銭と、途中エネルギー切れでコンビニに緊急で駆け込む時に必要なお金以外は入っていない。

あら、足りるかしら…。

ちょうどやってきたバスに飛び乗って、座席に座り、あわてて小銭入れの中を見る。数百円…ま、ギリギリ帰れるか。ホッとした。ふぅと小さくため息をついて、熊本の街並みを眺めながら、バスに揺られる。

しばらくして、バスを降りる人が出てきた。うん、わが家も着実に近づいてきている。運賃はいくらになるかな〜と思って、バス前方の運賃を見た。

「100。100。100、100、100・・・」
ん?どーゆーこと?どの行き先も100円になっとる。え?私、疲れとるっちゃろうか?いや、今日は城には登ってないしな・・・。おや?あれは何?100円ウィーク?・・・なんですと!?

よし、これを使わない手はないぞ。

という出来事が朝あったので、昼はその100円ウィークを利用して、ずっと前から行きたかったカフェに行こうと思いついたのだ。

だが、みんな考えることは一緒らしく、目的地へ行くバスは、繁華街に着くまで車内はいっぱいだった。いろんなウイルスが流行っている昨今、とりあえず、マスクをしっかり付け直す。

繁華街を抜けた後、バスは熊本駅へ向かう。目的地のカフェは、その手前の町だ。市内に古くからのある建物がぽつぽつと残っている地域がある。
そこでバスを降りた。あとはスマホ地図を頼りに歩くしかない。

・・・到着!

古くからある入り組んだ町並みで、スマホ地図を駆使したが、なかなか目的地にたどり着かず、やっとたどり着いた時には、空腹がさらに増していた。外観はいわゆる古民家カフェであるが、私の記憶がおぼろげなのか、少し違和感がある。でも、ここで間違いない。

格子戸を開けて、建物の中に入る。中はちょっとしたスーパーマーケットになっており、野菜やいろんな加工品が並んでいる。どれも身体によさそうなモノばかりだ。
しかし、カフェへの入り口が分からない。入り口を聞こうにも店員さんがひとり積極中で、とても聞ける状態ではない。また新たなお客さんが入ってきた。そして慣れた様子で買い物かごを片手に買い物を始める。

やっと接客の隙間で、店員さんにカフェのことを聞いたら、数年前と店の事情が変わったこと、今日はカフェスペースがセミナーで使用されており、カフェ利用できないとのことだった。そっか・・・どこかランチを食べるところはないですか?と思わず口にしたら、その店員さんが熊本に来てまだ間もないらしく、スマホを駆使してお店を調べてくれたが、ランチタイムリミットの14時を過ぎてしまったので、ちょっと厳しいかもですね・・・と。

お礼を言って、店を出た。そうたいね。店があるなし以前にもう14時過ぎとるたい。でも、このまま何も食べずに帰るわけにはいかない。なんとしてでもランチを食べるぞ。そう思いながら必死の形相でスマホ地図を眺める。
・・・ん?なんか聞いたことがある店がこの近くにあるじゃないか。ここならば!

開いてた!

スマホ地図で見つけたのは『長崎次郎書店喫茶室』である。そこは熊本市民のみならず、全国の書店好きの人はすでに知っているかもしれない。明治創業のその店は、平成の時代に一度諸般の事情により閉店したものの、1年後に再開。
国登録有形文化財に指定されている建物は2階建てで、1階は書店、2階は喫茶室になっている。

喫茶室の入口は建物の端の目立たないところにあるので、うっかり見落としそうになる。
見落とさずに2階へと続く階段を登っていき、扉を開けるといっきに明治時代へタイムスリップするかのような空気が流れている。

人気店なので、座席はほぼ埋まっていたが、かろうじて店の入口の端の席が空いていた。ああ、椅子もテーブルもゆっくりできる感じだ。欲を言うなら、本当は窓際の席がよかった。なぜなら、長崎次郎書店は路面電車通り沿いにあるので、コーヒーを飲みながら、路面電車が行き交う様子を間近に見ることができるからだ。でも、ティータイムにもうすぐ突入の午後、そうも言ってられない。

席について、メニューを広げ、ナポリタンとコーヒーを注文した。ナポリタンは量が多そうだったので、少なめで。
あらためて周りを見てみる。歴史を感じる柱、せわしなく動いている厨房、その厨房のカウンター前には店内閲覧用の本、レジ前にはお土産用のコーヒードリップバッグや漱石羊羹などが売られている。

撮った!

やがて、ナポリタンとコーヒーが運ばれてきた。
ナポリタンは久しぶりに食べる。わくわくする。水を一口飲んで、ナポリタンを口に入れる。あ、ちょっとピリ辛かな?うん、でもやっぱり喫茶店で食べるナポリタンは美味しい。なんでこんなに美味しいのだろう?

続いて、水を一口飲んで、コーヒーを飲む。今日はブレンドにした。そこまで酸味もなく、すうっと身体に入っていく。うん、これは食事に合う。いや、ケーキにも合うかもしれない。いやいや、何にでも合うような気がする。

この歴史を感じる空間で、いつまでもナポリタンとコーヒーを堪能していたい。だが、私の自由時間は刻一刻と終わりの時間に近づいている。
スマホを開いて、帰りの電車の時間を調べる。お店は『新町』という電車の停留所のすぐそばにある。おっと、もう出ないとギリギリかも。
また来ます。もう一軒の古民家カフェもリベンジしたいし、場所も明確に分かったので。

今度はちゃんと時間を確保して、
私に余裕を持って。


今回訪れたお店はこちら!


喫茶室はこちら!


追記
入口はこんな感じです(^^)

右の階段を登って喫茶室へ。
左手には、書店があります。

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