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Gallo Pinto、シャウエッセンと卵焼き

私の子供の頃からの大好物、ソーセージと卵焼きとご飯。そこに山盛りの野菜が入ったお味噌汁や、お新香のような副菜があれば、私はどこでも暮らせます。ここ数十年はソーセージの事を色々知ってしまったのと、食べると胃の調子がよくないので、量も回数も減ってしまったけれど、ソーセージと卵焼きって、運動会を思い出したり、ノスタルジアを感じるメニューだったりしませんか? それに朝食の世界的大定番です。

小さい頃、母に言われた事。「ソーセージは、後ろの表示を見て、豚肉100%を選ぶのよ。あと色の付いている商品はダメ。」

可愛いウイニー坊やを泣く泣く諦め、ソーセージの後ろの表示を見るようになって、「え〜!ウサギさん入っているの〜?」とか「馬?」とかビックリした思い出が(笑)その後、”シャウエッセン”に落ちつきました。何と言ってもあの「パリッ!」とした歯切れ良さ歯ごたえ。食感と脂。うん十年前か、友人の仕事関係者で【主食=シャウエッセン】というグラフィックデザイナーの女性とシャウエッセン談義をしたことがある程のシャウエッセンファンでした。でも、なんの因果か、加工食品の添加物について興味を持ってしまったので…。私のシャウエッセン愛を返して欲しい!最近はシャウエッセンを食べる時に身構えてしまって。(食べるんかい!と叱られますが、たまに食べます。好物なので。今は2年に1本くらいですが。)


20代の頃、仕事で世界中を旅する私が、滞在先で食べる朝食を撮った写真のコレクションを見た姉が「結局どこに行っても、同じもの食べているのね」と笑ったことがあって、改めて見てみると、本当だ!ご飯に卵に、ソーセージ。どこの国でも食べていました。私は、ヨーグルトにサラダにアサイ…グラノラ…の様なタイプではないようです(笑)

中国では、お粥にピータンに、腸詰に、ザーサイ、青菜炒め。


メキシコでは、Huevos Rancherosと、チョリソ。コメと豆(笑)ドイツでは流石にパンだった…かな。ハワイではマクドナルドのメニューに、ポルトガルソーセージ又はスパムと卵、ご飯あったような。


コスタリカでは、ホテルのビュッフェでチョリソ、卵焼きと、コスタリカの国民食 Gallo Pinto。Gallo Pintoというのは茹でた黒インゲン豆と、白飯(長粒種)、炒めた玉ねぎや赤パプリカなどの旨味成分と、山盛りのざく切りシラントロ(香菜・パクチー)が入って塩で調味されている混ぜご飯…ピラフ?のようなコスタリカの主食・国民食。何の脇役としても登場します。私のお気に入りは、中南米ではよくありがちな焦げたステーキに、Gallo Pinto、そして衝撃のピンクサラダ(ポテトサラダのような感じのビーツ版。ショッキングピンク!)ピンクサラダのお話はまた今度書きます。これもコスタリカを思い出すメニューだけど、ここシアトルでもローカルで作れるレシピです。

サンドイッチ用のパティ状や棒状、スクランブルや、オムレツの具、カントリーグレイビーソース用に、調味済み挽肉のようにボルクで売られているアメリカの朝食用(ブレックファースト)ソーセージは、豚挽肉とセージやオレガノをベースにしたスパイス、砂糖、塩を混ぜて出来ています。朝ごはん用だから、ニンニクはないことが多いかと。それに加工品は、アミノ酸系調味料(MSG)とか、保存料、香味料、着色料、安定剤なんかが入っています。

我が家のレシピは、庭に放ってあるセージとオレガノの葉を摘んで、スパイスと摘んだハーブをフードプロセッサーでガーッと混ぜたシーズニングと、塩麹、挽肉。豚挽きである必要は全くなし。我が家では、半分を挽肉の代わりに水切りした豆腐にしたりもしています。写真は、鬱々していて放っておいたウチにグニグニ成長してしまったセージ。植物は剪定をしてあげなきゃダメなんだ!と学んだのは、実は最近だという噂です。お恥ずかしい。ちなみに奥はタイム、手前は月桂樹。みんな勝手に育ってくれています(笑)

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混ぜたソーセージのお肉自体は、塩麹のお陰で、だいたい冷蔵庫で2〜3週間は軽く持つのですが、子供達が高校生だった頃は、一週間に一度、1ポンドずつ作っていました。(あっ、でもあまり長く置いておくと、塩麹がタンパク質を分解してまとまらなくなりますのでご注意。)私は、冷蔵庫の残り野菜がたくさん入ったFrittata(スペインオムレツ)に1/4くらいずつソーセージを混ぜて、パーチメント紙をひいたブラウニーパンで焼きます。だいたいブラウニーパンは9x9インチなので、サンドイッチ9個分のブラウニーパンサイズの卵焼きが出来ます。これ3x3に切って、イングリッシュマフィンや、ベーグルにチーズと一緒に挟んで、冷蔵庫に入れておくと、家族がオーブントースターで各々温めて食べてくれる…という訳です。男子3名で一週間にブレックファーストサンドイッチ36個…。でも一週間で全員でお肉を1ポンドに減らしたのは、なかなか自慢なのです。マクドナルドのソーセージマフィンのパティが35g位(クオーターパウンダーが、1/4ポンド=100g = 4oz なので、朝食用のサンドイッチは半分以下…かと予想)サンドイッチ36個は1260g、約2.7ポンド=なので、まぁ半分以下にはなったのかな…と。

そんな肉食獣ばかりがいる我が家では、なかなかお肉の消費を減らすことは難しく、みんな野菜は食べるものの、どうしてもメインはお肉になりがちです。あと、時間がないときは、どうしても肉食傾向が高いですね。アメリカに来てまもない頃、アメリカ人の友人がパッケージから出したホットドッグと、コーン缶をプラスチックのお皿に乗せて、電子レンジでチン!して2歳くらいの子供に与えていたのを見た時に、大変な国に来たな…と思ったけれど…でも、うちも忙しいと、ソーセージに頼る傾向があるのは確かです。切らなくていいですし。でもそんな時には、山盛りのサワークラウトとピクルスを添えて。

鎌倉にシーキャッスルというドイツ料理レストランがあるのですが、私のアリゾナでのホストファミリーだったご夫婦が、日本に住んでいた頃から同じ場所にあるレストランで、まだティーンの頃、そこのマダムに「サワークラウトを食べないとキレイになれないのよ!」と叱られてから、サワークラウトを食べるようになりました。それから10数年して、私の「放浪期」にドイツ人の友人から教わった激ウマサワークラウトは、本当に鍋一杯食べられる程美味しい。これもまた今度ご紹介します!

日本のいわゆるソーセージが食べたいときは、ここの地元では有名なドイツのお肉屋さんBavarian Meatsに行ったり、ロシアンスーパーに腸詰製品やハムなどを調達に行きます。(Bavarian Meats, Pikes Place Marketにある店舗を閉めるそうで…涙。また一つ思い出の場所がなくなります…)この話も又今度書きますが、私はロシアの農食生活がかなり好みで、ロシアンスーパーはアメリカ生活で欠かせないお店です。パリッとした皮の添加物の少ない伝統的な製法で作られたソーセージ。アメリカでも食べられます(笑) チェルノブイリの汚染…。食品製造の道徳?安全性?ロシアも色々あると思いますが、ロシアの方々の食の知恵はとても賢く、学ぶことが色々あります。ちょっと聞きかじった所では、ロシアの都市ではダーチャと呼ばれる夏の間使用する郊外の別荘をもつ生活が盛んで、ソ連時代後半には自給自足や、自力で加工した瓶詰めや保存食で現金収入を得る手段でもあったらしく、加工・保存技術が非常に優れているのとの事。発酵も含め、ロシアンスーパーの品揃えはなかなか面白いくて、いつもインスピレーションをもらう場所です。


アメリカで「ホットドッグ」と言われるソーセージは、きちんと謳っていない限り、何が入っているかわかりません(笑) 基本はビーフの筈なんですけど、ビーフでもどこの部位かはわからない…とか。添加物などの話をおいておいても、第一、まずい。歯ごたえがない。皮がない。パリッはもとより、プチっもない。コストコで安く食べられるホットドッグは、All-Beef Hotdogですが、あれも何を食べているのかわからない感じがしますよね。10代の頃に、ホームステイ先のアリゾナで、どうしても日本食が食べたくなると、Uncle Bensの不味いご飯を炊いて、ホットドッグを斜めに薄切りにして醤油で炒めて、卵を焼いて…。酢漬けのピクルスも、薄切りにしてお箸で食べると、何となく日本の食べ物のような気がしてきたけど「全然違うよな…」と感じた涙無くしては語れない思い出もあります(笑)でもアメリカの人は好きですね…ホットドッグ。コーンドッグも、ホットドッグも、本当にみんな好き。

ジャック(相方)の手作りBratwurstは…もちろんローカルの美味しい豚肉で作っているので、美味しいのですが、パリッがまだ足りない!今まで、ファームでお祭りなどの時に出していたBratwurstは、ローカルファームの豚肉を挽いて、腸詰にしてからオーブンで蒸し焼きにしています。それをグリルで焼いて焦げ目をつけて。同じBratwurstでも茹でてから、スモークや乾燥をすれば、日本風のパリッとしたものになる筈なのですが…。温度かな?時間かな?今まだ試行錯誤しています。あと、普通のBratwurstは豚の腸にお肉を詰めているので直径2〜3センチですが、日本のソーセージは細いですよね。アレは、羊の腸の太さです。(日本のソーセージが羊の腸を使っているという意味ではありませんが) 本物の豚の腸も、羊の腸も、これが手になかなか入らない!私にはファーマーの知人が数名いるので、たまにお願いして分けて頂きますが、そういう理由でアメリカのいわゆるソーセージに使われるCasing (腸詰の皮=ケース)は、紙で出来ていたり、もともとなかったりするのです。だからパリッとしない。でも、羊や豚が食べられていない…という訳ではないので、処理加工に時間がかかって、あまり売られていないという事なのでしょうね。

この外出自粛の期間中、相方に「ねぇロシアンストアは、Essential Business?(緊急必要ビジネス)」と問うこと複数回。コンブチャを作るお茶もないし、マティアス(イワシの酢漬けマリネ)もないし、美味しいバターも、ソーセージもないのでロシアンストアに行かなくては。

母が作ってくれたような、塩とお醤油が少しずつ入っているクルクルっと巻いた卵焼きと、ソーセージと、お茶碗一杯の炊きたてご飯、お新香。ウチは、それがロンググレイン、メキシカンライス、粥(ジャオ)、Gallo Pintoだったり、チョリソ、Bratwurst、ロシアンストアのFrankfurter、自家製アメリカンブレックファーストソーセージだったりとバラエティーに富んでいるけれど、でもそれがこれからの生き方、食べ方なんじゃないかな…と生意気にも思っています。

今日はシアトルの街で暴動があって、ダウンタウンの店舗などが燃えています。今知っている事だけが全てではない。変化は進化で、悪いことではない。食べ方は世界中、五万通り。先人たちの知恵の数だけあります。色々な国や文化の「いいとこ取り」をしながら、自分の好きな美味しいものを、私の住む環境で、クリーンに食べて行けたらいいな…と思います。Diversityはいいことのはずです。他のものが入ってきても、それまで慣れ親しんできた事が否定される訳ではありません。母のご飯を食べて育った私の味覚、好きな味や食べ方は、世界中に存在しています。でも、それは慣れ親しんだ味を忘れる事ではなく、美味しい記憶が一つ増えるだけですよね。


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