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海外大学院修士留学 伊藤国際教育交流財団奨学金について

AShです。米国東海岸の公衆衛生大学院(MPH)で社会行動科学を研究しています。

本日は海外留学に関する奨学金について記載します。30歳以上で海外大学院留学を目指す方を読者に想定しています。

私は2019年に海外大学院に出願しました。30代で選択肢は限られていましたが、複数の奨学金も出願し幸運にも伊藤国際教育財団から奨学生に選んでいただきました。

以下、伊藤国際教育交流財団についてまとめました。
素晴らしい奨学金制度であり、ぜひ多くの方に挑戦していただきたいです。

伊藤国際教育交流財団(伊藤財団)について

伊藤国際教育交流財団では「学問と教育の実践を通じた社会貢献」が重視されています。

https://sites.google.com/a/itofound.or.jp/ito-found/home

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 伊藤国際教育交流財団は公益財団法人で設立主体が宗教法人真如苑という宗教法人です。真如苑開祖、故・伊藤真乗大僧正の遺志により設立されました。

 伊藤真乗大僧正は1906年3月28日に山梨県で出生。1936年に立教。真言宗総本山醍醐寺において、伝統の奥義を修めて大阿闍梨(おおあじゃり)となり、
仏陀がその偉大なる生涯の終わりにのぞんで説き遺された大般涅槃経を所依とする在家仏教教団を開設。1989年7月19日にご遷化されました。

 伊藤真乗大僧正は教育の必要性に対し深い理解を持ち、世界的見地に立って、学術研究への協力に努め、あわせて社会奉仕、発展途上国への教育助成を推進し、さらに国家間の多様な問題に対応しうる人材の育成に力を注がれました。

 伊藤国際教育交流財団は、伊藤真乗大僧正の遺志を受け継ぎ、誠実で才能に満ち、かつ独創的な青年たちのために奨学金の援助や、海外の大学研究機関が実施する学術研究への助成支援を行い、もって我が国と諸外国との相互理解の促進に寄与し、世界に貢献できる人材を育成することを目的としております。
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どの海外留学奨学金もそうですが、出願者が奨学生として支援するに足る人材であるかとみています。求められている人材像をしっかりと把握し、自らのフィットを確認するプロセスを欠いてはいけません。

世界的見地、学術研究、社会奉仕、人材育成。
このキーワードをいかに自分の志願理由とリンクさせられせるかが肝かと考えます。

奨学金の内容

返済不要の給付型奨学金です。

授業料(年間300万円以内)
生活費(北米はUS$2,000相当の円貨支給)
往復渡航費(上限あり)
支給期間 2年以内

他財団の奨学金との併願不可です。授業料免除、リサーチアシスタントは大丈夫なようです。

応募期間と募集人員

募集期間 6月~8月
募集人員 12-15名

採用実績によれば、出願者数が180-200名で合格者数は15名以内です。倍率は15倍程度になります。フルブライト奨学金と異なり、辞退者が出ても補充がないために人数が変動しているのかもしれません。

応募条件

応募条件は6つです。
1. 日本国籍(日本で初等~中等教育を受けた外国国籍の方も可)
2. 海外大学等の大学院修士課程に入学予定
3. 奨学金に応募する翌年の1月~12月末日までに入学
4. 財団の指定する日に面接を受けられる
5. 奨学生として留学前にガイダンスに参加できる
6. 該当年の4月1日現在において、年齢が29歳以下の者が望ましい
(30歳以上で応募する方は「今、留学を希望する理由」を提出すること)
7. 日本在住で、日本国内から海外へ留学する方

以下、応募不可の条件です。

・募集年度に、博士後期課程へ留学予定の方
・研究生、研修生、専攻生、聴講生、交換留学生、短期留学等として留学予定の方
・他の機関から奨学金の援助または特典を受ける方
・特定期間に在職(休職者・現職への復職予定者も含む)のまま留学される方
・海外在住者
・日本に居住しながら、オンライン受講のみで修士号が取得できる方
 (渡航制限等で、一時的に留学先に渡航できない場合も、制限が解除され十分な安全が確保できる場合は、留学先に渡航し研究に従事することを原則とする。)

日本在住じゃないと応募できません。奨学生に選ばれた場合、退職せねばなりません。

ポイントは年齢に関する記載だと思います。30代の方は応募できる奨学金が限られます。
6の記載は30歳以上にも門戸を開いているという財団からの明確なメッセージです。「今、留学を希望する理由」は考え抜いて記載することをお勧めします。

提出書類

1. 申請願書(A4 8枚、手書き)
2. 推薦状 1通
3. 成績証明書
4. 研究論文の要旨 (日本語 2,000字程度)
5. 留学先での研究テーマ(英語、1,500-2,000 words)
6. 語学証明書(TOEFLまたはIELTSスコア)
7. 今、留学を希望する理由(30歳以上の場合のみ)

1の申請願書には以下のような質問項目があります。
・学歴、職歴、賞罰、資格
・研究業績
・卒業論文のタイトル、ゼミのテーマ
・研究テーマの概要を専門外の人にもわかりやすく説明
・研究テーマについて
 そのテーマを選ぶに至った経緯や動機
 研究に留学が必要な理由
 第一志望の大学院を選んだ理由
・研究テーマの、社会や当該学問領域における重要性
・修士課程修了後から将来の計画を具体的に記載
・当財団の設立趣旨をふまえ、奨学生となるにあたっての抱負、決意を具体的に記載
・長所、短所など、ご自身の性格について
・アピールしたいこと

これだけの分量を手書きでしないといけないので大変ですが、敢えて筆跡をみているのだと捉えるほうがいいかもしれません。

研究テーマはフルブライト奨学金で記載したものをベースに、留学カウンセラーとの壁打ちを通じて内容を膨らませていくという感じでした。ここでゼロから記載するとなるとかなり大変かと思いますので、時期をずらしていくつかの奨学金にトライしていくというのが海外大学院出願プロセス全体での勝利戦略でもあると思います。

「今、留学を希望する理由」では、なぜ30代まで留学のタイミングを待たねばならなかったのか、それまでをどのように過ごしてきたのか、を簡潔に記載しました。

伊藤国際教育交流奨学金の特徴

伊藤財団奨学金の選考プロセスにおける違いについて、個人的な経験からまとめてみました。面接に関する詳細な記載は飛ばしていますが、またどこかで記載します。

・フルブライトはスカラー(研究者)としての資質に重きを置いている一方で、伊藤財団はより多面的に人材を評価したいという意図がある

・伊藤財団願書には専門領域における歩みのみだけでなく、社会貢献の視点を含んだストーリー性が求められる

・伊藤財団は基本的に専門外の方々が面接官となるために「専門外」の人に対する説明力が強調されている

・面接における使用言語はフルブライトは英語、伊藤財団は日本語である

・伊藤財団の願書には長所、短所、抱負の記載があり、面接においても自己アピールする時間があると思って備えるべきである

最後に

専門職大学院のなかでも公衆衛生大学院や公共政策大学院を志願される方、または社会企業家としてMBA進学を目指される方にとっては非常にチャンスがある奨学金だと考えます。ぜひ挑戦ください!





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