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仕事が出来る人はメールの返事が早いは本当か

この手の言説が、やたらthreadsに上がるようになった。
仕事が出来る人、とはどのような人のことを言うのか?
まずもって、ビジネスマンではないのでそこのところの定義が分からない。
いっぱい契約がとれるとか、部下の面倒見がいいとか、あとなんや?

仮に、いっぱい契約がとれることを仕事が出来る人と定義するなら、標記の言説は、

「いっぱい契約が取れる人はメールの返事が早い」

と言い換えられる。
これはそこそこ当たっていそうではある。
一方、僕のファイナンシャルプランナー(FP)は、めちゃくちゃ契約を取っているようだが、メールの返事はおそろしく遅い。なんやったら二回メールを送ったら一回返事が来るくらい。

ちなみに金儲けがうまいこと(≒契約がいっぱい取れること)を仕事が出来る人という定義にするなら、アメリカ人ビジネスマンのまあまあは「メールの返事が早い人」から外れてしまう。けれど、アメリカが経済大国であることは揺るぎない事実なので、「仕事が出来る人はメールの返事が早い」というのは、少なくとも世界共通ではないと思われる。

超一流はメールの返事の仕方に工夫があるとかいう記事もちょこちょこ見かける。

これについては特に何も言うことがない。現場を知らないので、超一流がどのような工夫をしているか知らないのだ。としても、「超一流」が何を指しているのかは分からない。

自分自身を顧みると、メールの返事は次のような要因によって早く返事できるかどうかが決まる。

1.いま、メールを返すだけの時間的、精神的余裕があるか。
2.そのメールの内容は、緊急性が高いか
3.そのメールの内容は返事がしやすいものか
4.そのメールの内容は返事するに値するか

1.は結構大きな要因だと思う。身も蓋もない言い方だが、「忙しい人はメールの返事をする暇がない」のである。してみると、「メールの返事が早い人」というのは、「メールの返事に忙しい人」ということになる。日本ではとかく忙しそうな人が「仕事が出来る人」認定される。

2.は返事を早くする要因の一つで、「明日までに」とか言われたら、返事せざるを得ないし、「1ヶ月後で」とか「急ぎません」とか言われたら、後回しにする。それでも返事を早くする人は本当に暇なのだと思う。

3.すぐに返事がしにくいような内容の場合、メールは遅れがち。会議にかけて全員の意向を調整して……という作業が予想される場合には、「しばらくお待ちください」くらいのメールはするか。それも、「返事が早い」にカウントされるのだろうか。

4.これは優先順位の問題。自分にとって、そのメールの内容は今すぐ返事がしたいものかということ。人間、どんなに忙しくてもトイレには行く。水も飲むし食べる物も食べる。どんなに忙しくても、それらのことは生きていく上で優先順位が高いのだ。同じように、優先順位の高い仕事から片付けていくのが人間の常である。少なくとも僕からの返事が遅い場合、優先順位が低いと思ってもらってもいい。

以上のように、メールの返事の早さは、「仕事ができるか否か」というのとは別の、いくつかの要因によって左右される。

なのに、なぜ標記の言説はまことしやかに囁かれているのか。

おそらく、これを言い出した人は、「返事を早くしようと心がけている」側の人間ではなく、メールを出して返事を待っていた側の人間である。ある人にメールを送ったら、ある人は返事がすごく早く、別のある人は返事がすごく遅かった。すると、受け取った側は、このように考える。

「返事を早くくれた人は好印象。仕事も出来る人だ。一方、返事が遅れた人は印象はよくない。仕事は出来ない人だ」

要するに、「仕事が出来る人」というのは、メールの返事を待っていた誰かが、悔しまぎれに返事が遅い人に対して溜飲を下げるための方便を練り上げたに過ぎない。

おそらくそうである。

返事は遅いが優秀な人はいくらでもいる。
有名な作家が全然原稿書かないなどというエピソードは掃いて捨てるほどある。

そういうもんである。

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