年齢も性別も過ごしてきた環境も違う4人の男女が紡ぎ出す、見る者の心を静かに揺さぶる新たな時代の“友情”の物語。同時にそれは、“恋愛”も“友情”も全部含めた“愛”の物語『いちばんすきな花』の最終回。

潮ゆくえ（多部未華子さん）が「ちょっと住みたいです」と提案したことで、春木椿（松下洸平さん）の家にしばらく住むことを決めた４人。ゆくえと深雪夜々（今田美桜さん）は同じ部屋で、椿はリビングのソファで寝ることに。

いくつかの伏線回収とサプライズ演出があった最終回。カレーを作り過ぎた4人。椿は弟の楓（一ノ瀬颯さん）を、ゆくえは妹のこのみ（齋藤飛鳥さん）を呼んだのですが…。

楓は椿の元婚約者・純恋（臼田あさ美さん）を、このみはゆくえの元親友・赤田（仲野太賀さん）を呼んでいて。「キャスト総入れ替え」的な気まずさはあったものの、結果的にゆくえと赤田の友情復活という着地。

家を退去後も様々な場所で、変わらぬ交流を続ける4人。そんな中、夜々の美容室に第6話で夜々が語っていた村山咲（高月彩良さん）が来客、再会を果たしました。苗字が替わっていると思い込んでいた夜々に、「良くないよ、そういう固定観念」と、村山姓を選択したことを明かし。この作品らしい、脚本家・生方美久さんらしい伏線回収の一つ。

ちなみに、高月さんは『重版出来！』（2016年）で新人漫画家役を演じていましたが、アニメ映画『思い出のマーニー』では、主人公の杏奈役でした。で、もう一人の主人公・マーニー役が有村架純さん。

15分拡大となった本作の23時過ぎ。かつての椿邸にグランドピアノが置かれ、主題歌「花」を藤井風さんが弾き語り始めるサプライズ。そこに4人が現れ、かつてと同じように談笑。終盤、また藤井さん一人となり「花」を歌いあげました。

昨年、社会現象を巻き起こした『silent』と比較され、イマイチと言った論調が序盤多かった本作ですが、例えてみれば生方さんが尊敬する脚本家・坂元裕二さんの『東京ラブストーリー』と『カルテット』にも似て。

誰にもわかりやすいドラマティックな恋愛ものと、ドラマ好きに刺さる緻密な会話劇。視聴率や配信回数で優劣を競うものではなく、タイプの違う作品で、どちらもオリジナル性と完成度の高さを示したところが素晴らしい。

次回作も楽しみですが、フジテレビで再びやるのか、村瀬健プロデューサーと再び組むのか。それとも新天地で新たなチャレンジをするのか。いずれにしろ、生方さんは脚本家の名前でドラマを選ぶ一人になりました。

余談：TVerでの『いちばんすきな花』最終話配信が、12月27日16時59分までなので、最後にもう一回見ました。何周目かな。