『思い出のマーニー』と百合と『教場2』

長岡弘樹さんのベストセラー警察小説を、木村拓哉さん主演で実写ドラマ化した『教場』の続編第一夜が昨日フジテレビで放送されました。テレビ朝日に『天気の子』をぶつけられ、昨年より視聴率を若干落としましたが、それでも同時間帯トップの13.5%は見事。

警察学校を舞台に、木村さんが、問題のある生徒たちを振るい落とす、冷徹で“最恐”の教官・風間公親を演じる本作。前編では、原作の「蟻穴」と「心眼」の2つのエピソードと、宮坂(工藤阿須加さん)に関するオリジナルストーリーが描かれました。

犯罪者&問題児多過ぎな警察学校ですが、従来ありがちな警察ドラマとは異なり、視聴者に親切過ぎない脚本や演出のため、ミステリーとしての緊迫感が持続し、種明かしの驚きにつながっています。難易度の高い役に挑戦している木村さんと、若手俳優たちの緊張感もいい具合に作用。

「心眼」のエピソードについて、ネットでは「百合?」「堂本は坂根と忍野のどっちが好きなの?」といった声がありましたが、原作では堂本と忍野は男性で、堂本が好きな坂根(女性)のモノを盗んでいた、というわかりやすい筋立てですが、二人を女性にキャラ変したことで混乱が生じたようです。

堂本を演じた高月彩良さんの代表作といえば、ジブリアニメ『思い出のマーニー』。本当は百合ではないのですが、百合匂わせな作品として名高く、高月さんは主人公の杏奈役(マーニーは有村架純さん)。今回のキャスティングは、百合感を出すためでもあったのでしょう。

「しっかり思いは伝えたか?」「いいえ」からの、忍野(福原愛さん)のハーモニカ絵の演出は、結局堂本はどっちが好きだったのか(あるいはどっちも好きなのか)不明なままですが、百合匂わせ演出と理解。今後は、福原さん主演の『ゆるキャン△』続編も、そんな目で見てしまいそう(笑)

スタッフについても少し。脚本の君塚良一さんは、 『ずっとあなたが好きだった』や『踊る大捜査線』シリーズの人ですが、最近は目立った作品がなかっただけに、『教場』は久しぶりのヒットですね。ちなみに、映画『バブルへGO!! タイムマシンはドラム式』も面白いので是非。

演出の中江功さんは、フジの全盛期を支えた一人で、木村さんとは『若者のすべて』『ギフト』『眠れる森』『空から降る一億の星』『プライド』と数多く組んでいますが、代表作は『Dr.コトー診療所』。奥さんは、朝ドラ『スカーレット』『#リモラブ』の脚本家・水橋文美江さんと才人夫婦。

さて、今夜の後編も楽しみです。


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