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ドラマ内「家族」の変遷

1970年代、野口五郎さん・西城秀樹さん・郷ひろみさんは「新御三家」と呼ばれるトップアイドルであると共に、バラエティやドラマなどでも活躍。
西城さんが出演した『寺内貫太郎一家』(1974年)は、平均視聴率31.3%を記録したとか。

いわゆるホームコメディなのですが、この時代に多かった三世代家族の物語。主人公の貫太郎役は「この木なんの木」など、CM曲を多数手がけた作曲家の小林亜星さん、息子役が西城さんで、貫太郎の母役が樹木希林さん(当時は悠木千帆)。

現在では、三世代家族は朝ドラ以外では滅多に見ません。アニメ『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』は例外。政府の統計では、1980年時点で三世代家族の割合は50.1%。現実社会でも、過半数がそうであったからこそ、この時代のドラマに三世代家族が登場しても珍しくはなかったのです。

続いては山口智子さんと髙嶋政伸さんのW主演『ダブル・キッチン』(1993年)。いわゆる二世帯住宅における嫁姑バトルを描いた作品。姑役が野際陽子さんで、嫁(山口さん)と夫(髙嶋さん)間には長男がいましたから、これも三世代ドラマ。とはいえ、明らかに価値観が変わってきていました。

1995年時点での三世代家族の割合はちょうど33.3%。3軒に一家族とグッと減ってきた印象で、トレンディドラマ全盛期ということもあってか、二世代や単身者のシチュエーションが増えました。

『アットホーム・ダッド』(2004年)や『鬼嫁日記』(2005年)あたりになると、核家族が普通に。前者は「専業主夫」がテーマになるなど、男女の役割や立場の変化もドラマに反映され始め。2005年時点での三世代家族の割合は20.1%。

『マルモのおきて』(2011年)や『義母と娘のブルース』(2018年)など、2010年代に入ると、「疑似家族」「偽装結婚」「ルームシェア」など、血縁関係にとらわれない、ひとつ屋根の下の「家族」が描かれることも増えました。

2016年時点での三世代家族の割合は11.0%ですから、今なら一割切っているのかも。逆に、単身世帯が27.1%、夫婦のみの世帯が31.1%ですから、これからは子供が登場しないホームドラマが主流になるのかも知れませんね。

余談:「おたく」という言葉の生みの親にして、アイドル評論家の中森明夫さん渾身の『ブギウギ』論。なかなか面白く読みました。『紅白歌合戦』に草彅剛さんも登場するかな。


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