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そんなことまで、そんなものまで、いちいち「大事なものなんです」って言わないと分かってもらえないのかニッポン

九大の研究資料が散逸危機 750万点、財源不足 (西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_toshiken/article/195672

大学改革の煽りだったり、そもそもアンモナイトや昆虫なんてどうでもいいと文科省や多くの人に思われていたり、九州大学そのもののいろんな問題だったり、表に浮かんでこない色んな問題があるせよ、ついにこういうことになったかー。しかも大学で。しかも文科省は金を出さないと言い張っているのは、もはや日本では研究するんじゃない。奴隷商人をしろ、と言っているのと変わりません。

似たようなケースはここ数年いろんな所で出てきている。代表的なのは新渡戸稲造記念館をめぐる問題ですかね。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201509/20150920_23037.html

代々新渡戸氏の当主が館長をしていて云々という話にはたしかにいろいろ思うところがあるものの、年間2000万円の支出は決して「ボッタクリに高い」とは思えない。お金のことではなく裏で何かいろんなことがあったのかもしれませんが、気になるのは新渡戸記念館よりも、この記事の最後の部分

市によると、東北で地元の歴史的人物を紹介する博物館施設15カ所のうち、自治体が史料の大半を所有するのは12カ所に上る。
 博物館施設を取り巻く経営環境はどこも厳しい。花巻市の高村光太郎記念館も、史料を所有する財団法人が市の施設で運営する。記念館の担当者は「施設や人をやりくりするのは財団では無理。市と連携したい」と力説する。

の部分、つまるところ「15箇所ほど同じ末路をたどるらしい」という予測です。こちらはまだ自治体のケースですが、九州大学のほうは大学。しかも地球科学全般に必要な基礎研究系の資料なわけですが、本気で「廃棄」することになるかどうか注目されるでしょう。

そんなのを追っていたら、「『国立産業技術史博物館』の資料2万点以上が廃棄された」というTogatterを見つけました。

http://togetter.com/li/604875

こちらがニュースソース

万博公園の保管資料2万点廃棄へ 産業博物館頓挫でhttp://www.47news.jp/CN/200903/CN2009031301000304.html

寄贈された大量の資料を「出来なかったから廃棄」というのはさすがは博物三流国のやることだなぁ、と感嘆の念を禁じえません。ただ、もちろん「具体的に置く場所がなければ捨てる」というのは合理的ではあるんだろう。でもなんというか、こうした下手すりゃ文化財・研究資源を「廃棄」したいという欲望が政治家にあるのは時代変わったな―っと思わざるを得ません。

 いずれも「価値を説明してくれよ」的な圧力に晒されているっぽいですが、文化財や基礎研究の資源まで「価値を説明」しないと行けないとかどんなディストピアつか、お役所仕事だよと思わなくはないですね。今後は例えば書画骨董や古典籍、楽器や服飾なども同じ運命をたどるでしょう。

それじゃーねー。

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