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いまさらクッキークリッカーを遊んだ。

 2013年ごろ、日本を席巻したゲームがあった。その名は「クッキークリッカー」。なぜか2016年になって再び大型アップデートがあり、ドラゴンがでていたりいろいろ地獄のような事になった。

 これは、クリックしたりアイテムを購入したりしたりして、左上の数字をあげ続ける作業それ自体が目的となるブラウザゲームである。アイテムを購入すると毎秒ごとに数字があがっていき、指数関数的に増加していくのをみて楽しむというものだ。一応日本語版もある。

 この数字、焼いたクッキーの数なんだそうだ。狂ってやがる。

 ウィキを見てみると最高効率で遊ぶためにはどうしたらいいのかとか、いろいろすさまじい事が書いてあるけれど、やってみると地味そのものである。面白いのかといわれてもよくわからない。ちょっと常駐させて放置しておくようなそういうゲームだ。

 突然クッキークリッカーを遊んでみようと思って遊んでみたけれど、なんだかあんまり面白くない。でもすぐ閉じちゃうのもなんだなーと思って暫くほっていたんだけど、ふと2013年にはなんでこんなものが大流行したんだろうと疑問に思った。

 たぶん2013年の頃もめちゃくちゃ面白いと思って遊んでいた人はいなかった。

では何が面白かったのかといえば、たぶんTwitterやなんかで「報告」しあっていたことが面白かったんだ。「シルバーウィークなのに、クッキーをひたすら焼いている私たちってなんなんだろう」、っていう謙遜と自虐が入り交じったような不思議な感覚を訴えるのに、このゲームは完璧なツールだったのだ。

そしてたぶん、2013年の頃の、復興とか、元気とか、日本といった大文字の言葉が踊り狂っていた時に、このひたすらクッキーを焼き続けるというどうでもよさが何かの救いだったんじゃないかと思う。なんの? そりゃ「完全に無駄」ってことさ。僕らには完全な無駄が定期的に必要なんだなって思いながら、またクッキーを焼き始めた。でもクッキーが焼き終わる日なんて来るんだろうか。きっとこないんだろうな。きっと。



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